史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十一章 使い魔召喚編

867話 魔物や魔獣が好き

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 魔大陸に行ってみたいという筋肉男。まあ、そう思うことは個人の自由だしな。

「言っておくけど、私は魔大陸に行ってはいたけどどうやったら行けるかわからないからね」

 一応、言っておく。
 私が魔大陸に行ったのは転移で飛ばされたからだったし、そこから帰ってくるのだってクロガネに任せていたし。

 クロガネ、よく人のいる大陸がわかったよね。

『これでも、地形には詳しいのでな』

 とのことだ。
 まあクロガネなら自由に空を飛んで、上空から位置関係を見ることもできるだろうしね。事前に世界中を回っていたって驚かない。

 そう、クロガネがいたおかげだ。魔大陸を移動し帰ってこれたのは。だから誰の力も借りずに魔大陸に行こうっていうのは……ちょっと難しいかもな。
 まず、どっちに行けばいいのかもわからないし。ウミに出ても大きく広いし、渡れる自信もないし。

「あぁ、それほどまでに気にしないでくれたまエ。これはワタシの夢みたいなものなのだかラ」

「……魔大陸に行くのが夢?」

 どうにも変わった夢だけど、人の夢だ。そっとしておこう。

 それにしても居場所を教えたらすぐに行っちゃいそうな感じがある。それほどの行動力がこの男にはある。謎に自信満々だし。
 きっと今の話も、他の人が聞いたら変人だと驚くものなんだろうな。

「あァ。というより、正確には魔物や魔獣に興味があるのサ。だから以前学園内に現れた魔獣も、本当ならすみずみまで調べたかったんだがネ」

 ……学園に現れたあの魔獣か。ルリーちゃんと先生のおかげでなんとか氷漬けにできたんだよね。
 今は、お城の地下深くに冷凍保存しているとかなんとかって聞いたけど……

 魔物や魔獣に興味があるのは、別に変なことではないか。その結果が魔大陸ってのはやっぱり変わってるけど。

「でも、この国じゃ滅多に魔物は現れないし。残念だね」

 平和であることは残念じゃないんだけど、とりあえず言葉だけ。
 一部例外はあったけど、国の中にいて魔物や魔獣を見ることはまずない。それだけ、警備とかしっかりしているんだ。

 ……一部例外はあったけど。

「ま、書物を漁れば幾分の知識は得られル。それでひとまずよしとしているところサ」

「ふぅん」

 こいつ本とか読むのか。そりゃ読むか。
 自分が興味あることならなおさらだよね。でも、こいつが静かに読書をしている姿が想像できないな。
 ……いや、意外と様になってるのか?

 でも……魔物に興味あるって、ちょっとフィルちゃんが心配だな。魔物を使い魔としているわけだし。

「だからワタシは、いつかミス・フィルと話をしてみたいと思っていてネ」

「げ」

 考えたら早速だったよ。やっぱり目をつけていたのか。
 でも、その割にはこいつがフィルちゃんに話しかけている所なんて見たことないけどな。

 フィルちゃんの場合は使い魔召喚の授業より前から使い魔を召喚していたんだし、魔物を使役していることはわかっていたはず。

「彼女の周りには、常に誰かしらいるからネ。ワタシだって、レィディたちの会話に割って入ろうとまでは思わないサ」

 確かにフィルちゃんはいつも、クラスメイトに囲まれているもんな。
 クラスの中では最年少……天真爛漫な小さな子供なんて、女の子たちが放っておくわけがないのだ。

 女の子たちの会話に割って入ることはしない、か。こいつにそんな感性あったのか。
 入学初日に女の子の席に我が物顔で座っていた奴の言葉とは思えないな。

「まあでも、あんたがフィルちゃんに話しかけたらなんらかの罪に触れそうだけどね」

「あっははははイッツジョーク!」

 ……別にジョークではないんだけどな。
 制服パッツパツのオールバックナルシスト男が幼女に話しかけている姿なんて、おっかなびっくりってやつだ。

 フィルちゃんは常に女の子に囲まれているから、フィルちゃんに話しかけるとなったら必然的に周りの女の子たちと対峙することになるのが、男の子としてはキツイのかもしれない。

「魔物を使い魔とすル……実に興味深い現象じゃないカ」

「って言っても、フィルちゃんも自分になにが起こってるのかよくわかってないよ」

 そもそもフィルちゃんが魔物のもふもふと契約したのだって本人の意図したものじゃないし。そもそも使い魔とかそういう認識すらあんまりわかってないし。
 フィルちゃんに話を聞いたところで、得られるものはなにもなさそうだ。

「それもそうカ。残念ダ」

 あんまり残念そうに見えないけども、残念らしいな。
 ルリーちゃんのことをダークエルフだと勘ぐったり、魔物や魔獣に興味を示していたり、魔大陸に行きたいと言っていたり……こう並べてみると、怪しさ満点なんだよなぁ。

 半年以上も一緒にいるクラスメイトのことだけど、この男のことが全くわからない。

「ふふっ、キミの周りにはよくも魔物や魔獣が集まるものダ」

「えっ、私!?」

 腕を組み、私を見て笑う筋肉男。いきなり私に話題を振られても!
 それに、魔物や魔獣と深く関わるなんて。あんまり嬉しくないなぁ。確かに学園の魔獣とか、王都で暴れた魔獣とか、もふもふとか……ノマちゃんだって、私は少なからず関わっているけどさぁ。

「そんな顔をすることはなイ。むしろ喜ばしいことだろウ?」

「全然だけど!?」

 こいつ、私の状況をうらやましがってるのか……? 怖いよ。
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