聖剣如きがフォークに勝てると思ったか 〜秘伝の継承に失敗したからと家を追い出されたけど最強なので問題なし〜

農民ヤズ―

文字の大きさ
156 / 189
四章

首輪が外れて

しおりを挟む
「まあ、よく戻ってきた。部屋はリリエルラにいえば適当に用意するだろう」

 だが、どうせ前回使っていた部屋が残っているだろう。そもそも、俺の部屋の周囲はなぜか無駄に部屋が空いているからな。
 今では部屋にそれほど余裕があるわけでもないと思うのだが、それでもこの組織のボスである俺の部屋の周囲には信用できないものを近寄らせないようにしているのだろう。
 それを除いても余り過ぎなきはするが、おそらくあれらが空いているのは俺の……いや、考えないようにしよう。

「はーい。あんがとねー、っと。でも、もうちょっと違う言い方あるんじゃない?」
「何がだ?」
「よく戻ったー、なんて言い方じゃなくって、好きな人が戻ってきたんだから、おかえり、っていうのが普通でしょ?」
「好きな人などではなく、単なる知人……精々が友人程度なもののはずだがな」

 恋人や家族であればもっと仰々しく出迎えても良いのだろうが、俺たちはそのような関係ではない。であれば、この程度で十分であろう。
 しかし、そっけないと言われればそれもまた理解できる。ふむ。そうだな。では……

「だがまあ、おかえり」
「うん。ただいま!」

 にへら、と笑みを浮かべながら楽しげに返事をしたスティアを見ていると、どうにもこちらまで気が緩んでしまいそうになるな。これはこいつの人徳というものだろうか。

 などと思っていると、何やらにわかに外が騒がしくなってきた。いったい何が起きたのだ? まさか今更この状況で敵が襲撃を仕掛けてきたなどということもないだろうが……

「スティア様アアアアア! 勝手に、一人で、行かないでくださああああい!」

 なんとも聞き覚えのある声とセリフだな。
 聞き覚えがあると言っても一度しか聞いていないはずだが、まあそれだけ印象深かったということだろう。

 建物の外からは何やら口論のようなものが聞こえるが、早いところ指示を出して大人しくさせよう。でなければ目立って仕方ない。

「んへ? ああ、やっと追いついたわね。じゃああの子たちの部屋もよろしく」
「まあ、ある程度は余裕があるから構わない」
「オッケオッケ。約束も守ってくれたし、うん。とってもありがとね!」

 そう言ってスティアは勝手にベルを鳴らして配下を呼んだ。こいつ、来たばかりだというのに本当に好き勝手しているな。今更その程度で文句を口にするつもりはないが、せめて遠慮する姿勢とか、問いかけることくらいはしても良いのではないか?

 しかし、約束か。こいつと再開するまでこの場所から離れない、などという約束がなかったところでこの場所を離れるつもりはなかったが、それでも約束が守れたのならそれで良い。

「——アルフレッド様。この度は事前の連絡なく訪れたことをお詫び申し上げます」
「良い。顔をあげろ」

 スティアが呼んだ配下に、外にいるのは客人だと伝えると、スティアの護衛騎士であるリファナの顔を合わせる運びとなった。

 だが、この部屋にやってきたのはリファナだけではなく、他にも数名いる。そのうちの何人かはどうやらネメアラからスティア救出の礼を渡す係のようで、これみよがしに贈り物を抱えている。

「はっ。つきましては、今回は以前ご用意することができなかった解呪師をお連れいたしましたので、スティア殿下の事故の償いとさせていただければと存じます」

 その言葉を受けて、ぴくりと眉を動かして反応してしまうが、これは仕方ないことだろう。何せ、これまで揺蕩う月の力をもってしてもここまで連れてくることはできなかったのだから。

 そんな希少な者を連れてきたというのだから、驚かずにはいられない。

「連れてきたのか? こんなところにまで連れてきて良かったのか?」
「はい。アルフレッド様はスティア殿下の命の恩人であり、ひいてはネメアラの恩人でもあります故、この程度のことでそのご恩を返せるのであれば、何の問題もございません」

 その言葉の後にリファナが合図を出すと、一人の魔法使いらしき女性が俺の前に進み出てきた。

「え、あの、初めまして」
「ああ」

 挨拶をしてきた姿を見る限りでは、本当にこの女性で大丈夫なのだろうかと気になりはする。
 だが、曲がりなりにもネメアラが感謝の印として送ってきた人物なのだ。役に立たないというわけではないはずだ。と、信じたい。

