死に戻り勇者は二度目の人生を穏やかに暮らしたい ~殺されたら過去に戻ったので、今度こそ失敗しない勇者の冒険~

白い彗星

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死に戻り勇者、第二の人生を歩む

宴大好きな村人たち

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 二日続けての宴会。俺も、まだまだ知らない人ばかりなので、今回は積極的に村人に絡みに行った。

 とはいえ、ほとんどエフィの付き添いがあってだが……


「……ヨッちゃんは、俺と仲良くしたいの?」

「お前までヨッちゃん言うな! ……別に、そういうわけじゃねぇよ」


 ヨルガも、俺についてくる。俺と仲良くしたいわけではないらしい……だというのに、わざわざついてくる理由。

 本人は隠しているつもりなのかもしれないが、視線はチラチラとエフィを見ている。そのエフィ自身は、それに全然気がついていないが。

 ……あぁ、なーるほど。そういうことか。


「ま、頑張れよ」

「なんの話だ!?」


 軽くヨルガの肩を叩く。うんうん、若者は青春してこそだよな。俺とあんまり年齢変わらないだろうけど。

 いやでも、中身は一回り以上歳を取っているわけだし……年上といっても、過言ではないよな。うん。


「なに変な顔してんだよ」

「いや、なんでもないさ」

「ふふ、二人とももう仲良くなったんだね」

「仲良くなってない!」


 エフィ、そしてエフィに気があるであろうヨルガ。この二人とは、特に仲良くなれそうな気がした。まあ、ヨルガはそんなこと認めないだろうけど。

 気のいい奴ではあるし、やっぱりどことなくゲルドに似てるな。

 ……みんな、今どうしてるんだろうな。


「チマ兄ー、楽しんでる?」

「エフィ。嬉しいけど、みんなは相変わらずだな」


 飲み物を片手に、わいわいと騒いでいる。賑やかで、あたたかくて、人のつながりというのは大切だと、よくわかる。

 ここにいると、そんな気持ちにさせられる。


「ケエラさん、もうアーロさんの布団に潜り込んじゃだめですからね」

「! ケエラ、お前そんなことしたのか……?」

「! ち、ちが……エフィちゃん、そういうこと言わないでよ!」

「あはははは!」


 朝はあんなだったケエラさんが、今ではエフィにからかわれている。なんだか面白いな。

 その後も村人と飲み、食い、騒ぎ……眠くなる頃には、さすがに騒ぎも静まっていた。

 今度は、そんなに酔っていない、自分の足でも歩けるし。うんうん、これならまた誰かに誤解を与えることもない。


「じゃあ、おやすみなさぁい」

「あぁ、おやすみ」


 エフィとも別れ、俺も家に戻る。うーん、ふかふかの布団だ……昨夜はベッドに入った記憶もなかったから、こういうのは久しぶりな気分。

 ベッドに入ってから数分もせず、意識を失い……俺は、眠った。


「かーっ……んん?」


 眠っていた意識が覚醒し、目が覚める。すっかり朝だ。窓から差し込む朝日が、眩しい。

 少し頭が痛いくらいで、昨日ほどではない。ベッド、隣に見知らぬ女性が寝ているなんてこともなく、一安心だ。

 今日は、いい朝を迎えられた!


「うーん……」


 ベッドから起き上がり、軽く肩を回してから、ベッドから立ち上がる。そして、部屋を出ようとして……

 ……入口に、酔い潰れたチマが倒れていた。


「うーん……」

「……」


 昨夜は、みんな……いや主にケエラさんに飲まされていたもんな。半分くらいは、なんか気まずさを紛らわせるように自分で飲んでいたけど。

 しかし、なぜ俺の家……それも、部屋の入口で寝ているのか。なぜ片手に、酒瓶を持ったままなのか。

 ……どうでもいいか。とりあえず、ここで寝たままでいられると、困る。


「おーい、チマ。おーい」


 寝ているチマの肩を、軽く揺する。起きない。ちょっと激しく揺する。起きない。

 チッ……


「おーい」


 チマの頬を軽く往復でビンタする。こんなところで寝ているからか、やたらと寝相が悪いな。

 何度かの平手打ちを経て、チマはようやく目を覚ました。


「あー……?」


 やっと起きた。


「どうしてこんなところで寝ているのかは知らないけど、起きてくれ。そして自分の家に帰れ」

「あー……」


 キョロキョロと辺りを見回したあと、また寝た。

 またビンタした。
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