史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

文字の大きさ
919 / 1,198
第十一章 使い魔召喚編

906話 悩んでいる少女

しおりを挟む


 とりあえず、中庭のベンチでキリアちゃんと隣り合って座る。

 キリアちゃんは、ダルマスのことが好きで……私もダルマスのことを好きではないのかと最近考えているらしい。
 そんなことあるはずないって言っても、その疑念はなかなか晴れないみたいで。確かに私が一番仲が良いのはダルマスかもしれないけどさ。

 ノマちゃん曰く、好きな人に好きな人が居るかもしれないとか、好きな人を好きな人が居るかもしれないとか考えるだけでもやもやしちゃうのだとか。

「前も言ったけど、私はダルマスのことはなんとも思ってないから。ね?」

「は、はい……」

 キリアちゃんの想いを知っているのは、私だけ。その私がダルマスを好きかもしれないなんて、そんな疑惑キリアちゃんにとっては嫌だろうな。
 私だってそんなことでキリアちゃんとぎくしゃくしたくないし。

「わかってます、エランさんの言うことを信じていないじゃないんです。
 ……でも、エランさんに恋人がいるのなら、心配することはないですよね」

「噂よりも私の言葉を信じてほしいもんだけどねぇ」

 そりゃ、キリアちゃん的には私に恋人が居るって思ってた方が心配はないのかもしれないけど……
 さすがに、そういう嘘は信じてほしくないし。

 なのであの噂は嘘であると説明する。

「そう、なんですか。でも、エランさんってとてもモテそうですし……パルシュタン様でなくても、恋人の一人や二人はいそうですけどね」

「えぇー? えへへそうかなぁ……てか、二人もいたらまずいでしょーよー」

 まったくキリアちゃんってば正直者なんだからー。そういうとこ大好きだよ。

 キリアちゃんの頭に手を置いてなでなでしてあげると、「な、なんですか」と恥ずかしそうにしながらも抵抗はしない。
 おー、めんこいのー。

「えへへへ……わぁ!?」

「ん?」

 しばらくその時間を楽しんでいたのだけど、急にキリアちゃんの足下が光り始める。そして展開されるのは、魔法陣だ。
 カッと光ったかと思えば、魔法陣の中からなにかが飛び出してくる。

 それは鳥……いや……

「あぁ、ベル! またぁ!」

 飛び出してきたのは……キリアちゃんの使い魔のフクロウだ。
 確か、勝手に出て来たり飛びまわったりして苦労しているんだっけ。

 その証拠に、今出てきたわけだし。

「すみません、この子ったら……」

「元気があっていいじゃん……とは、呑気に言えないかなぁ」

 さすがにキリアちゃんも困っているようだし、何日もこの様子じゃ元気、の一言で済ませるわけにもいかないだろう。
 勝手に魔法陣から出てきて飛び回る、か……なんか、もふもふみたいだな。

 まあもふもふの場合は、フィルちゃんが幼いことが関係しているのかあんまり困った様子はないけど。
 ……フィルちゃんが気にしなさすぎとも言えるね。

「その子、ベルって名前なの?」

「はい。元気なのは良いことだって私も思っていたし、あんまり遠くへ行かないのはいいんですけど……」

 使い魔なのだから、たとえどこに行っても魔法陣の中に戻せる。それに、視界を共有すればまず見逃すことはない。
 それでも、目の届かないところに行くと心配だよね。

 ただ元気なだけなら微笑ましいけど、キリアちゃんも関与してない形で出てくるから困りものだ。
 たとえば食事中や、入浴中。就寝中に飛び出してきてルームメイトに迷惑をかけてしまったこともあるのだとか。

「それは……なんとも」

「ルームメイトの方は、気にしなくていいと笑ってくれていたんですけど」

 どうやらキリアちゃんのルームメイトは優しい子みたいだ。
 でも、その優しさにいつまでも甘えていられない……と。まあ寝ている途中に何度も起こされたらさすがにイライラしてきちゃうかもしれないし。

「私、魔導士としての力が足りないんでしょうか」

 しゅん、と落ち込むキリアちゃん。

「そんなこと……」

「いえ、私調べたんです。契約したばかりの使い魔が術者の意思に反して行動するのは、術者のことを認めていないから。
 それってつまり、私に魔導士としての力が足りないってことじゃないですか?」

 ……キリアちゃんはキリアちゃんなりに、調べていたのか。
 魔導士としての力……かぁ。

 自分と相性のいいモンスターが召喚されること、それと使い魔契約を結ぶこと、そして使い魔と意思を通わせること……これらは一貫しているようだけど、実は全然違う。
 相性のいいモンスターだから契約のチャンスが生まれ、そして自分と心を通わせる。徐々にステップアップして信頼関係を築いていくわけで、召喚したからはい成功、となるわけではない。

「他の皆さん、私よりも立派な方々ばかりで……」

 いかん、キリアちゃんが自信を無くしてしまっている。確かに、キリアちゃん以外みんな使い魔とうまくいっていたし……

 ……いや、そういやいたなぁ一人。使い魔が自分のことを話してくれなくて、真の姿も見せてくれない子が。

「ぃよし、キリアちゃん任せて!」

 私は、その場で勢いよく立ち上がる。

「え?」

「明日、私とキリアちゃん、それともう一人呼んで使い魔会議をしよう!」

「つ、使い魔……会議?」

 そう、これはキリアちゃんのため……そして、もう一つの意味でも。
 使い魔に振り回されているという共通点……この会議を使って、キリアちゃんと彼の仲をぐっと縮めるチャンスだ!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク 両親は村を守る為に死んでしまった 一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。 神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。  そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。

無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!

夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。 彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。 価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い! これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

処理中です...