4 / 16
セントラルパーク
しおりを挟む
歩き続けていると、前方に大きな森のようなものが見えてきた。人通りも多くなってきている。間違いない。あれがニューヨーク最大の公園、東京ドーム72個分の大きさを誇る(スマホにはそう書いてある)セントラル・パークだ!そしてついにその入り口にたどり着いた。とは言っても特に門らしい門があるわけではなく。受付っぽい人がいるわけでもない。そのへんは普通の公園と同じっぽい。そういうわけでいざ!公園内部へ!
正直に言うと、私はセントラルパークを何か自然のみを切り取ったようなあまり人の手の入っていないようなものを想像していたのだが、公園内部には普通に二車線の道路が整備されていた。もちろん車も普通に走っていく。だが、それも木々の風景に溶け込んで邪魔なものに感じない。むしろおしゃれだと思える。
『自然×都市風景、なかなか絵になるわね』
ベルはスマホのカメラで写真を撮りながら進む。ブログに載せるためだ。
『でもすごい…!本当に緑が豊か。大都会のど真ん中に本当に森があるようだ。
夢中になって進んでいると一軒のお店が現れた。
『わぁ、お洒落なカフェ…って看板にボートハウスって書いてある!』
ベルはベーカリーの店員の言葉を思い出し、店の中へ入って行きました。
中は高級料理店のような特別感に満ちていた。隣接した湖を一望できるテラス席には観光客や地元民らしき人がまばらに座っていて、まるで秘密基地のようだ。メニューをみると、パンケーキからアメリカン料理までかなりの種類があった…ここで朝食を摂ってもよかったかもしれない。
『この場所はぜひ記事にしたいわ…!』
ちょうどあまり人がいない時間だったため、女性ウェイターに取材をしたい旨を伝えると、いろいろと話を聞かせてくれた。
「このこの店は元々、ボートハウスがあった場所にレンガ造りの建物を借り受けて、1983年から営業されている歴史あるレストランなんです」
「そんなに長いんですね。そんなレストランの一番の人気メニューは…?」
「どれも人気だけどね。私のおすすめはこのパンケーキです」
そういいながらメニュー表を指差す。
「他にも、本格的なアメリカン料理など人気なメニューもたくさんあるんですが、最近ではSNSの影響で若い女性などに人気があります。」
「なるほど。他にこのお店の気に入っている所はありますか?」
「湖のみえるテラス席ですね。
都会の真ん中にある秘密のオアシスみたいな感じでとても気に入っているんです。」
『湖…そうだボート!』
「あの!」
思い出した衝撃でつい大きな声がでてしまう。こほん と咳払いを一つ挟んで何事もなかったように続ける。ウェイターの人が驚いた表情のままでいるが気にしない、気にしない。
「あの…ここはレストランとして営業されてボートハウスとしてボートのレンタルは行っていないんでしょうか」
「あ、あぁそのことですね…。もちろん行っていますよ。店に隣接しているボート乗り場かで貸出を行っています。」と案内してくれた。
レンタルボートの店員さんはいかにもアメリカ風の明るい男性だった
「おう!随分きれいな目をした姉ちゃんだ。取材でレイクの取材たぁお目が高いねぇ」
「レイク?」
「うん?知らないのか?レイクってのはこの湖の名前だよ。セントラルパークで唯一ボートに乗れるでかい湖なんだぜ」
レイク…Lake(湖)か…。随分そのままの名前だ。ちょっと面白い。
「ボートは一時間20ドルだ。値引きはしないよ」
「言われなくても値切りませんよ」
『話し慣れてる店員さんだな…。観光客相手に何回も説明するうちにちょっとテーマパークみたいな口調になったんだろうな。』
取材の面白い所は話を通して人や建物がその地で過ごすうちにどういう風に変わったのか真摯に伝わってくるところだ。
そして、その物の歴史そのものを記事にするのが私の仕事だ。
「言われなくても値切りませんよ。でも、そんな意地悪なこと言うならチップはなしでいいですよね?」
「おいおいそりゃー勘弁してくれよ」