「それで、その……ここでやってしまってもいいんでしょうか?」
「すぐにできるものなのか?」
「えっと、はい呪いの強弱はあっても、ドラゴンを封じるといったような、よっぽど特殊なものでなければ、隷属に関する基本さえ押さえておけば大体おんなじようなものなので……。今日のために過去の隷属に関する術式も全部読み込んできましたし、十分もあれば解除できると思います」

 過去の記録を全部読んだだと? それがどれほどの量になるのかはわからないが、一つの術に対する様々な角度からのアプローチの資料を全て読んだというのであれば、それはかなりの量になるものだぞ。
 命令だったからだろうが、俺のためにそこまでやってくれた人物を信じないわけにはいかない。
 ネメアラとて俺のためにこうして最高位の呪術師を送ってきたのだろうし、ここで疑うような姿勢を見せない方が良いだろう。

「そうか。なら、やってくれ」
「は、はいっ……!」

 それから皆が固唾を飲んで見守り、部屋の中にカチャカチャとケーキを食べる音がやけに大きく聞こえる中、しばらく待っていると……

「お、終わりました。それで外れるはずです。多分……」

 その言葉を受け、首にはまっていた煩わしい金属の輪に手をかけると、軽く力を込め……カチャン。そんな軽い音と共に俺の首にはまっていた首輪は綺麗に外れて手の中に収まっていた。

「これで、外れたのか……随分とかかったものだ」

 手の中にある隷属の首輪を見ながら、息を吐き出して呟くが、本当に随分とかかったものだ。

「でもさぁ、なんで今まで外さなかったの? これまで結構時間あったし、首都で探して呼ぶこともできたんじゃないの?」
「そうしてもいいかと思ったことはあった。だが、呪いと言ってもそこまで不都合がなかったということもあるが、いちばんの問題は繋がりがなかったことだな。俺たちは所詮裏の組織だ。権力者に囲われている者を動かすには少々面倒なことに手を出さなければならない。そんなことをしている余裕があるのであれば、首輪のことなど気にせずに組織の安定と発展を考えた方が良い」

 一応解呪できるであろう者を探すこと自体はできていた。だが、王族を逃さないようにするために最上位の隷属の呪いがかかった道具を外すとなると、同じく最上位の者にしかできない。そして、どんな分野であっても最上位に位置する者は希少であり、力あるものに保護されている場合が多い。俺たちが探し出した呪術師もそうだ。王家に囲われているようで、おいそれと手出しすることはできなかった。
 攫おうと思えばできただろうが、それをやると確実にこの場所を攻められることになるので、やるわけにはいかなかった。

 ただ、その理由意外にも、首輪を外すことを選ばなかった理由がある。それは……

「あとはまあ、お前との約束でもあったからな」

 約束をしたが、スティアはあれを命令だと言っていた。実際には命令でもなんでもなく効力のない口約束だったわけだが、首輪を解除してしまえばその約束まで消え去ってしまうように感じられた。そんなわけはないのだから好きにやればよかったはずなのだが、なんだか気になってしまい、首輪を外すつもりにはなれなかった。

 そんな本来は口にするつもりはなかった言葉は、口の端から小さく溢れてしまった。とはいえ、とても小さな声であることに変わりはなく、普通であれば聞こえないような言葉だ。
 だが、スティアはそれを聞き逃さなかった。

「え~、もう。ツンデレちゃって~」

 そう言いながらニヤニヤとこちらを見てくるスティアは、最高に人をイラつかせる。

「黙っていろ、阿呆」
「もがもがもがっ!」

 布で顔を包み込む。何か言いたそうに声を出しているが、魔創具の布は簡単に破ることも外すこともできないようで、もがいている。
 だが、もがくのは理解できるし、それを外そうとするのも理解できるのだが、床を転げ回って外そうとするのは王女としてどうなのだ? せめてもう少し品のある態度ではできんのか? ……できんのだろうな。

「それからもう一点、国王陛下から伝言です。んん——」

 もがいているスティアから布を外してやったところで、リファナが口を開いたのだが、そのまま伝言を伝えることはせず、一旦ためらったように間を作ってから再び話し始めた。

「娘と結婚したければ力を証明してみせよ! ——以上となります」

 ……なるほど。ネメアラはスティアと俺の婚姻に乗り気なのだろうとは理解していたが、王がわざわざ伝言をよこすほどだったか。
 だが、その伝言の内容もな……。なんというか、随分と戦闘力を重視しているのだな。スティアから聞いた限りでは納得のお国柄というやつではあるが、そうか……これは、なんというか……

