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三章
路地裏の情報屋
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——◆◇◆◇——
「さて、あれから三日が経ったが、なにもないな」
マリアが襲撃を受け、俺がそれを処理してから三日が経ったが、未だどこからも襲撃を受けたりはしていない。
こちらとしては翌日には何かあってもおかしくないと思っていたのだが、どうやら敵はすぐに仕掛けるほど愚かではないようだ。
「そうそう厄介ごとなんて起こるもんでもないでしょ。気にしすぎなんだってば」
「裏に関わったんだから、気にしすぎてちょうどいいんじゃないかって思うけどね」
「ああ。俺も同意だ」
スティアの楽観的な意見をルージェと俺は否定し、襲ってくる事を前提として話を続けた。
「襲うのであれば、夜。あるいは、一人で行動している最中だろうな」
「というかよ? そもそも、私も襲われるわけ? 私何にもしてないじゃん。なんかやらかしたのってアルフだけでしょ?」
「そう言って見過ごしてくれればいいがな。共に行動している時点で仲間と見做されるに決まっている」
「えー。じゃあ私が狙われるのってあんたのせいってことじゃん。今から別行動とれば許してくれたりしないかしらねー?」
「俺としては別行動してもいいのだがな。だがその場合、さっさとこれを外す方法を見つけ出せ」
そういって首を示すが、そこには必ず命令を聞かせる事ができる隷属の首輪がついている。……いや、つけられている。
俺としても裏に頼んで探しているが、そんな事ができる人物などそうそう見つかるものでもないため、いまだに首輪を外す事ができずにいる。
こんなものがなければ初めから別行動をする事ができたのだがな、と非難の色を込めてスティアを見つめるが、スティアは部が悪いと判断したようで顔を逸らした。
「……さて! それじゃあ今後も気をつけるってことで、今日は解散しましょうか!」
「解散って……話聞いてた? 一人で行動するのが危ないんだよ」
「でも、危ないって言っても私達ならどうにかなるでしょ? すぐに殺されちゃうってこともないと思うんだけど……どう?」
些か楽観がすぎるとは思うが、その考えを頭ごなしに否定する事はしない。何せ、そういった気持ちが俺にもあるのは事実だからだ。
「確かにな。建物の屋上から飛び降りても捻挫をしないどころか、すぐに動き出せるような超人であるならば、あらかじめ襲われる可能性を頭に入れておけば逃げ出すことくらいは可能か」
「まあ、街中だってのもあるしね。路地に入らなければ大丈夫かな。無理やり連れ込まれるってのも、平気だろうし」
スティアもだが、ルージェも相当の実力がある。先日の襲撃者程度であれば余裕を持って制圧する事が可能だろうし、あれよりも強い者が襲って来たとしても最低でも逃げることは可能のはずだ。
「と言うわけで、私も適当に街中歩き回ってもオッケーね?」
「……ああ。だが、やはり警戒だけはしておけ。なにがあるか分からないのだからな。何かあれば、躊躇わずに魔創具を使え」
「わかってるわかってるって。大丈夫大丈夫。それじゃあ狩り狩りしてくるねー!」
そう告げるなり、スティアは勢いよくドアを開けて部屋の外へと出ていき、勢いよくドアを閉めた。ドアが壊れないか心配だ。狩り狩りとはなんだ。あの阿呆め……。
そこはかとなく不安ではあるが、明確にいつ襲ってくるという確信があるわけでもないのだから、仕方ない。
「商人の方はどうなっている?」
「あー、うん。そっちね。そっちはなかなか面倒な感じだよ。ボクの能力は潜入向けってわけでもないし……まあ、全く何もわからないってわけでもないけどね。あと数日もすれば、どこに悪事の証拠を隠しているのか、くらいはわかると思うよ。どこにあるかさえ分かれば、あとは全部ぶちのめして回収すればいいだけだから、まあなんとかなるでしょ」
「……それは最終手段としたいがな。何がどうなるかわからないのだ。できる限り密やかに終わらせるべきだ」
相手は大商人と呼ばれるような存在であり、その繋がりがどこにどう伸びているのかはわからない。もし面倒な貴族に伸びていれば、そこから襲撃してきた俺たちの方こそ悪だとされる可能性がある。
証拠さえ掴めればそのような無茶も通らないだろうが、もし万が一にでも証拠を手に入れる事ができなければ厄介だ。なので、できる限り騒ぎを起こさないように事を成す必要がある。
「わかってるよ。ただ、これ以上は調べられないと判断した場合、無駄に時間をかけるくらいならボクは動くよ」
「……せめて事を起こす前にはこちらにも一言かけろ」
「はーい」
そう返事をするなり、ルージェは部屋を出ていき、部屋の中には俺だけが残されることとなった。
