四度目の勇者召喚 ~何度召喚したら気が済むんだ!~

遠竹

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第一章 四度目の勇者の実力

その後と別れ

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 魔王を倒しクロードの治める国に戻った俺達は、獣人の国,エルフの国,ドワーフの国でパレードモドキをしながらクロードの治める国に戻ってきた。
 帰りはそのせいもあって、馬車でも1ヶ月半掛かった。
 行きと合わせて3ヶ月しか経っていないため、送還用の魔力が貯まるまでの9ヶ月は異世界観光となった。
 しかし、俺にとってのこの9ヶ月間は地獄のようだった……。
 何かと言うと、クラスメイト達にも俺がこの世界に残ることを伝えたのだが、羨ましがる人達も含めて俺が残る理由を察していた。
 察していたせいか、自分達が居る間に結婚式を挙げようということになり、俺の意見そっちのけで国を挙げての結婚式の準備が始まった。
 まぁ、百歩譲って結婚式を挙げるのは良しとしよう。
 菜奈もリーアもユールも喜んでくれてるし。
 だがしかし、参列するのが親族やクラスメイト達や先生だけでなく、国民全員もというのが解せない。
 どこでいつやるのかと思えば、クロードの演説をするための広場で野外結婚式を2ヶ月後にやるそうだ。
 その2ヶ月の間、菜奈とリーアとユールは終始浮かれっぱなしだった。
 俺はと言うと、嬉しいことは嬉しいのだが菜奈とリーアとユールを見る度に不安になって気が気じゃなかった。
 これがマリッジブルーってやつか。
 そんなことを思いながら2ヶ月を過ごし、ついに来てしまった結婚式当日。
 誓いを立て、指輪を嵌めてキスをして式を終えると、これで終わりかと思いきやパレードをさせられ、それが終わると今度はパーティーがあり、それが終わるとようやく忙しさから解放された。
 まぁ、夜にもしなければならないことが有ったので、それはそれで忙しかったけど。
 それからというもの、妻になった三人は今まで以上に俺に対して積極的になった。
 ただ、リーアとユールは今までの延長線でベタベタくっついてきたり食事の時にあーんをしてきたりするだけであまり変わってない。
 それに比べ菜奈は、くっついてくるのとあーんをしてくるのに加え、俺が一日出掛けると知れば一人で頑張って作った弁当を渡してくれたり、家事全般をしてくれたりと、非常に妻らしいことをしてくれる。
 料理くらいはやろうか? と聞いた時の菜奈の答えが、「それは子どもができてお腹が大きくなった時と育児が大変な時期だけ。祐人には、家に居るときぐらいは休んでいてほしいから」だった。
 その言葉があまりにも嬉しくて、ついその場の勢いで抱き締めてしまった……恥ずかしい……。
 そんなこともありつつ、残りの7ヶ月が過ぎていった。


 ◆◇◆◇◆


 そしてついに召喚されてから一年になり、送還用の魔力が貯まった。
 元々帰りたかったという気持ちを持っていたクラスメイトは素直に「やっと帰れる!」と喜んだが、それでも一年過ごしてみたら思ってたよりもこの世界で住むのが楽しいと思ったクラスメイトは「えぇ? もう帰んの?」と名残惜しそうにした。
 しかし、鳴神先生の“帰ったら焼き肉を奢る宣言”により「えぇ? もう帰んの?」が「よっしゃ、すぐ帰ろう!」になった。
 焼き肉の力ってスゲェー!
 というか、この人数の焼き肉を奢るって、鳴神先生の懐事情はどうなってるんだ?
 ただ、まだ一部帰りたいような帰りたくないような微妙なクラスメイトが居た。
 すると、鳴神先生が俺に向かってこう言った。

「いやぁ、石崎くんに奢れないのは残念だなぁ。本当に残念」

 わざと言ってるのを察した俺は、先生の作戦に乗ることにした。

「そうですね。帰らなかったら焼き肉なんてこっちじゃ一生食べれませんからね。心優しい鳴神先生だったら、さぞ美味しいお店に連れてってくれるんでしょうね」

 最後にちょっとハードルを上げて返すと、鳴神先生はなんの躊躇もせず、任せろと言った後こう続けた。

「駅前にできた有名店に連れてってあげるよ」

 なっ!? 駅前にできた有名店!?
 そこに行くとか、先生の作戦に乗らなくても羨ましいんだけど!?
 というか、本当に先生の懐事情はどうなってるんだ?
 確かあの店、結構お高いお肉ばかりだった気が……。
 まぁ、そのお陰でクラスメイト全員が帰る気になったけど……。
 しかも、クラスメイト達が喜びのあまり先生を胴上げして大騒ぎする始末。
 これには、焼き肉を知らないクロードを始め騎士団の人達,グラン,フーリエ,リーア,ユール達などは何が起きているのかさっぱりだという表情をした。

「ゴホン、そろそろ送還したいのだがよろしいか?」

 クロードがそう言うと、我に返ったクラスメイト達は恥ずかしそうに先生を降ろして鎮まった。
 それを見てからクロードは言葉を続けた。

「そこにある魔法陣に乗れば送還が始まる。ユウトやクラハシ殿に言いたいことがあれば、今のうちに言っておくとよいだろう」

 その言葉を聞いた後、真っ先に先生が話し掛けてきた。

「石崎くんと倉橋さんならこの世界でもやっていけると先生は信じてる。ご両親にはきちんと説明するから安心して。あと、この世界は医療が進んでないから、病気にならないように手洗いうがいをちゃんとすること。自分の命はもちろん、他人の命も大切にすること。むやみに人の命を奪わないようにね。あとは……」
「先生、長い! 早く帰って焼き肉食べようよ!」
「そうそう、そんなハーレム野郎なんて放っといてさ!」
「そうだそうだ!」

 焼き肉食べたさに先生の長い別れの言葉に横やりを入れ、サラッと俺の悪口も言ってくるクラスメイト達。
 先生はため息をつくと、まとめに入った。

「まぁ、とにかく、体には気をつけてほしいことと、立派な家庭を築いてほしいってことを言いたかったんだよ」

 笑ってそう言った後、先生はクロードにも挨拶をしてからクラスメイト達と共に魔法陣に乗った。
 すると、魔法陣が光だし、皆の姿が足から消えていった。
 消える間際、先生が手を振ってきたので俺と菜奈が振り返したところで、皆の姿は跡形もなく消え去った。
 賑やかな連中が居なくなったため、急に静かになって寂しさを感じる俺だった。

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