史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十一章 使い魔召喚編

819話 契約のやり方

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 学園祭が終わってからの授業は、ゴルさんの言うように使い魔召喚に関する内容が多かった。

 使い魔召喚……と簡単に一言言っても、そのやり方は簡単なものではない。
 まず使い魔を召喚するための術式の知識を学び、やり方も覚える。召喚するための魔法陣は、使い魔を召喚すること同時に使い魔の家みたいなものでもある。

 クロガネが魔法陣を行き来するのと同じみたいにね。
 ちなみに、魔法陣の向こう側がどうなっているのかはわからない。クロガネに聞いたこともないしなぁ。

「とはいえ、魔法陣の知識があるだけで使い魔を召喚することはできない。正しい手順を学び、それを行わなければ思わぬ事故に繋がるからな」

「先生、思わぬ事故……ってなんでしょうか」

「そうだな……簡単に言うと爆発する」

 すごい、本当に簡単にまとめた……

 使い魔召喚しようとして爆発したんじゃ、どうしようもない。

「ま、覚えることは多いがそこまで複雑なものではない。お前たちがこれまで学んできた知識をまとめたようなものだからな」

 それからは、召喚の方法を主に学んだ。
 術式……魔法陣の作り方。そして魔法陣に自分の魔力を注ぎ込む。入学の組分けのとき、魔導具に魔力を注ぎ込んだときみたいに。

 使い魔召喚ってのは基本、自分の魔力に応じたモンスターが召喚に応じる形だ。つまり、モンスターが主人を選ぶと言っていい。

「魔法陣の作り方も、大して難しくはない。基本的にはこの魔導の杖で、絵を描くように描けば問題はない」

「魔法陣はみんな同じものなんですか?」

「基本的にはな。ただ、使い魔召喚にも大きく二種類ある。使い魔となるモンスターを召喚する場合と、すでにいるモンスターと直接契約を結ぶことだ。
 だから、フィールドやフィルの魔法陣は、私の魔法陣とは違うはずだ」

 みんなの視線が、いっせいにこっちに向いた。こ、怖いよぉ。

 なるほど、魔法陣にも二種類あるってことか。そこにいたクロガネと契約した私と、使い魔を召喚した先生とじゃ、魔法陣の形も違う。
 思い返してみれば、私は契約時に別に魔法陣描いたりしてないもんなぁ。フィルちゃんだってそうだ。

 その違いってことか。

「すでに契約し使い魔を持っているお前たちには、ぜひともその経験談をみなに話してほしいものだな」

 先生の言葉に、みんなの興味がさらにこっちに向いた気がした。
 うぅ、ゴルさんが言ってたみたいになったよぅ。

 考えてみれば、クロガネのことはみんなに自慢したけど、契約したときのことはあんまり話してはいないような……

「でも、私とみんなとじゃやり方が違うんだから、あんま意味ないと思うけど……」

 これから使い魔となるモンスターを召喚するみんなと、その場でモンスターと契約した私とじゃやり方が違うはずだ。
 だから、あんまり参考にならない気もする。

「いや、経験者の話は貴重だ。それも同世代の話はな」

 ただ教えるだけなら、先生の体験談を話せばいい。
 それでも私に話させようとするのが、私がすでにクロガネと契約しているから。

 先生の体験談とクラスメイトの体験談とじゃ、また新鮮味が違うのだろう。

「と言っても……私は、ラッへに教わった通りやっただけだしなぁ」

 何度思い出しても、あのときはラッへに従っただけだ。
 細かな作業はラッへに。私はただ、魔力と血を使ってクロガネと契約しただけだ。

「ラッへ……この間の転校生か」

 ラッへのことは、当然先生も知っている。
 転校生な上に、エルフ。しかも記憶喪失という、どうやったって目立つ存在だ。

 ちなみに、ラッへは偽名で本当の名前はエラン……つまり師匠グレイシア・フィールドの子供だってことは、誰にも話していない。
 知っているのは直接聞いた私と、ルリーちゃんだけだ。

「彼女は記憶が……なら、その時のことも覚えてはいないか」

「だね。まあ、やり方は覚えてるよ。すでに契約を結ぶと決めたモンスターがいる場合は、契約の術式……つまり魔法陣を組み立てるのは誰でも構わないんだって。
 で、お互いに契約を結ぶことを同意した上で……ラッへは魔法陣サークルって言ってたけど、そこに血を垂らすんだ」

「なるほどな。で、モンスターと……いや魔物と契約したフィルは……」

「もふもふがやってくれたの!」

「……」

 そうだよなぁ。あのとき、黒い毛玉魔物もといもふもふが、自らフィルちゃんと契約をしにいったように見えた。

 つまり私もフィルちゃんも、自分だけの力ではやっていないってことだ。フィルちゃんに関しては完全に魔物任せだし。

「……そうか」

 あ、今役に立たねえなって顔した!

「ま、わからないなら仕方ない。フィールドの話も参考がてら覚えておけ。
 さて、使い魔といえばもっとも大事なことがある」

 こほん、と咳払いをして、先生は口を開く。

「契約者と使い魔の間に結ばれる絆、とでも言うべきものか。それは魔力でも、契約でもない。両者にとってもっとも大事なもの、それは名前だ」

 先生ははっきりと、そう言った。
 使い魔との間には、名前が重要なのだと。

 そういえば、タメリア先輩あたりが言ってた気がする。使い魔は名前が大切で、契約者以外は基本的に名前を呼ぶことはないって。
 もちろん、絶対だめってわけじゃないけど。

 私は……どうだったかな。わりとクロガネって呼ばせているような気がしないでもない。
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