だが、俺としてもやることがあるので、一人で動ける時間というのは都合がいい。
別にスティアやルージェがいても問題ではないのだが、騒がしいので一人の方が楽なのだ。
そうして俺たちは別行動を取ることになったのだが、俺は宿を出てしばらく歩くと路地裏に入り、そこにいる物乞いの前に硬貨を落とした。
「へえ。こりゃあありがてえこった……ああ、あんたかい。なんだい、またなんか聞きたいことでもあんのか?」
男の言葉からわかるように、俺はすでにこの男と何度も会っている。
この男は見た目こそ浮浪者で、実際に浮浪者ではあるのだが、もう一つ、情報屋という顔も持っている。
どうやら金はあるようなのだが、浮浪者としての生活が気に入っているようでこのような場所で暮らしているのだそうだ。理解はできないが、便利なので気にしないことにした。
今回俺がこの男と接触したのは、首輪の解除方法を探すため。それから、この街の〝裏〟について知るためだ。
『樹林の影』とかいう集団がどんな組織なのかは尋問してわかっていたが、それはあくまでも主観的なものでしかない。客観的に見た場合にはまた違う何かが聞けるかもしれないと、情報を集めたのだ。
今日は前回聞いてから二日経っているので、その後どう動いたのかを聞きにきたというわけだ。
「『影』がどう動くのか、わかったか?」
「いや。悪いが、分からねえな。何せまだなんの動きもねえもんだ。ただ、情報集め自体はもう終わってるだろうから、もうそろそろ動いてもおかしくねえもんだと思うんだが……どうなってんだかねえ」
「他の裏の連中はどうしている?」
「他ってーといくつかは動きが見えるもんだが、まあでかい動きを見せてんのは『揺蕩う月』の連中だなあ。あそこは『影』に追い詰められてたもんで、今動かねえとやべえと思ってんでしょう」
影——『樹林の影』とやらの敵対組織としてもっとも大きいのは、『揺蕩う月』という組織だそうだ。
元々はこの町でも一二を争うような組織だったようだが、二年ほど前に当時のトップが『樹林の影』との戦いに負けて殺されたことで、そこから凋落が始まったのだという。
現在では他の中小組織の一つと言ったところだが、それでも過去に敵対していたことは変わらず、現在も『樹林の影』に攻撃され続けているのだとか。
まあ、そうだろうな。過去の栄光といえど、トップであったという事実は変わらない。そんな組織を放置しておけば、いずれ復讐をされる可能性があるので放置しておく事はできない。
それに、過去のトップだったもの達を完膚なきまでに潰せば、自分たちの力を他の組織に思い知らせる事ができるのだ。逃す手はないだろう。
しかし、そんな『揺蕩う月』が動いているのか……であれば、俺が『樹林の影』と戦うことになれば手を出してくるか? あるいは……。
まあいい。おおよその状況は把握できた。あと他に聞くべきことは……ああ、そうだな。これも聞いておくか。
「そうか。あとは……俺の情報はいつ売った?」
俺がそう口にした瞬間、目の前の情報屋の男は目に見えて狼狽始めた。俺が『影』のメンバーを一人で処理した事を知っているこいつからすれば、俺に睨まれるのは命の危険を感じるのだろう。
「……へ、へへ。気づいてたんかい」
男は震える声でなんとか言葉を紡ぐが、その視線は俺を見つつも周囲のことを観察している。いざとなったらどうにかして逃げ出すつもりなのだろう。
しかし、そんな心配は無用だ。俺はこの男を殺すつもりなどないのだから。
「当たり前だ。気づかぬ方がどうかしている。お前達のような者全員が同じとは言わんが、お前は金さえ払えば顧客の情報であろうと売る類の人間であろう?」
初めからそうなるだろうことは理解して、その上で利用しているのだ。ここは日本のように顧客の情報の取り扱いに関して、何か決まり事があるわけでもないのだからな。
もっとも、情報を漏らすような輩は信用されないが、それと理解しているのであればなんの問題もない。
「へ……それで、どうされるってんで?」
「どうもせんよ。どうせ、俺の情報など表面的なものだけだ。どこの出身でどんなことができて、何を考えているのか。分からんだろう? であれば、情報など漏らされたところで問題ない。それよりも、今は俺自身が情報を手に入れることが重要だったのでな」
「……そうかい。ありがてえこった。なら、俺が何を喋ろうが恨みっこなしってこったな」
俺の言葉を聞いてもまだこちらのことを探るような視線と、いつでも逃げ出せるような空気を纏っているが、ひとまず話を続けることにしたようだ。
「そうだな。だが、見逃してやる代わりに俺にも情報を寄越し続けろ」
「金は——」
「問題ない。しかとはらおう」
「へへ。でありゃあ、こっちも問題ねえってもんだ」
