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八章
『フローラ』
「お持ちしました」
「ありがとう」
しばらくするとソフィアが昨夜の残り物らしき焼き菓子を持ってきたので、それを何とか動かすことのできる左手で受け取った。
「それじゃあ——ほら、お菓子だ。食べるか?」
「……? あーん」
俺が問いかけても最初は何だかわからなそうにしていたが、口の前に持っていくと大人しく口を開けたので、その中に入れてやることにした。
何度か咀嚼した後に飲み込んだみたいだが、その後から目を輝かせ始めたので、美味しいとは感じているんだろう。
エルフと同じような生態だと潅水の水でも行けたような気もするが、それだとこぼされると俺も濡れることになるからこれでよかったんだろう。
「よーしよーし。はいこっちに行こうなー」
「完全に子供扱いだな」
「まあ見た目は子供ですし——って、服着てない!?」
完全に体を起こして布団から出たところで、その少女が裸だというのがわかった。
少女と言ったが、見た目としては少女というよりも幼女寄りな体つきだ。言動からしてみても子供であることは間違い無いだろう。
「あー、まあそりゃあそうか。あいつが精霊だってんなら服くらい着てなくてもおかしくないよな。それに、みた感じ何もわかってなさそうだし、服がどういうもんかもわかってないんじゃない——かあっ!? 何しやがる!」
「女の子の裸を見ちゃダメ!」
ベルは起き上がった女の姿を観察していたカイルの目を塞ぐために手を突き出したが、ちょっと勢いが強すぎじゃね?
「あれ、女の子の部類なのかよっ……! それに、スラムでは裸なんて今更だろうがっ」
「それでも! ここはスラムじゃないし、今の私たちはちゃんとした従者なんだから!」
女の形はしているものの、聖樹の精霊であればその姿に意味はあるのか、性別なんてあるのかわからない。
それに、スラムで過ごしていたカイルにとっては女の裸なんて日常のように見てきたはずだ。何せ切るものなんてボロ切れ一枚しかないわけだし、服を洗おうと思ったら裸になる必要がある。
そうでなくてもこの街には娼婦がそこらにいるわけだし、今更女の裸程度で慌てるようなものでもない。
だが、ベルとしてはそれでも許せないらしく、結果さっきの目潰しの如く行動となったわけだ。
「ヴェスナー様、こちらを」
「ああ、ありがとな」
そんな兄弟の掛け合いを見ていると、ソフィアが服を差し出してきたので、それを受け取って礼を言う。
「ほれ、これを着ろ——って言ってもわからないか」
さっきから言葉を理解しているようだが、完全に理解しきっているとは思えない言動をしている少女。
そんな少女に服を渡したところで、ちゃんと着ることができるのかは怪しい。
「ソフィア、頼む」
「はい。かしこまりました」
「ほら、手ェあげて。ばんざーい」
「あーうー」
なので受け取った服を一旦ソフィアに返して、俺は両手をあげる動作をして少女にその動きを真似させ、そこにソフィアが服を着せるという連携をすることでようやく服を着せることができた。
「これでよし」
「なんだか手慣れてますね」
「手慣れてるってほどでもないが、リリアで慣れたな」
「ああ……」
「え? わたしがどうかした?」
そんな一連の流れを見ていたベルがなんか胡乱げな視線を向けながら呟いたが、ベルはリリアに視線を向けると納得したように声を漏らした。
そんな視線を向けられた当の本人はさっきの焼き菓子の残りをもらったのか、もしゃもしゃと食べながら首を傾げている。
なんか、いつも思うけどお前だけ俺たちとは別の空間で生きてそうだよな。何でこの状況でまともに食ってられんの?
「で、ひとまずは引き剥がすことができたわけだが、どうする?」
「どうするって言っても、そもそもなんなのかわからないとどうしようもないんじゃねえの?」
「あれがなんなのか、ねぇ……」
「だから精霊だって言ってんじゃない。——あ、わたしにもちょうだい!」
「精霊なのか」
リリアは俺たちの疑問を何でもないかのような一言で一瞬で解決すると、お菓子を求めてソフィアの元へと向かっていった。
どうやら精霊で確定のようだ。
「名前はなんでしょう? いつまでも〝あれ〟ではかわいそうじゃないですか?」
「名前? あるのか?」
ベルがあの精霊の名前について口にしたが、そもそも名前なんてついているんだろうか? リリア曰く、あいつはまだ生まれたばかりだし、ついていないんじゃないか?
