異世界召喚され英雄となった私は、元の世界に戻った後異世界を滅ぼすことを決意した

白い彗星

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予期せぬ再会

くだらない

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「異世界……転生?」


 私のすいりを聞いたユーデリアが、わかりやすく「なに言ってんだこいつ」というような表情を向けてくる。なんか腹立つな。

 私だって、それが実際に正しいのかどうか、確かめたわけではない。そんなバカバカしいと思える話……ユーデリアの反応も納得だ。真偽のほどは、本人あこに聞くしかないだろう。

 だけど……この推理はおそらく、当たっている。というのも、私自身が異世界に召喚された張本人であるから。バカバカしいと思える話をバカバカしいと思えない証拠が、自分自身なのだからその可能性を捨てきるわけにもいかない。

 異世界で死んだ妹が、この世界にいる理由なんて……それしか、思い浮かばないのだから。


「それが、まあ本当かは置いといて……ここにいる以上、結果として疑いようがないってことか」

「そう、だね」


 結局のところ、どんな推論を立てて予想したとしても、あこがここにいることは変わらない。今考えるのは、あこがここにいる理由よりも、この先どうするかだ。


「じゃあつまり……死んだはずの妹がいるから、ここじゃ今までみたいなことはできないって、そういうことか?」

「まあ……そう、なるね」


 的確に、私の気持ちを当てられる。そうだ、シンプルなところ、ユーデリアが今言ったとおりだ。自分でも、気持ちがぶれているのがわかる。

 けれど、ユーデリアにだって妹が……いた。だったら、私の気持ちをわかってくれるんじゃないだろうか。わかってくれたところでなんだという話だが、どうすればいいか、一緒に頭を悩ませてくれるんじゃないか。そう、思った。


「……くだらない」

「え……」


 しかしその気持ちは、耳を疑うような言葉で、切り捨てられた。

 それはとても冷たく、誰が言ったのか一瞬わからないほどだった。だが、この場には私とユーデリア、コアしかおらず、私ではない。コアは人の言葉はしゃべれない。となると……その言葉を口にしたのは、一人しかいない。


「今、なんて……」

「聞こえなかったか? ……くだらないって、言ったんだ」


 確認のため聞き直しても、返ってくるのは先ほどと同じ言葉だ。くだらない、と……ただそれだけを、吐き捨てる。

 その言葉が聞き違いでないとわかったとき、胸の中に……なんともいえない気持ちが沸き上がってくるのを感じた。くだらない……くだらないだって?


「なにを……」

「だってそうだろ。今まで何人、何十人どころじゃない……何百何千を殺してきたと思ってるんだ。それを、妹がいるからやめたい? そんな程度のことで……くだらないだろ」

「や、やめたいなんて、言っては……」

「同じことだろう。ここを後回しとか言ってるが、この先迷いなく、これまで通りできると思うか?」


 ……ユーデリアの言うことは、客観的には間違っていないのだろう。これまで、数えきれないほどの人を殺してきて、死んだはずの妹が現れたからといってやめようだなんて……虫が良すぎる話だ。

 だけど、これは客観的な話。そんな簡単に割りきれる問題じゃないし、それに……


「キミ、だって……妹が、いたんでしょ。もしその妹が、死んだはずの妹が、現れたら……ためらう、でしょ?」


 ユーデリアならば、この気持ちをわかってくれると思った。もやもやしたこの気持ちを、どう解決したらいいのか。なのに……くだらないの一言で、片付けるなんて……!


「わか、ってるよ、私だって……変なこと、言ってるの。でも、これは……」

「いや、わかってない。……アン、ボクになんて言ってほしいんだ。気持ちはわかる、だからここは素通りしよう……か? ただ都合のいいことを言ってほしいだけだろう」

「く……」


 なにを、言ってほしいのか……私は、なんて言ってほしいんだ? 私はなにを……?


「言ったな、ボクにも妹がいたと。あぁ、もし同じ立場になったら、動揺はするさ……だけど、そんな奇跡は起きない。妹は、ボクの前で、死んだんだ」

「あ、あこ……あの子だって、死んだよ。けど、ここで生きてる……奇跡が起きてるんだ! だから……」

「だから、簡単なことだろ。あの店員は、ボクが殺す……それで、問題はないだろ」


 ……ころ、す? 誰を……あこを? 今、そう言ったのか?


「そうだ。妹を手にかけたくない気持ちはわかる。なら……せめてボクがヤろう。それなら、お前が気兼ねする必要はないだろう」

「……いや、それは……」


 私では、妹には手は出せない……だから、その役目をユーデリアが担う。それは、実に効率的といえるだろう。いえるだろうが……

 それは、手にかける人物が違うだけのこと。そんなのは……


「結局、あの子を殺すって、こと……?」


 誰がやろうと、結局はあの子を殺すということ。まさか私が正直に話したことで、ユーデリアが決意を固めてしまうとは、思わなかった。


「そ、そんなの……」

「ダメ、か? あれもダメこれもダメ……本当に、ひよったのか?」


 瞬間、体に寒気が。これは……ユーデリアの、冷気!

 こいつ、まさか今ここで、マルゴニア王国でやったみたいに、すべてを雪で覆い尽くすつもりか……?
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