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序章
4話 スキルと暗闇
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「分かりました。俺、アルグランデに住む人々を救います!」
前世での娘だと言われてもいまいちピンとこないし、今の彼女を見たのだって今日が初めてで会話をしたわけでもない。それでも救うために異世界まで人助けしに行くなんて頭がおかしいと言われるかもしれない。
それでも、仕方ないじゃないか。助けたいと思ってしまったんだから。
「そうか。なら簡単にアルグランデの事を説明しておくよ」
神様が言うには、アルグランデという世界は地球でいう所の中世ほどの時代に相当するが、大きな違いは魔法やスキルといったまるでゲームのようなシステムがあることと、人間族以外にも多種多様な人種が存在していること。危険な魔物なんかも生息しており、襲われて命を落とす人が多い、などの事を教えてもらった。
「それと、アルグランデに行くに当たって君には二つのスキルを贈らせてもらうよ」
「スキル……ですか。危険な魔物もいるって事ですし、戦闘系のスキルとかでしょうか」
正直そういう系のスキルがあるとないとでは大分違いが出ると思われる。
人を襲う危険な魔物がいるということは戦闘系スキルを持っていればそれを駆使して人助けをするチャンスがある。いや襲われる人なんていない方がいいんだけど。
「いや、もっといいものさ。正直人の身には余る代物だけど彼女の魂を浄化するレベルとなるとこれくらいは必要だろうと思ってね」
それは所謂チートと呼ばれるスキルだろうか。ただ『人の身には余る』という点が気になる。
「もし君がこの力を使って悪さをしようものなら、その罪は彼女にツケておくから覚えておいてね」
「しませんよ!?」
当然悪用なんてする気はないが、悪用しようと思えばいくらでもできるスキルって事か。
「冗談さ。スキルの説明をするよ。一つは『世界の記憶』。アルグランデという世界で起きた過去から現在におけるありとあらゆる出来事を自動で記録するスキルだ。風で小さな石ころが転がった事から世界を揺るがす大戦争まで全てを記録している。そしてもう一つは『森羅万象』。アルグランデに存在するありとあらゆる事象、現象、万物を理解できるスキルだ」
人の身に余るどころか人が持っていい力を超えてないかそれ。マジのガチで悪用しようと思えばいくらでもできるぞ。
「ちょ、ちょっとサービス良すぎませんか。どう考えても人が持っていい力の範疇を超えているような」
「そうなんだけどね。さっきも言ったけど本当にこれくらいが必要なんだよ。本気で彼女の魂を浄化しようとするのならね」
世界滅亡の危機やべぇ。
「さて、もうちょっと色々と説明してあげたい所だけど生憎僕も暇じゃなくてね。そろそろアルグランデへ行ってもらうけど最後に何か質問はあるかい?」
「え? じゃあ、神様の名前は何ていうのですか」
もうちょっと何か気の効いた質問もあっただろうけど、咄嗟に出てきたのがこれだった。
「ふふ、すぐにわかるよ」
神様がそう言って微笑みを浮かべた表情を見たのを最後に、俺の視界と意識は暗闇に閉ざされた。
前世での娘だと言われてもいまいちピンとこないし、今の彼女を見たのだって今日が初めてで会話をしたわけでもない。それでも救うために異世界まで人助けしに行くなんて頭がおかしいと言われるかもしれない。
それでも、仕方ないじゃないか。助けたいと思ってしまったんだから。
「そうか。なら簡単にアルグランデの事を説明しておくよ」
神様が言うには、アルグランデという世界は地球でいう所の中世ほどの時代に相当するが、大きな違いは魔法やスキルといったまるでゲームのようなシステムがあることと、人間族以外にも多種多様な人種が存在していること。危険な魔物なんかも生息しており、襲われて命を落とす人が多い、などの事を教えてもらった。
「それと、アルグランデに行くに当たって君には二つのスキルを贈らせてもらうよ」
「スキル……ですか。危険な魔物もいるって事ですし、戦闘系のスキルとかでしょうか」
正直そういう系のスキルがあるとないとでは大分違いが出ると思われる。
人を襲う危険な魔物がいるということは戦闘系スキルを持っていればそれを駆使して人助けをするチャンスがある。いや襲われる人なんていない方がいいんだけど。
「いや、もっといいものさ。正直人の身には余る代物だけど彼女の魂を浄化するレベルとなるとこれくらいは必要だろうと思ってね」
それは所謂チートと呼ばれるスキルだろうか。ただ『人の身には余る』という点が気になる。
「もし君がこの力を使って悪さをしようものなら、その罪は彼女にツケておくから覚えておいてね」
「しませんよ!?」
当然悪用なんてする気はないが、悪用しようと思えばいくらでもできるスキルって事か。
「冗談さ。スキルの説明をするよ。一つは『世界の記憶』。アルグランデという世界で起きた過去から現在におけるありとあらゆる出来事を自動で記録するスキルだ。風で小さな石ころが転がった事から世界を揺るがす大戦争まで全てを記録している。そしてもう一つは『森羅万象』。アルグランデに存在するありとあらゆる事象、現象、万物を理解できるスキルだ」
人の身に余るどころか人が持っていい力を超えてないかそれ。マジのガチで悪用しようと思えばいくらでもできるぞ。
「ちょ、ちょっとサービス良すぎませんか。どう考えても人が持っていい力の範疇を超えているような」
「そうなんだけどね。さっきも言ったけど本当にこれくらいが必要なんだよ。本気で彼女の魂を浄化しようとするのならね」
世界滅亡の危機やべぇ。
「さて、もうちょっと色々と説明してあげたい所だけど生憎僕も暇じゃなくてね。そろそろアルグランデへ行ってもらうけど最後に何か質問はあるかい?」
「え? じゃあ、神様の名前は何ていうのですか」
もうちょっと何か気の効いた質問もあっただろうけど、咄嗟に出てきたのがこれだった。
「ふふ、すぐにわかるよ」
神様がそう言って微笑みを浮かべた表情を見たのを最後に、俺の視界と意識は暗闇に閉ざされた。
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