史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十二章 中央図書館編

956話 俺の奢りだ

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 城からの帰り、カゼル・オートラインに出会った。帰りというかぶらぶらしようと思っていたので、暇であることに違いはなかったんだけど……
 なぜか誘われた。

 なんでほぼほぼ接点ない人と行動を共にしないといけないんだ? しかも……

「ほら、ここは俺の奢りだ。遠慮せずに食え」

「……」

 料理店に連れて行かれ、私とオートラインは対面する形で座っている。
 俺に付き合えって言われたかと思ったら、いきなりご飯だと!? なにを考えているんだ!?

 とりあえずメニューを差し出されて、でもどうすればいいのか。確かにお腹は減ってるっちゃ減ってるんだけど……

「どうした、食わねえのか?」

「いや……そんな、いきなりこんなとこ連れてこられても、別にお腹減ってないし……」


 くぅ~……


「…………減ってないし、お腹」

「それを取り繕うのは無理だろ」

 くっ、正直な私の身体め! ちょっとは空気読んでよ! オートラインもケラケラ笑ってるよ、口は硬くても身体は正直だなってか!?

「変態!」

「なんなんだお前は」

 それにしても……どういうつもり、とは思うけど、悪意は感じないんだよな。ガラは悪いけど。
 むぅ……いつまでもこうしてても、こいつと対面する時間が長くなるだけだしなぁ。

 とりあえず私はメニューを開き、それを見る。

「お、その気になったか。せっかく俺が奢ってやるって言ってんだ、半端なもん頼まずに一番高いの頼んでもいいんだぜ!」

「いや、奢ってもらうの悪いし……」

「ガキが遠慮すんな! 俺ぁそこそこ稼いでんだ、ガキ一人の昼飯代くらい屁でもねえよ。
 理由が必要なら……そうだな、さっき殴りかかった詫びってことでどうだ?」

「……そういうことなら」

 なにがなんでも奢ろうとしてくるのなんなの、近所のおばちゃんか!
 ただ、ここまで言われて断り続けるのもそれはそれで失礼だ。それに、お詫びということならまあ。

 稼いでる、ってのはいちいちいらない情報ではあるんだけどね。

「じゃあ、これとこれとこれで」

「お、いいねぇその傲慢さ! そうでなくちゃな!」

 ……それなりに高いものを選んだけど、なんて嬉しそうなんだこの人は。ああまで言ってくれるんだし、せっかくだからいつもは食べられないようなお肉とか頼もう。

 その後オートラインさんも品を選び、二人注文する。
 この人もそれなりに高いもの選んでたな。まあいいけど。

「エラン・フィールド、だったな。グレイシア・フィールドの弟子」

「……そうですけど」

「んな固くなんなくていいっつの。次期国王をゴルさん呼ばわりするくらいだ、俺にも普通に接してくれて構わねえぜ」

 ……そういうなら。

「じゃあ……こほん。いったいなんの用?」

「用ってか、一度ゆっくり話してみたかったんだよな。あんときは、それどころじゃなかったし……俺は直接この目で見ないことにはいろいろと信じないタチでね。お前がなんで前国王に気に入られてたのか興味があった」

 私の噂を聞いて、いろいろ気になっていたってことか。まあ私だって、魔導学園に入学したばかりの生徒が魔獣を倒したり生徒会長で第一王子に決闘を挑んだとなれば興味は出る。

 それでも、この人は話に聞いただけでそれを信じない。本当に噂通りの力があるのか、直接確かめないと気がすまないって感じか。
 ま、噂に流されるような人たちより全然いいとは思う。この人なら私の尾ひれにも惑わされなさそうだ。

「学園じゃいろいろ言われてるみたいだな、狂犬」

「……その言い方やめて」

「かっはは、悪い悪い」

 この人、噂は噂で楽しむタチの人だ!

「それで、私に噂通りの力があるか直接試しに来たと?」

 だからさっき殴りかかられたのだろうか。

「以前まではそう思ってたんだがな。魔導大会でお前の戦いぶりを見て、噂は本当……いや噂以上だってのがわかった」

 オートラインさんは、にやりと笑う。この人も魔導大会を見に来ていたのか。
 ま、国を挙げての行事だ。むしろ興味ない人のほうが珍しいのだろう。

 そこでの私の戦いぶりを見ていた、と。

「それに、魔導大会の後魔大陸に飛ばされて、そこで黒竜と契約し戻ってきたって話……ありゃマジか?」

「うん、マジマジ」

「かっはは、まさかとは思ってたが。んなことできる奴が、普通なわきゃねえわな!」

 魔導大会での戦いぶりを直接見て、私のことを認めてくれた……みたいな感じか。

「直接見なきゃ信じないタチなら、ここでクロガネ召喚してみようか?」

 冗談だけど。

「クロ……あぁ黒竜の名前か。やめろバカ、店が吹っ飛ぶどころじゃすまん。
 ま、黒竜自体は何度も目にしたし、その近くにお前の姿もあったからな。直接召喚しているところを見たわけじゃないが、お前ならそれくらいやっても不思議じゃねえだろ」

 クロガネを見たことが……あぁ、国の復興を手伝うときに、クロガネを召喚して協力してもらってたもんな。
 あれを見れば、召喚しているところを見ていなくても、契約者が近くにいるとわかる。そして、みんなの声だ。

 みんなが私がクロガネの契約者だと話していたら、噂は信じなくても目に見たことと結んで私がクロガネの契約者だとわかるってわけだ。

「お待たせしました」

 私の話を楽しそうに聞くオートラインさん。その傍ら、注文した料理を持ってきてくれた店員さんが声をかけた。
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