「ないんでしょうか?」
「いや、さあ?」
「聞くだけ聞いてみたらどうだ?」
「俺がか?」
「お前が一番適任だろ? そもそも他のやつが聞いてまともに答えが帰ってくるのか?」
「俺が聞いてもまともに返ってくるかはわからないんだが……」
そもそも言葉をまともに理解できてるか怪しいんだが、まあ聞かないことにはどうにもならないので聞くしかないだろう。
「なあ、お前名前はなんだ?」
「うー?」
リリアと向かい合ってお菓子を食べている精霊の少女の元へと近寄って名前を聞いてみるが、やっぱりと言うべきかまともな返事は返ってこなかった。
「名前だよ。なんて呼べばいい? それとも名前がないのか?」
「うー! あーうー!」
それでも改めて聞いてみると、精霊の少女は何かを考えたような仕草を見せた後に頷き、俺を指さしてきた。
「これは、こっちを指さしてるってのは『お前が決めろ』って意味でいいのか?」
「うー!」
俺の言葉に大きく頷き、満足そうな様子を見せる精霊の少女だが、またお菓子を食べるのに戻っていった。
「だってさ」
それを見た俺はカイル達に振り返り、肩をすくめて見せた。
「いや、だってさ、じゃなくてじゃあ決めてやれよ」
「名前を決めるって言っても……」
正直自分に名付けのセンスがあるとは思っていないので、名前をつけろと言われても困るんだが、つけろと言われてしまった以上は仕方がない。
もう一度少女に視線を向けて何かちょうどいい感じの名前がないか考えて見ることにする。
「あー……うー、うー……う、う。うー……ウートガルド?」
うーうー言ってるから「うー」から始まる名前を考えてみたんだが、確か神様系の話にそんな感じの名前があった気がする。
「いかつすぎねえか? 女の子だぞ、一応」
「うー……?」
「無理に〝う〟で考えなくてもよろしいのではありませんか?」
「でも正直人の名前とか考えるセンスがあるかって言われるとなぁ……。もうフローラとかでいいんじゃないか?」
植物の精霊だし、フローラルってことでフローラでいいと思う。女の子らしい名前だし、なんかそれっぽ感じのいい名前だろ、きっと。
「うー? うろーら?」
「〝う〟ローラじゃなくて〝フ〟ローラだ」
「うろーら!」
「……よし、よく言えたな!」
言えてないが、本人がそれでいいならいいんじゃないだろうか? 親が無理やりつけた名前よりも、本人が気に入っている名前の方がいいと思うんだよ。
「めんどくさくなってんだろ」
「いやそんなことねえよ? ……まあ、なんでこんなことしてんだとは思わなくもないけど」
最初は聖樹を植えてこれから頑張って育てましょうって話だったのに、何だって女の子に名前をつけて子育て風な雰囲気出してんだろうな?
「あ、フローラ!」
「どこいくんだ?」
カイルと話していると、ちょっと目を話した隙にフローラは駆け出したようで、それを止めるようにベルが手を伸ばしていた。
「うー! あーうー! るーるー! る——ぶぎゅっ!?」
あ、転んだ。
楽しそうに走っている所を転ぶとは、まるでどこかのエルフのようだ。
「「ああ!」」
転んだフローラに慌てて駆け寄るのは、名付けをし、ある意味で父親ポジションと言えなくもない俺ではなく、ソフィアとベルの二人だった。
「怪我は……ないみたい」
「よかったです」
まあ、精霊な訳だし転んだ程度では怪我をしないだろう。
しかし、何だな。ソフィアもベルも、何だかフローラのことを大事にしてる感じがするな。それ自体が悪いことってわけでもないんだが、気をゆるすのが早くねえかとは思う。
「……突然現れた子供だってのに、随分と入れ込んでるんだな」
「だって可愛いですし……」
「ヴェスナー様の子供のようなものだと思えば……」
なんか言っているが、俺はこれになんて答えればいいんだろうか?
