四度目の勇者召喚 ~何度召喚したら気が済むんだ!~

遠竹

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第二章 四度目の勇者の10年後

魔王退治へ行く前に

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 ギルドに行き、ギルド役員全員に魔王退治に行くということを話すと、またかといった呆れの混じった雰囲気になった。

「なんだよ? なんでそんな雰囲気になるんだよ……」

 ふて腐れ気味に聞くと、副ギルド長であるフレイスが答えた。

「確かにギルド長は元とはいえ勇者であり、ただ一人のレベル最大をお持ちで、五度も魔王討伐を成した方です。しかし、今の貴方はこのギルドのギルド長です。もう他の異世界人に任せてもよろしいのでは?」

 仕事に専念しろ、と言外に言われた気がする。
 というかもう顔がそう言ってる。
 だが断る! 今回だけは!

「今回だけはやらせてくれ。じゃないと我が子達のために公園を造る計画が台無しになるんだ……!」

 俺がそう言った瞬間、フレイスを始めとするすべてのギルド役員がため息をついた。
 なぜそうなる!?
 俺にとって公園を造ることは、魔王退治より大事なことだぞ!?
 魔王退治なんて二の次……いや、百の次だ。
 今回は、公園を造る為には魔王退治をしなきゃいけないという条件だから倒しに行くだけだ。

「相変わらず親バカですね……」
「親バカだけど、それがどうかしたのか?」
「……まぁ、仕方ありませんね。今回だけですよ? 次回からは他の異世界人に任せてくださいね?」
「わかった」
「皆、聞きましたね? 言質は取りました。ギルド長、これで言い逃れはできませんよ」

 そこまでするのかと思ったが、ギルド長が留守にするのはよくないし、仕方なのないことだと受け入れるしかないか。


 ◆◇◆◇◆


 ギルド役員に魔王退治のことを話し終えた俺は、一旦家に戻った。
 そして、聖剣を押し入れから取り出し、さて城に行ってクロードにギルド役員の意見を通すかと思って家を出ようとした。
 すると、マルクスが頼み込んできた。

「お願いします祐人さん! 僕も連れていってください! 役に立って見せます!」

 まぁ、役に立たないなんてことは無いだろうけど……。
 なんせ忍術使えるわけだし。
 あ、そうだ、良いこと思いついた。
 今後の魔王の相手はマルクスに任せればいいんじゃないか?
 レベルも80越えてるらしいし。
 思い立ったが吉日、付いてくることを認めて城へと向かった。
 城に着くと、俺は早速クロードにマルクスを紹介した。
 それからギルド役員の意見を伝え、今後はマルクスを頼ってくれと言った。

「なるほど、異世界人の転生者であれば勇者同様の力を備えていても不思議ではない。わかった、今後はマルクス殿を頼ることとしよう」
「本当に僕がやってもいいんですか? そういうのは勇者にやってもらった方が外聞がいいんじゃないですか?」

 マルクスの質問に、クロードは「それなのだが……」と前置きすると、本音をぶちまけた。

「一々喚んで説明して訓練させて魔王と戦わせる、正直言って面倒なのだ……。ユウトが召喚されてからは一々説明せずともよかったし、この世界に残る選択をしてからも頼れた。しかし、これからまた召喚を行うとなると、当然、この世界のことを知らぬ異世界人がやって来ることになる。そうなるとまた一から説明して訓練させなければならんのだ……」

 長々と何を言うかと思えば……それもうほぼ愚痴じゃないかよ……。
 気持ちはわからんでもないけど。

「ま、まぁ、とにかく、これ以上異世界人を巻き込む訳にはいかんのだ。マルクス殿、どうか頼む……!」

 そう言ってクロードが頭を下げた。
 マルクスはと言うと、クロードが頭を下げたことに驚いた様子だ。
 たぶんイメージしていた王様という身分の人と違っていたのだろう。
 まぁ、大体の身分の高い人って自分の権力を振りかざしてくる人ばかりだから、マルクスの反応は当然と言えば当然と言えると思う。
 クロードはむしろ、そんなことをする身分の高い人を排斥するほど嫌ってるから、権力を振りかざしてくることはない。
 振りかざしてくることはないが、良いように使われることはある。
 現に俺がそうだ。
 完全に物に釣られて動いてるし……まぁ、我が子達の為だからなんの苦でもないけど。
 そして、クロードのお願いに対するマルクスの答えはというと、「わかりました。頑張ります」だった。
 表情が興奮ぎみだったのが気になるところだが、話は纏まったのでマルクスと共に魔王退治に向かうこととなった。
 城を出たところで、マルクスに提案した。

「マルクスの装備品揃えないか?」
「えっ? 僕のですか? 必要ないですよ。いつも防具着けずに毒針やら麻痺毒やら喰らってるんですから」

 そう言えばマルクスって、忍だったな。
 そうか、だから【麻痺パラライズ】を掛けても動けたのか。
 そんなマルクスの前世の死因はなんだったのだろうか……甚だ疑問だ。

「そ、そうか、でも、この世界では魔法での攻撃もあるんだ。装備はあって損はないぞ?」
「……確かに。じゃあ、お願いします」

 マルクスの了承を得たので、防具屋へ行くこととなった。
 防具屋に行くと、店主に驚かれた。

「なっ、なななっ、ゆ、勇者様ぁ!?」

 そんなに驚かれれると困るんだけど……。

「ほ、本日は、どのようなご用件で?」
「コイツの装備品を揃えたい。これから魔王退治に行くんだ」
「な、なるほど……その少年も連れていかれるということですか?」
「あぁ、見た目に反して強いんだ。俺と張り合えるくらいに」
「ちょっ、祐人さん!? 僕はそんなに強くないですよ!?」
「謙遜するなって。じゃあ親父さん、装備品、頼むよ」
「はい、任せてください!」

 店主の元気のある返事で話が終わり、マルクスは諦めたのかため息をついた。

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