異世界召喚され英雄となった私は、元の世界に戻った後異世界を滅ぼすことを決意した

白い彗星

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勇者パーティーの旅 ~魔王へと至る道~

第16話 引っ込み思案と野生児、始まりの物語

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 引っ込み思案な性格のボルゴ……今でこそ私たちとよく話すようになった彼だが、今に至るまでには結構長い道のりがあった。

 私が勇者パーティーのメンバーと出会ったのは、私がこの世界に召喚され、『勇者』として戦うことを決意した次の日のこと。グレゴ、エリシア、師匠、サシェ……そしてボルゴ。

 初めて会ったときのボルゴは、そりゃあ手強かった。なにが手強いって、こっちから話しかけても一言二言返すだけですぐにその場から逃げるように去ってしまうのだ。

 それほどまでに引っ込み思案……というか人見知りでもあるような彼が、なぜ勇者パーティーのメンバーに選ばれたのか。その理由は驚くことに、ボルゴ自ら志願したのだという。意外と、アグレッシブなところもあるんだな……

 しかし、自ら志願しそれを受け入れられたことと、旅を共にする仲間と絆を深めなければならないのは切り離すことはできない。受け入れられたからには、仲間と話をしなくてはならないのだから。

 ある意味、異世界から召喚された私よりも馴染むのに時間がかかったボルゴだが、引っ込み思案な彼がどうやってみんなと絆を深めていったかというと……


「ボールゴ! 見っけ!」

「うぉあ!?」


 よく一人でいるボルゴに、サシェは話しかけていた。元々サシェには、誰にでも話しかけ仲良くなってしまう謎のコミュニケーション能力があった。

 そのため、ボルゴともすぐに仲良くなると思っていたのだが……


「ボールゴ!」

「あっ、や、やぁ。えっと……じゃあ!」

「あっ」


 とか。


「ボルゴー、なに読んでるのー?」

「ひゃっ! いや、これは……話題の、作り方に、ついて……」

「へー、面白そう! 見せて見せてー!」

「っ……じ、じゃあこれで!」

「あぁー」


 とか。

 サシェが話しかけても、ボルゴはさっさと逃げてしまう。どんだけ引っ込み思案なんだ。

 これが普通の人ならば、もうボルゴに話しかけるのは諦めていたかもしれない。けれど、仲間であるサシェは……いや、そもそもサシェという人間は、諦めるということを知らない。


「ボルゴー!」

「ねえねえボールゴー」

「ボルボルー」


 何度となく話しかけ、何度となく振られ……それでも、諦めない。その姿に、私もエリシアもグレゴも、師匠も心揺さぶられるものがあった。

 それは、ボルゴ本人もそうなのだろう……最初は逃げてばかりだったのが、徐々に話に付き合ってくれるようになっていった。それだけじゃない……いつしか、ボルゴの方から話しかけてくれるようにもなった。


「あ、あの……僕も、訓練に混ざっても、いいかな……」


 それまで、殴って蹴って魔法撃ってばかりだった訓練に、守りの力が加わった。


「むぅうん!」

「っ!」


 私は、驚いた。ボルゴが『守盾もりたて』と呼ばれるほどに守りの力に特化しているとは聞いていたけど、その力を見るのは実は初めてだった。

 師匠の渾身の、拳の一撃。それを止めたときに、私はボルゴの力が本物だと感じた。地面に穴が空いてしまうほどの衝撃があってなお、ボルゴは一歩も下がらなかったのだから。

 ボルゴの守りの力は、なにもない空間から盾を出したり、そこにあるものに守りの力を付与するものらしい。だからたとえ木の板でも、ボルゴの手によれば鋼の硬さになる。

 ボルゴがその力を発揮するためには、守りたいという思いが必須らしい。魔王討伐の勇者パーティーメンバーに志願したからには、その気持ちは充分あるだろう。

 けれど、ボルゴが私たちに近寄ってきてくれたおかげで……その、守りたい力がより強くなったようだ。


「わー! ボルゴすごーい!」

「わわ!?」


 師匠の一撃を防いだ時点で、私の中でのボルゴの評価は急上昇。そんなボルゴに飛び付き抱きつくサシェのことも、認識を改める必要があった。あのボルゴを、ここまで引っ張り出してくれたんだから。

 今までただ賑やかなだけの、野生児だと思っていたけど……サシェには、不思議な雰囲気がある。誰の懐にも入り、いつの間にか彼女のペースに持っていかれてしまう。

 そんなサシェだからこそ、ボルゴがああなるのも無理はなかったのかもしれない。


「な、なあアンズ……その、さ、サシェって……か、彼氏とか、いるのかな……?」

「……はい?」


 引っ込み思案な性格のボルゴ……今でこそ私たちとよく話すようになった彼だが、今に至るまでには結構長い道のりがあった。

 そこにはサシェの存在が不可欠で……そしてそれは同時にサシェに、ボルゴが恋に落ちるきっかけとなった、始まりの物語でもあった。
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