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序章
1話 少女と神様
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オフィス街まで徒歩数分という立地に住んでいる俺、各務佐にとって平日の真っ昼間に私服でコンビニまで買物へ、というのはなかなかに難易度が高い。
何せ道行く人々のスーツ率が高い。君は平日のこんな時間に働かずに何をしているんだい? とでも言いたげな視線を度々受けるのだ。
違うからね? ちゃんと働いてるからね? ただ休日に設定されてる日が平日になってるだけだからね?
などと誰に言うわけでもない言い訳を頭の中で繰り広げていると、前方に俺以上にこの場に相応しくない格好をした少女を見つけた。
小学校低学年くらいの背丈だが、髪の毛は伸びきってボサボサで着ている服もボロボロ。靴に至っては片方履いていない。前髪に隠れて表情はよく見えないが、まるで生気を感じない様子でぼーっと車道を見ている。
テレビで見たようなドキュメンタリーに出てくる途上国のスラムに住んでいる子供。そんなイメージを受けた。
気になって少し様子を見ていると大型のトラックが走ってきて、少女はそれを見ると道路へと飛び出した。
「な!? ばっかやろう!」
俺は声を上げて同時に地を蹴る。やや遅れたタイミングでトラックが急ブレーキを掛けて嫌な音を出すがスピードが殺しきれていない。
「くそ! 間に合え!」
懸命に車道へとダイブし少女を突き飛ばす事には成功した。
しかし―ー
あぁ、まぁ。そうなるよな。
◇
「あれ……? 何だ……。どこだここ」
いつものように眠りから目覚めるのと同じ感覚で意識が覚醒すると、周囲は俺の部屋でも、ましてや先ほど事故に遭った車道でもない。白を基調とした部屋であることから一瞬病院かとも思ったがこんな白一色でベッドもないような病室などあるわけがない。
「おや、目が覚めたかい」
声が聞こえた方を見ると、そこにはいかにも神様です。とでも言わんばかりの格好をした女性がいた。
ナチュラルブロンドの長髪に薄っすらと輝きを放つ白いローブ、ふわふわと宙を漂う羽衣? みたいな物を纏っている。
「あなたは……もしかして神様ってやつですか?」
「そうそう。わかりやすいだろう?」
一目で神様だとわかるようにそんな格好をしてるんだろうか。いや、そんなことよりもだ。
「すみません。いくつか聞きたいことがあるのですが」
「あぁ。わかっているよ。けど先に僕の質問に答えてもらえるかな?」
僕っ娘……。大好きです。
「何故君はあの少女を助けようとしたんだい?」
「何故って言われても、咄嗟に体が動いたというか」
昔から、見て見ぬ振りをするような人間にはなるな。困っている人がいたら助けてやれ。と言われて育ってきたおかげか他人の厄介事に首を突っ込みがちだった。あの少女を助けようと体が動いたのだってその気質からだと思う。
「咄嗟に体が動いた、か。それはおかしいな」
「おかしいって、人を助けようとする行為がそんな変ですか。いや確かに結果俺は死んでる? んだろうから笑っちゃうような話ではありますけど」
いくら神様が相手だからって俺の命をかけた行為をおかしいと言われれば腹が立つ。
「あぁ、すまない。そうじゃないんだ。君の行為は称賛に値するし、中々出来ることじゃない。問題は助けたのがあの少女だという事なんだよ」
「話が見えない。あの少女を助ける事のどこがおかしいのでしょうか」
神様はうーん、と手を顎に当てて考えるような動作をし、まあいっか。と呟いた。
「実はあの少女には呪いが掛けられている、というか僕が掛けた」
「呪い? 掛けたって……」
実は恐ろしい神様なのだろうか。
「輪廻転生、という言葉は聞いたことがあるだろう。死後、魂は天へと還り浄化され再び地へと降りるというアレだ。しかしあの少女の魂は前世において大罪を犯した。その罰として全ての生命から忌避され、あらゆる災厄が降りかかる呪いを掛けたのさ」
「それで俺が彼女を助けようとしたのがおかしい、と。でも魂は浄化されるのでは?」
「本来ならね。ただ彼女のようにあまりに重い罪を犯した魂は転生後になんらかのペナルティを負うことになるんだ。簡単に言えば『死んだくらいで許されると思うな』ってやつだよ」
死して尚赦されない罪。一体どれほどの事を前世の彼女はしでかしたというんだろうか。
「とにかく、僕が掛けた呪いが君に効いていない原因を調べさせてもらうよ」
そう言うと神様は俺の胸に手を当てた。
何せ道行く人々のスーツ率が高い。君は平日のこんな時間に働かずに何をしているんだい? とでも言いたげな視線を度々受けるのだ。
違うからね? ちゃんと働いてるからね? ただ休日に設定されてる日が平日になってるだけだからね?