今まででもっとも高い額を支払うことで、男は一瞬その額に目を見開いたものの、すぐに笑みを浮かべて金を拾い、話し始めた。
「さて、あれから三日が経ったが、なにもないな」
マリアが襲撃を受け、俺がそれを処理してから三日が経ったが、未だどこからも襲撃を受けたりはしていない。
こちらとしては翌日には何かあってもおかしくないと思っていたのだが、どうやら敵はすぐに仕掛けるほど愚かではないようだ。
「そうそう厄介ごとなんて起こるもんでもないでしょ。気にしすぎなんだってば」
「裏に関わったんだから、気にしすぎてちょうどいいんじゃないかって思うけどね」
「ああ。俺も同意だ」
スティアの楽観的な意見をルージェと俺は否定し、襲ってくる事を前提として話を続けた。
「襲うのであれば、夜。あるいは、一人で行動している最中だろうな」
「というかよ? そもそも、私も襲われるわけ? 私何にもしてないじゃん。なんかやらかしたのってアルフだけでしょ?」
「そう言って見過ごしてくれればいいがな。共に行動している時点で仲間と見做されるに決まっている」
「えー。じゃあ私が狙われるのってあんたのせいってことじゃん。今から別行動とれば許してくれたりしないかしらねー?」
「俺としては別行動してもいいのだがな。だがその場合、さっさとこれを外す方法を見つけ出せ」
そういって首を示すが、そこには必ず命令を聞かせる事ができる隷属の首輪がついている。……いや、つけられている。
俺としても裏に頼んで探しているが、そんな事ができる人物などそうそう見つかるものでもないため、いまだに首輪を外す事ができずにいる。
こんなものがなければ初めから別行動をする事ができたのだがな、と非難の色を込めてスティアを見つめるが、スティアは部が悪いと判断したようで顔を逸らした。
「……さて! それじゃあ今後も気をつけるってことで、今日は解散しましょうか!」
「解散って……話聞いてた? 一人で行動するのが危ないんだよ」
「でも、危ないって言っても私達ならどうにかなるでしょ? すぐに殺されちゃうってこともないと思うんだけど……どう?」
些か楽観がすぎるとは思うが、その考えを頭ごなしに否定する事はしない。何せ、そういった気持ちが俺にもあるのは事実だからだ。
「確かにな。建物の屋上から飛び降りても捻挫をしないどころか、すぐに動き出せるような超人であるならば、あらかじめ襲われる可能性を頭に入れておけば逃げ出すことくらいは可能か」
「まあ、街中だってのもあるしね。路地に入らなければ大丈夫かな。無理やり連れ込まれるってのも、平気だろうし」
スティアもだが、ルージェも相当の実力がある。先日の襲撃者程度であれば余裕を持って制圧する事が可能だろうし、あれよりも強い者が襲って来たとしても最低でも逃げることは可能のはずだ。
「と言うわけで、私も適当に街中歩き回ってもオッケーね?」
「……ああ。だが、やはり警戒だけはしておけ。なにがあるか分からないのだからな。何かあれば、躊躇わずに魔創具を使え」
「わかってるわかってるって。大丈夫大丈夫。それじゃあ狩り狩りしてくるねー!」
そう告げるなり、スティアは勢いよくドアを開けて部屋の外へと出ていき、勢いよくドアを閉めた。ドアが壊れないか心配だ。狩り狩りとはなんだ。あの阿呆め……。
そこはかとなく不安ではあるが、明確にいつ襲ってくるという確信があるわけでもないのだから、仕方ない。
「商人の方はどうなっている?」
「あー、うん。そっちね。そっちはなかなか面倒な感じだよ。ボクの能力は潜入向けってわけでもないし……まあ、全く何もわからないってわけでもないけどね。あと数日もすれば、どこに悪事の証拠を隠しているのか、くらいはわかると思うよ。どこにあるかさえ分かれば、あとは全部ぶちのめして回収すればいいだけだから、まあなんとかなるでしょ」
「……それは最終手段としたいがな。何がどうなるかわからないのだ。できる限り密やかに終わらせるべきだ」
相手は大商人と呼ばれるような存在であり、その繋がりがどこにどう伸びているのかはわからない。もし面倒な貴族に伸びていれば、そこから襲撃してきた俺たちの方こそ悪だとされる可能性がある。
証拠さえ掴めればそのような無茶も通らないだろうが、もし万が一にでも証拠を手に入れる事ができなければ厄介だ。なので、できる限り騒ぎを起こさないように事を成す必要がある。
「わかってるよ。ただ、これ以上は調べられないと判断した場合、無駄に時間をかけるくらいならボクは動くよ」
「……せめて事を起こす前にはこちらにも一言かけろ」
「はーい」
そう返事をするなり、ルージェは部屋を出ていき、部屋の中には俺だけが残されることとなった。
だが、俺としてもやることがあるので、一人で動ける時間というのは都合がいい。
別にスティアやルージェがいても問題ではないのだが、騒がしいので一人の方が楽なのだ。