俺もそのうち結婚とか考える時が来るだろうし、その時はまあ身近にいる者から選ぶことになると思うんだが……
「ところで、あいつ——フローラは放っておいていいのか?」
「「ああ!?」」
カイルの言葉でフローラから目を離してしまっていたことを思い出し、話を切り上げて周囲を確認し始める。
だが、そんなに探す必要もなく見つけることができた。
「あいつは何をしてんだ?」
「聖樹に触ってる、みたいだな」
フローラは何をしに行ったのか、聖樹の元にいて、手を伸ばして聖樹を触っていた。
あいつが聖樹の精霊——聖樹に宿る意思だと言うのなら、本体に触れているだけなので何の問題もないんだろうが、何で突然そんなことをし始めたんだろう?
「は? ……吸い込まれた?」
なんて思いながらフローラの元へと向かうと、その途中でフローラの姿が聖樹の吸い込まれるかのように消えていった。
「いや、元々が聖樹の精霊なんだとしたら別におかしなことでもないか」
たった今考えたことだが、聖樹が本体なんだから戻ったとしても特段おかしいと言うことでもない。
いや、もしかしたら何かしらの異変が聖樹に出たことで、それを察して戻った可能性もあるか。
その可能性がある以上は、やっぱり確認しにいった方がいい、というか確認しないわけにはいかないな。
何かおかしな異変とか出てなければいいんだけど……。
「さて、フローラは吸い込まれたわけだが……おい、そこにいるのか?」
『いるよー』
「っ!」
聖樹の前にたどり着いたがやはりフローラの姿はなく、仕方なしに聖樹に手を当てて話しかけてみたのだが、昨日までは何の反応も見られなかった聖樹からフローラの声で、だがそれまでの幼い声とは違ってはっきりとした言葉が返ってきた。
「ありがとう」
しばらくするとソフィアが昨夜の残り物らしき焼き菓子を持ってきたので、それを何とか動かすことのできる左手で受け取った。
「それじゃあ——ほら、お菓子だ。食べるか?」
「……? あーん」
俺が問いかけても最初は何だかわからなそうにしていたが、口の前に持っていくと大人しく口を開けたので、その中に入れてやることにした。
何度か咀嚼した後に飲み込んだみたいだが、その後から目を輝かせ始めたので、美味しいとは感じているんだろう。
エルフと同じような生態だと潅水の水でも行けたような気もするが、それだとこぼされると俺も濡れることになるからこれでよかったんだろう。
「よーしよーし。はいこっちに行こうなー」
「完全に子供扱いだな」
「まあ見た目は子供ですし——って、服着てない!?」
完全に体を起こして布団から出たところで、その少女が裸だというのがわかった。
少女と言ったが、見た目としては少女というよりも幼女寄りな体つきだ。言動からしてみても子供であることは間違い無いだろう。
「あー、まあそりゃあそうか。あいつが精霊だってんなら服くらい着てなくてもおかしくないよな。それに、みた感じ何もわかってなさそうだし、服がどういうもんかもわかってないんじゃない——かあっ!? 何しやがる!」
「女の子の裸を見ちゃダメ!」
ベルは起き上がった女の姿を観察していたカイルの目を塞ぐために手を突き出したが、ちょっと勢いが強すぎじゃね?
「あれ、女の子の部類なのかよっ……! それに、スラムでは裸なんて今更だろうがっ」
「それでも! ここはスラムじゃないし、今の私たちはちゃんとした従者なんだから!」
女の形はしているものの、聖樹の精霊であればその姿に意味はあるのか、性別なんてあるのかわからない。
それに、スラムで過ごしていたカイルにとっては女の裸なんて日常のように見てきたはずだ。何せ切るものなんてボロ切れ一枚しかないわけだし、服を洗おうと思ったら裸になる必要がある。
そうでなくてもこの街には娼婦がそこらにいるわけだし、今更女の裸程度で慌てるようなものでもない。
だが、ベルとしてはそれでも許せないらしく、結果さっきの目潰しの如く行動となったわけだ。
「ヴェスナー様、こちらを」
「ああ、ありがとな」
そんな兄弟の掛け合いを見ていると、ソフィアが服を差し出してきたので、それを受け取って礼を言う。
「ほれ、これを着ろ——って言ってもわからないか」
さっきから言葉を理解しているようだが、完全に理解しきっているとは思えない言動をしている少女。
そんな少女に服を渡したところで、ちゃんと着ることができるのかは怪しい。
「ソフィア、頼む」
「はい。かしこまりました」
「ほら、手ェあげて。ばんざーい」
「あーうー」
なので受け取った服を一旦ソフィアに返して、俺は両手をあげる動作をして少女にその動きを真似させ、そこにソフィアが服を着せるという連携をすることでようやく服を着せることができた。
「これでよし」
「なんだか手慣れてますね」
「手慣れてるってほどでもないが、リリアで慣れたな」
「ああ……」
「え? わたしがどうかした?」
そんな一連の流れを見ていたベルがなんか胡乱げな視線を向けながら呟いたが、ベルはリリアに視線を向けると納得したように声を漏らした。
そんな視線を向けられた当の本人はさっきの焼き菓子の残りをもらったのか、もしゃもしゃと食べながら首を傾げている。
なんか、いつも思うけどお前だけ俺たちとは別の空間で生きてそうだよな。何でこの状況でまともに食ってられんの?
