ニュートンの林檎のアップルパイ

はなえ

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面接の結果は、翌々日に連絡があった。
 ハローワークに向かう道の途中、知らない番号からの着信に応答すると、まさかの「不採用」を言い渡された。
 一体、何がいけなかったのか。電話してきたのは、例の男の子だ。
 恐縮して、言いにくそうに採用結果を通知されて、「また何か良い仕事があったら連絡します」と言われ、電話が切れた。
 なんてこった。どーでもいいけど、面接ん時の交通費だけでも返してほしい。
 ムシャクシャしながらも、予定通りハローワークの給付課に書類を提出し、30分くらい待って、無事に給付金がもらえることになった。なんだかほっとする。
 収入がないって、ほんと恐ろしい。
 掲示板には求人票がいくつも貼ってあり、フラフラと近づいて眺める。
 働かなきゃなあ、と他人事のように思う。
 アルバイト、時給1700円の求人票に思わず顔を近づける。
 ・・・・・力仕事。男向けの仕事だ。
 こういう力仕事も、明らかに若い女の子が欲しそうな庶務事務の仕事も、応募条件欄では性別について触れていない。
 男女雇用機会均等法、ってやつか。
 でも、採用する側にとっても応募する方にとっても、効率悪いんじゃない、コレ。
 履歴書1枚書くのって、それなりに時間かかるし、証明写真とるのにお金いるし、私だったらムダな応募はしたくないんだけど。
 それでも、これは有り難い話なのかもしれない。
 名目上は、男女の別なく、努力次第で、好きな仕事に就ける。仕事ができる。
 それは長い歴史の中で見たら、つい最近になってからのことだろうし、この広い世界の中には、未だにそれを得ようと戦ってる人たちがいる。
 今、この国のこの男女平等っぽい状況は、女の先輩達の努力があってのことなんだろう。
 そう考えると、胸が痛い。
 女性の社会進出を目指して頑張ってくれた女の先輩達に申し訳ない、私のこのテイタラクっぷり。
 義務教育+高校+大学。
国と親にそこそこ恵まれた環境を与えてもらっておきながら、努力という努力などせず、特に何かの技術も得ないまま社会に出て、大した仕事もせず、今またこうして給付金なんかもらってしまって。本当にだめな人間だ、私。
 だけど。

 女の大先輩達、スミマセン。
 私は、先輩方が、もしかしたら人生をかけて私たちのために勝ち得てくれたのかもしれないモノを、何一つ活かせていません。完全にもて余しています。
 それどころが、ちょっと余計なことしてくれたよな~、なんて思う時が多々あります。
 向いてないんですよ、会社勤め。
 かといって、何か違うことできるような才能とかも持ち合わせてないんですよ。
 この時代に生まれちゃって、やっちまったなー、ですよ。
 昔だったら、こんな私でも30にもなれば、誰かがお膳立てしてくれて、どこかの男と結婚して子供の1人や2人いるでしょーよ。
 でも、何でも自分で選べる時代は、何でも自分で選ばなければならない時代で、選んだことへの責任は全て自分にかかってくるわけで。
 才気あふれてるわけじゃない、平凡な女には正直辛いです、この平成の世。
 だからいっそ、「女の幸せは結婚して子供を育てて家を守ること!」って誰もが疑わない時代に生まれてたら、道を見失うなんてこともなかっただろーに、とか思っちゃうんです。
 情けない後輩で、申し訳ありません。
 でも、もう本当に、本当に、苦しいんです。
 
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