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第二章 四度目の勇者の10年後
美少女神の初恋
しおりを挟む急に帰りたくなくなってきた俺を他所に、美少女神は俺との今のところ全く身に覚えのないなれそめ話を切り出した。
「あれは、そう、私が日本に遊びに行ったとき……」
美少女神、暇だったのか?
入りから物凄く胡散臭さが漂ってきたんだけど。
しかし、俺の表情が無表情になっていることに気づかないまま、美少女神は話を続けた。
「服装をお嬢様仕様にしていたのが間違いだったのですが、柄の悪い男3人に囲まれ、これからイイコトしないかと誘われて嫌がっていた私を、なんと! 通りかかった祐人さんが助けてくれたのです!」
うわぁ、急に身に覚えがあるぞ……?
でもその時は確か菜奈も一緒に居たはずだけど。
「助けてくれた祐人さんは、まるで白馬に乗った王子様でした! 最初は女神である私が人間の男を好きになるなんてと思っていました……いましたが! 白馬の王子様な祐人さんのことを思い出すだけで顔が火照ってしまい、女神としての責務を怠る程でした! やっぱり私は祐人さんが、す、好きなんだと、自覚したんです!」
キャー、言っちゃいましたー! と一人で盛り上がる美少女神。
もちろん俺の表情は引き続き無表情である。
もう3人も妻が居て、三者三様の告白をされている俺は、一種の悟りを開いている。
故に無表情なのだ。
「それで? なんで今になって現れたんだ? 1度目の時に出てきてたら元の世界に帰ることも無かったかもしれないだろ?」
「いざ告白しようとした時に踏ん切りがつかなくて……」
そう言いながら人差し指をモジモジさせる。
「それでその後に三度も試みたのか」
「はい……。今回は、すでに先を越されて3人も奥さんができてしまったので、ダメ元で告白だけでもしようかと思いまして……祐人さん! 私を家族の一員に加えてください!」
美少女神、女神のくせに物凄く乙女だ。
10年以上も告白できず挙げ句の果てに好きな男に3人も妻ができてしまった、と考えると無碍にはできないが、菜奈達がなんて言うか……。
悩ましい。
しかし、あまりに俺がグダグダと考えていたため、
「はぁ、言えてスッキリしました! 祐人さん、末長くお幸せに! 私はちゃんと見守ってますから!」
と涙を目尻に溜めながら言った。
そして、そのまま消えかけたその時――
「待って!」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
振り向くと菜奈が立っていた。
「菜奈!? なんでここに!?」
「なんか胸騒ぎがして来てみたら、こういうことだったのね」
「な、菜奈さん、これはですね……」
「まさか、あの時の女の子が女神様で祐人のことが好きになっていたなんて……」
俺を無視して美少女神に目を向ける菜奈。
「ご、ごめんなさい! 気持ちを伝えただけです! 仲睦まじい家族の中に入ろうなんてそんなおこがましいことしませんから許してください!」
そう言って頭を下げる美少女神。
女神がそんな簡単に頭下げていいのか?
対する菜奈は、意外なことにきょとんとしている。
「なんで謝るんですか?」
「えっ?」
「祐人のことが好きなんですよね? だったら、私達を説き伏せる気概を見せてください!」
「説き伏せる……気概……」
「でも私はもう女神様が私達と同じ立場になってもいいと思ってます」
ん? どういうことだ?
これには美少女神もきょとんとしている。
「祐人のことが好きだって気持ちは伝わりましたから」
「まさか、最初から聞いてたのか?」
「うん、胸騒ぎがして来たとき、ちょうど女神様の祐人とのなれそめ話をし始めたところだったから」
なるほど、そこから聞いてたのか。
「だから、今から二人を説得しに行きましょう! 私が手伝いますから!」
「えっ、えぇぇぇぇぇぇ!?」
美少女神の驚きの声が試験場に響いたのだった。
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