店員が全身で『勘弁してくれ』のリアクションをとる。
「冗談ですよ」
きっちりと一時間分の料金とチップを支払うと「毎度あり!」という調子のいい声が響き渡った。
正直に言うと、私はセントラルパークを何か自然のみを切り取ったようなあまり人の手の入っていないようなものを想像していたのだが、公園内部には普通に二車線の道路が整備されていた。もちろん車も普通に走っていく。だが、それも木々の風景に溶け込んで邪魔なものに感じない。むしろおしゃれだと思える。
『自然×都市風景、なかなか絵になるわね』
ベルはスマホのカメラで写真を撮りながら進む。ブログに載せるためだ。
『でもすごい…!本当に緑が豊か。大都会のど真ん中に本当に森があるようだ。
夢中になって進んでいると一軒のお店が現れた。
『わぁ、お洒落なカフェ…って看板にボートハウスって書いてある!』
ベルはベーカリーの店員の言葉を思い出し、店の中へ入って行きました。
中は高級料理店のような特別感に満ちていた。隣接した湖を一望できるテラス席には観光客や地元民らしき人がまばらに座っていて、まるで秘密基地のようだ。メニューをみると、パンケーキからアメリカン料理までかなりの種類があった…ここで朝食を摂ってもよかったかもしれない。
『この場所はぜひ記事にしたいわ…!』
ちょうどあまり人がいない時間だったため、女性ウェイターに取材をしたい旨を伝えると、いろいろと話を聞かせてくれた。
「このこの店は元々、ボートハウスがあった場所にレンガ造りの建物を借り受けて、1983年から営業されている歴史あるレストランなんです」
「そんなに長いんですね。そんなレストランの一番の人気メニューは…?」
「どれも人気だけどね。私のおすすめはこのパンケーキです」
そういいながらメニュー表を指差す。
「他にも、本格的なアメリカン料理など人気なメニューもたくさんあるんですが、最近ではSNSの影響で若い女性などに人気があります。」
「なるほど。他にこのお店の気に入っている所はありますか?」
「湖のみえるテラス席ですね。
都会の真ん中にある秘密のオアシスみたいな感じでとても気に入っているんです。」
『湖…そうだボート!』
「あの!」
思い出した衝撃でつい大きな声がでてしまう。こほん と咳払いを一つ挟んで何事もなかったように続ける。ウェイターの人が驚いた表情のままでいるが気にしない、気にしない。
「あの…ここはレストランとして営業されてボートハウスとしてボートのレンタルは行っていないんでしょうか」
「あ、あぁそのことですね…。もちろん行っていますよ。店に隣接しているボート乗り場かで貸出を行っています。」と案内してくれた。
レンタルボートの店員さんはいかにもアメリカ風の明るい男性だった
「おう!随分きれいな目をした姉ちゃんだ。取材でレイクの取材たぁお目が高いねぇ」
「レイク?」
「うん?知らないのか?レイクってのはこの湖の名前だよ。セントラルパークで唯一ボートに乗れるでかい湖なんだぜ」
レイク…Lake(湖)か…。随分そのままの名前だ。ちょっと面白い。
「ボートは一時間20ドルだ。値引きはしないよ」
「言われなくても値切りませんよ」
『話し慣れてる店員さんだな…。観光客相手に何回も説明するうちにちょっとテーマパークみたいな口調になったんだろうな。』
取材の面白い所は話を通して人や建物がその地で過ごすうちにどういう風に変わったのか真摯に伝わってくるところだ。
そして、その物の歴史そのものを記事にするのが私の仕事だ。
「言われなくても値切りませんよ。でも、そんな意地悪なこと言うならチップはなしでいいですよね?」
「おいおいそりゃー勘弁してくれよ」
店員が全身で『勘弁してくれ』のリアクションをとる。
「冗談ですよ」
きっちりと一時間分の料金とチップを支払うと「毎度あり!」という調子のいい声が響き渡った。
0
あなたにおすすめの小説
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる