四度目の勇者召喚 ~何度召喚したら気が済むんだ!~

遠竹

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第一章 四度目の勇者の実力

到着と対決

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 鳴神先生から与えられた罰(正座)を終え、産まれたての子鹿のように足をプルプルさせながら、魔王についての報告をするために必死に歩いてランギールの所へ向かった。
 正座慣れしてないから、物凄く痺れて歩きにくい……。
 菜奈とリーアとユールに足がプルプルしていることを笑われてムカついたが、意趣返しも仕返しもできないほどに痺れていたので断念した。
 ようやくランギールの所に着いてから思い出した事がある。
 転移魔法使えばよかった、と。
 しかし、ここまで来てしまったので時既に遅しだ。
 そんな思いは頭の片隅に追いやって、ランギールに報告をした。
 報告を終えてランギールが放った一言はこうだった。

「……それだけか?」
「それだけって、何が?」
「ユールのことは報告してくれないのか?」
「そうなの父上っ! 僕、ユウトと結婚するんだよ!」

 俺が言うまでもなくユールが報告してしまった。

「そうかそうか! これでもう思い残すことはない。明日死んでも大丈夫だ」
「縁起でもないこと言うなよ……」
「そうだよ父上、僕とユウトの間にできた子どもを見てほしいんだから!」
「そうか、それがあったか! 失念しておった!」

 そう言って高笑いするランギール。
 どれだけ俺とユールを一緒にさせることに必死だったんだ……。

「話題は変わるけど、そろそろ魔王の所へ行こうと思う」
「まぁ、頃合いだろう。魔王が来たことであるしな」

 というわけで、魔王の所へ向かう旨を鳴神先生に伝えると、クラスメイト達や騎士団の人達に伝えにいった。
 なので、俺もグランとフーリエに伝えにいった。
 それからしばらくして、全員出発の準備を終えて揃ったので、獣人の国をあとにした。
 もちろん、ユールも同行している。
 これはリーアの時と同じ理由だ。
 二人は連れていくのにユールだけ連れていかないのは憚られたから。ただそれだけ。
 魔王の所へはクラスメイト達が乗ってきた馬車に乗って向かったため、魔王の所に行くのに1ヶ月掛かるところ、半月で着いた。
 魔王の所に着くまでの間、俺はクラスメイト達に戦闘訓練をみっちり仕込んだ。
 そのお陰でレベルは80になり、戦い方も様になってきた。
 勝手な行動をした奴は【麻痺の矢パラライズアロー】、が効いたんだと思う。
 鳴神先生には毎晩、俺が【光球ライトボール】で照らす中、グランに倣って剣捌きや体捌きの特訓をしてもらった。
 グランは体に覚え込ませる系の指導方法だから最初の方は戸惑っていたが、慣れてきた辺りから、体が自然にグランの剣捌きに対応するまでになった。
 これには先生も大喜び。
 グランを師匠と呼び始めた。
 呼ばれた本人は満更でもない表情で師匠面をし始めたので、俺が粛正しておいた。
 もちろん剣で。
 先生は、初めて俺の剣技を見て驚いた。

「石崎くん、師匠より強いんだね、驚いたよ」
「まぁ、グランは異世界人の俺を除けば国一の剣士ですし、俺の剣もグランに習って覚えましたから師匠と言えば師匠ですよ」
「その師匠をボコボコにするのは先生、許容しかねるかな」
「いやいや、弟子は師匠を越えるものでしょう? 師弟関係のさがですよ」
「だとすると先生も師匠を越えないといけなくなるんだけど……」
「そうですね。先生なら大丈夫ですよ、頑張ってください」

 そう言って俺はグランに【回復ヒール】を掛けた。

「ユウトには敵わないな……。、ナルカミを鼓舞するために私に剣を習ったと言うとは……」
「まぁ、嘘も方便って言うし、これで先生が強くなるんなら問題ないだろ」
「それはいいが、少しは手加減してほしいものだ……」
「国一の剣士がなに言ってんだよ。シャキッとしろ、シャキッと!」
「あ、あぁ……」

 そんな会話を鳴神先生に聞かれないように小声で話した。
 まぁ、そんなこともありつつ魔王の所に着いた訳だが、思いっきり魔王軍に待ち伏せというか出迎えられた。
 もちろん、臨戦態勢で。
 しかも、こっちの心の準備ができていないのに進軍してきたため、俺とグランとフーリエ以外はざわついた。
 俺は、急いで全員を馬車から降りさせ、魔王軍と対峙させた後、俺は皆に向けてこう言った。

「じゃあ、魔王軍は任せた!」

 そう言った後、俺はグランとフーリエ,菜奈とリーアとユールを連れて魔王の所に向かった。
 当然ながら魔王軍が道を塞いでいるので、クラスメイト達の負担を減らす為にも少し蹴散らしながら進もうかと思っていた矢先、魔王軍が左右に分かれて道を作った。
 通れるなら仕方ないので何もせずそこを通って先へ進んだ。
 街中を通り、魔王城に辿り着くと、なぜか魔王が城の外で待っていた。


 ◆◇◆◇◆


「待っていたぞ、勇者ユウト!」
「戦う前に聞いておきたいことがある」
「ん? なんだ?」
「この前来たときコイツのことチラチラ見てたらしいじゃないか」
「あぁ、それは、可愛いなぁ、妾にしたいなぁと思ってチラチラと見ていたのだが、それがなんだと言……」
「はい、死刑。【サンダー】」
「ギャアァァァァァァ!?」

 完全に邪な目で菜奈を見たことにより、魔王に死刑判決を下した。

「急に攻撃するとは卑怯だぞ!」
「俺の女に手を出そうとするお前が悪い」

 く、口が勝手に……!
 これじゃ完全にキザな奴じゃないか……!

「俺の女だと!? なら、あとの二人はなんなんだ!?」
「どっちも俺の女だ」

 うわ、また勝手に……!
 見せつけてる感満載じゃないか。

「く、クソッ……! なぜだ、なぜ勇者ユウトにはあんなに妾が居るのに我輩だけ一人も居ないのだ!? それもこれも勇者ユウト、貴様が我輩を倒すからだ! そのせいで妾が作れないのだ! そうだ、そうに決まっている!」

 思いっきり因縁つけられたんだけど!?
 確かに俺が倒してるせいでそんな時間が取れないのはわかる。
 わかるけど、魔王を退治しないわけにはいかないんだよ、こっちだって勇者としての義務で来てるからな。
 和解してくれるなら話は別なんだけどな。
 なんてことを思っていると、魔王が攻撃してきた。

「【闇炎ダークフレア】」

 魔王がそう唱えると、空中に黒い炎の塊が幾つか出現し、俺に向かって飛んできた。
 俺はそれを【反射リフレクション】で返した。

「くっ……! ならばこれはどうだ! 【深淵の炎アビスフレア】」

 これは、【太陽の炎サンフレア】の逆で空中にダークホールみたいなものが浮かび、そこから炎が延々と放たれる魔法だ。
 なので、こちらも【太陽の炎サンフレア】で応じた。
 互いの炎が当たる前に互いの炎同士が衝突し、俺と魔王には一発も当たらなかった。
 炎が尽きた後、すかさず俺が【雷槍サンダースピア】を放つと、今度は魔王が【反射リフレクション】を使って跳ね返してきた。
 跳ね返ってきた【雷槍サンダースピア】を【土壁マッドウォール】を唱えて分厚い土の壁を造って防いだ後、死角から魔王の後ろへ回り込んだ。
 そして聖剣を抜き、魔王に斬りかかる。
 聖剣は魔王に当たる寸前で剣に防がれてしまった。

「チッ……!」

 当たらなかったことに舌打ちをしながら一旦魔王から距離を取る。

「どうした勇者ユウト、その程度ではないだろう?」

 そう言った後、かかってこいとばかりに人差し指をクイクイとしてくる。
 急に魔王らしくしやがって、ムカつくな……。
 挑発してくる魔王に向かって走り、連続で斬りつける。
 結構速く斬りつけたからか、余裕綽々よゆうしゃくしゃくだった魔王は捌ききれずに多少の傷を負った。

「どうした魔王、その程度じゃないだろう?」

 さっきの意趣返しができて満足していると、今度は魔王が連続で斬りつけてきた。
 魔王の剣の速さはグランの方が速いくらいなので、簡単にかわしたり防いだりすることができた。
 傷を負わずに防ぎきると、魔王は息切れを起こしていた。
 俺はそんな魔王の首もとに剣を突きつけながらこう言った。

「勝負ありだな」
「あぁ、そのようだな……!」

 そう言いながら、魔王は最後の力を振り絞るように剣を振りかぶって来たので、俺は魔王の心臓目掛けて聖剣を突いた。
 結果、聖剣が振りかぶった状態の魔王の体を貫いた。
 魔王は血ヘドを吐きながら俺にこう言った。

「リベンジだ、勇者ユウト……! 次は負けん……!」

 魔王のその言葉に、俺はこう答えた。

「幾らでも相手してやるよ」

 俺の言葉の後、魔王の体はサラサラと粒子になっていった。
 復活期間に入った証拠だ。
 粒子になっていく魔王を見届けた後聖剣を納めると、グラン達が駆け寄ってきた。
 よく見ると、菜奈とリーアとユールは顔を赤くしている。

「三人とも顔を赤くしてどうした?」
「ユウトが『俺の女』と言ったのが嬉しかったのではないか?」

 俺の質問にグランが答え、グランの言葉で理解した。

「あぁ、あれか。べつに事実だからいいだろ? 恥ずかしがることないじゃないか」

 いや、内心では物凄く恥ずかしいと思ってるけど……。

「そ、そう、だよね! 祐人の女、だもんね!」
「そうですね、ユウト様の女、ですもんね!」
「女って言ってくれるなんて、やっぱりユウトを選んでよかった!」

 顔を赤くしたままそう口々に言う三人に苦笑いする俺。
 そこへ、クラスメイト達がやって来た。

「あ、あれ? もう終わった感じ?」
「なんだよ、せっかく来てやったのに!」
「つまんねぇの!」

 そんな不満を俺に向かって言うクラスメイト達。
 そんなこと言われても、終わってしまったんだから仕方ないだろ。
 文句なら死んだ魔王に言ってくれ。
 剣術をそんなに極めてなかった魔王に。

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