そうして俺たちは別行動を取ることになったのだが、俺は宿を出てしばらく歩くと路地裏に入り、そこにいる物乞いの前に硬貨を落とした。
「へえ。こりゃあありがてえこった……ああ、あんたかい。なんだい、またなんか聞きたいことでもあんのか?」
男の言葉からわかるように、俺はすでにこの男と何度も会っている。
この男は見た目こそ浮浪者で、実際に浮浪者ではあるのだが、もう一つ、情報屋という顔も持っている。
どうやら金はあるようなのだが、浮浪者としての生活が気に入っているようでこのような場所で暮らしているのだそうだ。理解はできないが、便利なので気にしないことにした。
今回俺がこの男と接触したのは、首輪の解除方法を探すため。それから、この街の〝裏〟について知るためだ。
『樹林の影』とかいう集団がどんな組織なのかは尋問してわかっていたが、それはあくまでも主観的なものでしかない。客観的に見た場合にはまた違う何かが聞けるかもしれないと、情報を集めたのだ。
今日は前回聞いてから二日経っているので、その後どう動いたのかを聞きにきたというわけだ。
「『影』がどう動くのか、わかったか?」
「いや。悪いが、分からねえな。何せまだなんの動きもねえもんだ。ただ、情報集め自体はもう終わってるだろうから、もうそろそろ動いてもおかしくねえもんだと思うんだが……どうなってんだかねえ」
「他の裏の連中はどうしている?」
「他ってーといくつかは動きが見えるもんだが、まあでかい動きを見せてんのは『揺蕩う月』の連中だなあ。あそこは『影』に追い詰められてたもんで、今動かねえとやべえと思ってんでしょう」
影——『樹林の影』とやらの敵対組織としてもっとも大きいのは、『揺蕩う月』という組織だそうだ。
元々はこの町でも一二を争うような組織だったようだが、二年ほど前に当時のトップが『樹林の影』との戦いに負けて殺されたことで、そこから凋落が始まったのだという。
現在では他の中小組織の一つと言ったところだが、それでも過去に敵対していたことは変わらず、現在も『樹林の影』に攻撃され続けているのだとか。
まあ、そうだろうな。過去の栄光といえど、トップであったという事実は変わらない。そんな組織を放置しておけば、いずれ復讐をされる可能性があるので放置しておく事はできない。
それに、過去のトップだったもの達を完膚なきまでに潰せば、自分たちの力を他の組織に思い知らせる事ができるのだ。逃す手はないだろう。
しかし、そんな『揺蕩う月』が動いているのか……であれば、俺が『樹林の影』と戦うことになれば手を出してくるか? あるいは……。
まあいい。おおよその状況は把握できた。あと他に聞くべきことは……ああ、そうだな。これも聞いておくか。
「そうか。あとは……俺の情報はいつ売った?」
俺がそう口にした瞬間、目の前の情報屋の男は目に見えて狼狽始めた。俺が『影』のメンバーを一人で処理した事を知っているこいつからすれば、俺に睨まれるのは命の危険を感じるのだろう。
「……へ、へへ。気づいてたんかい」
男は震える声でなんとか言葉を紡ぐが、その視線は俺を見つつも周囲のことを観察している。いざとなったらどうにかして逃げ出すつもりなのだろう。
しかし、そんな心配は無用だ。俺はこの男を殺すつもりなどないのだから。
「当たり前だ。気づかぬ方がどうかしている。お前達のような者全員が同じとは言わんが、お前は金さえ払えば顧客の情報であろうと売る類の人間であろう?」
初めからそうなるだろうことは理解して、その上で利用しているのだ。ここは日本のように顧客の情報の取り扱いに関して、何か決まり事があるわけでもないのだからな。
もっとも、情報を漏らすような輩は信用されないが、それと理解しているのであればなんの問題もない。
「へ……それで、どうされるってんで?」
「どうもせんよ。どうせ、俺の情報など表面的なものだけだ。どこの出身でどんなことができて、何を考えているのか。分からんだろう? であれば、情報など漏らされたところで問題ない。それよりも、今は俺自身が情報を手に入れることが重要だったのでな」
「……そうかい。ありがてえこった。なら、俺が何を喋ろうが恨みっこなしってこったな」
俺の言葉を聞いてもまだこちらのことを探るような視線と、いつでも逃げ出せるような空気を纏っているが、ひとまず話を続けることにしたようだ。
「そうだな。だが、見逃してやる代わりに俺にも情報を寄越し続けろ」
「金は——」
「問題ない。しかとはらおう」
「へへ。でありゃあ、こっちも問題ねえってもんだ」
今まででもっとも高い額を支払うことで、男は一瞬その額に目を見開いたものの、すぐに笑みを浮かべて金を拾い、話し始めた。
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