などと誰に言うわけでもない言い訳を頭の中で繰り広げていると、前方に俺以上にこの場に相応しくない格好をした少女を見つけた。
小学校低学年くらいの背丈だが、髪の毛は伸びきってボサボサで着ている服もボロボロ。靴に至っては片方履いていない。前髪に隠れて表情はよく見えないが、まるで生気を感じない様子でぼーっと車道を見ている。
テレビで見たようなドキュメンタリーに出てくる途上国のスラムに住んでいる子供。そんなイメージを受けた。
気になって少し様子を見ていると大型のトラックが走ってきて、少女はそれを見ると道路へと飛び出した。
「な!? ばっかやろう!」
俺は声を上げて同時に地を蹴る。やや遅れたタイミングでトラックが急ブレーキを掛けて嫌な音を出すがスピードが殺しきれていない。
「くそ! 間に合え!」
懸命に車道へとダイブし少女を突き飛ばす事には成功した。
しかし―ー
あぁ、まぁ。そうなるよな。
◇
「あれ……? 何だ……。どこだここ」
いつものように眠りから目覚めるのと同じ感覚で意識が覚醒すると、周囲は俺の部屋でも、ましてや先ほど事故に遭った車道でもない。白を基調とした部屋であることから一瞬病院かとも思ったがこんな白一色でベッドもないような病室などあるわけがない。
「おや、目が覚めたかい」
声が聞こえた方を見ると、そこにはいかにも神様です。とでも言わんばかりの格好をした女性がいた。
ナチュラルブロンドの長髪に薄っすらと輝きを放つ白いローブ、ふわふわと宙を漂う羽衣? みたいな物を纏っている。
「あなたは……もしかして神様ってやつですか?」
「そうそう。わかりやすいだろう?」
一目で神様だとわかるようにそんな格好をしてるんだろうか。いや、そんなことよりもだ。
「すみません。いくつか聞きたいことがあるのですが」
「あぁ。わかっているよ。けど先に僕の質問に答えてもらえるかな?」
僕っ娘……。大好きです。
「何故君はあの少女を助けようとしたんだい?」
「何故って言われても、咄嗟に体が動いたというか」
昔から、見て見ぬ振りをするような人間にはなるな。困っている人がいたら助けてやれ。と言われて育ってきたおかげか他人の厄介事に首を突っ込みがちだった。あの少女を助けようと体が動いたのだってその気質からだと思う。
「咄嗟に体が動いた、か。それはおかしいな」
「おかしいって、人を助けようとする行為がそんな変ですか。いや確かに結果俺は死んでる? んだろうから笑っちゃうような話ではありますけど」
いくら神様が相手だからって俺の命をかけた行為をおかしいと言われれば腹が立つ。
「あぁ、すまない。そうじゃないんだ。君の行為は称賛に値するし、中々出来ることじゃない。問題は助けたのがあの少女だという事なんだよ」
「話が見えない。あの少女を助ける事のどこがおかしいのでしょうか」
神様はうーん、と手を顎に当てて考えるような動作をし、まあいっか。と呟いた。
「実はあの少女には呪いが掛けられている、というか僕が掛けた」
「呪い? 掛けたって……」
実は恐ろしい神様なのだろうか。
「輪廻転生、という言葉は聞いたことがあるだろう。死後、魂は天へと還り浄化され再び地へと降りるというアレだ。しかしあの少女の魂は前世において大罪を犯した。その罰として全ての生命から忌避され、あらゆる災厄が降りかかる呪いを掛けたのさ」
「それで俺が彼女を助けようとしたのがおかしい、と。でも魂は浄化されるのでは?」
「本来ならね。ただ彼女のようにあまりに重い罪を犯した魂は転生後になんらかのペナルティを負うことになるんだ。簡単に言えば『死んだくらいで許されると思うな』ってやつだよ」
死して尚赦されない罪。一体どれほどの事を前世の彼女はしでかしたというんだろうか。
「とにかく、僕が掛けた呪いが君に効いていない原因を調べさせてもらうよ」
そう言うと神様は俺の胸に手を当てた。
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