「そうか。結構だ」

 そうとしか言えないな。何をとち狂えばこの阿呆を娶るために力の証明などせねばならんのだ。
「なんでよ!?」

 だが、俺の答えを聞いてスティアは驚きと怒りを混ぜ多様な表情で叫んできた。

「そもそもお前と婚姻関係になりたいと言った事などなかった気がするが?」
「頷いて。お願い! じゃないと私一生結婚できないでお城にいることになるのよお~。今回だって婚約を勝ち取ってくるって宣言したからこそここに来るのを認められた感じなのにぃ~」

 一生城に、か。こいつの立場が微妙だということと、外に出そうとして失敗したことを考えると、上層部がそう考えるのも仕方ないことかもしれない。
 こいつには可哀想な内容ではあるが……いや、本当に可哀想か? 自業自得ではないか?
 それに、こいつは城に篭っていた方が誰にとっても平和になるような気がするのだが……

「……それは、それで平和なのではないか? 少なくとも、どこかに拐われてしまうことはないのだ。ネメアラの者達は安心するのではないか?」
「いやよ! つまんないじゃない!」

 堂々と言い放ったスティアだが、その言葉を聞いてスティアと共にやって来た者たちは非常に疲れたような表情を浮かべて虚空を見つめていた。……きっと、この者らも苦労したのだろうな。

 と、スティアの護衛たちになんだか親近感が湧いたところで、一旦話を切り替えるために深く息を吐き出した。

「まあ、婚姻云々は抜きにしても、そちらの部屋は用意させよう」
「ありがとうございます。アルフレッド様」

 リファナは騎士として綺麗な姿勢で礼を口にしたが、アルフレッドはすでに捨てた名だ。必要であれば利用することはあるが、必要でない場では呼ぶのはやめてほしいところだ。

「ここではアルフだ。呼ぶならそちらにしろ」
「はっ! 承知いたしました、アルフ様!」

 俺の名を呼び直したことで俺は頷きを返し、部屋の隅にいた配下にこの者らを部屋へ案内するように指示を出す。

 その間、スティアの護衛達は姿勢正しくキリリとした表情で待機していたのだがそれを見てスティアが少しだけ眉を下げて口を開いた。

「……ねえねえ。なんか私よりもアルフの方がみんなの主って感じしない? 私の部下なんだけど?」
「不満があるのであれば、主に相応しい振る舞いというものを身につけよ、阿呆」

 俺の言葉を聞いてその場にいたスティアの護衛達が頷いていたが、それを見て何も思わんのか、お前は。配下にすらダメなやつだと思われてはおしまいだぞ。
 もっとも、こいつはそのようなことは気にしないし、リファナ達も分かった上でこいつについているのだろうから、何か言ったところで無駄だし、そもそも必要ないことなのかもしれないが。

「それよりも、泊まらせてやるが騒ぎを起こすなよ」
「分かってるってば。私だってねえ、泊まらせてくれるのに無茶を言ったりなんてしないんだから」
「……だといいのだがな」

 こいつの無茶しない、という言葉ほど信用できないものはないのだがな。まあ、何かあってもすぐに対応できるように配下達には言い含んでおくか。

「ところで、ここって練武場的な場所ってあるの?」
「まあ、あるが……どうするつもりだ?」
「どうするもこうするも、もうすぐお祭りがあるんだから、それに向けて鍛えないとでしょ!」

 お祭り? ……天武百景のことか? それならば確かに練武場を使いたいという思いも理解できるが、天武百景まで後二ヶ月はあるぞ? それまで滞在し続けるつもりか?

「家に帰れ、お姫様」
「いいじゃないの。どうせ帰ったところでまたこっちにくるんだし、あと何ヶ月でもないでしょ?」

 確かにこれからネメアラに帰って再びこちらに戻ってくるとなるとそれなりに時間を無駄にすることになる。

 それに、こいつはネメアラの王から俺のことで言い含められているようではあるし、帰るつもりがないのも当たり前か。

「まあそうだが……お前は自身が姫だということを自覚しているのか?」
「うん。あったりまえでしょー? 私はお姫様よ。敬いなさい!」
「それじゃあ、お祭りで優勝するために頑張るぞー! おー!」

 はあ……これからまたしばらくは騒がしい日々になりそうだな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...