「で、ひとまずは引き剥がすことができたわけだが、どうする?」
「どうするって言っても、そもそもなんなのかわからないとどうしようもないんじゃねえの?」
「あれがなんなのか、ねぇ……」
「だから精霊だって言ってんじゃない。——あ、わたしにもちょうだい!」
「精霊なのか」
リリアは俺たちの疑問を何でもないかのような一言で一瞬で解決すると、お菓子を求めてソフィアの元へと向かっていった。
どうやら精霊で確定のようだ。
「名前はなんでしょう? いつまでも〝あれ〟ではかわいそうじゃないですか?」
「名前? あるのか?」
ベルがあの精霊の名前について口にしたが、そもそも名前なんてついているんだろうか? リリア曰く、あいつはまだ生まれたばかりだし、ついていないんじゃないか?
「ないんでしょうか?」
「いや、さあ?」
「聞くだけ聞いてみたらどうだ?」
「俺がか?」
「お前が一番適任だろ? そもそも他のやつが聞いてまともに答えが帰ってくるのか?」
「俺が聞いてもまともに返ってくるかはわからないんだが……」
そもそも言葉をまともに理解できてるか怪しいんだが、まあ聞かないことにはどうにもならないので聞くしかないだろう。
「なあ、お前名前はなんだ?」
「うー?」
リリアと向かい合ってお菓子を食べている精霊の少女の元へと近寄って名前を聞いてみるが、やっぱりと言うべきかまともな返事は返ってこなかった。
「名前だよ。なんて呼べばいい? それとも名前がないのか?」
「うー! あーうー!」
それでも改めて聞いてみると、精霊の少女は何かを考えたような仕草を見せた後に頷き、俺を指さしてきた。
「これは、こっちを指さしてるってのは『お前が決めろ』って意味でいいのか?」
「うー!」
俺の言葉に大きく頷き、満足そうな様子を見せる精霊の少女だが、またお菓子を食べるのに戻っていった。
「だってさ」
それを見た俺はカイル達に振り返り、肩をすくめて見せた。
「いや、だってさ、じゃなくてじゃあ決めてやれよ」
「名前を決めるって言っても……」
正直自分に名付けのセンスがあるとは思っていないので、名前をつけろと言われても困るんだが、つけろと言われてしまった以上は仕方がない。
もう一度少女に視線を向けて何かちょうどいい感じの名前がないか考えて見ることにする。
「あー……うー、うー……う、う。うー……ウートガルド?」
うーうー言ってるから「うー」から始まる名前を考えてみたんだが、確か神様系の話にそんな感じの名前があった気がする。
「いかつすぎねえか? 女の子だぞ、一応」
「うー……?」
「無理に〝う〟で考えなくてもよろしいのではありませんか?」
「でも正直人の名前とか考えるセンスがあるかって言われるとなぁ……。もうフローラとかでいいんじゃないか?」
植物の精霊だし、フローラルってことでフローラでいいと思う。女の子らしい名前だし、なんかそれっぽ感じのいい名前だろ、きっと。
「うー? うろーら?」
「〝う〟ローラじゃなくて〝フ〟ローラだ」
「うろーら!」
「……よし、よく言えたな!」
言えてないが、本人がそれでいいならいいんじゃないだろうか? 親が無理やりつけた名前よりも、本人が気に入っている名前の方がいいと思うんだよ。
「めんどくさくなってんだろ」
「いやそんなことねえよ? ……まあ、なんでこんなことしてんだとは思わなくもないけど」
最初は聖樹を植えてこれから頑張って育てましょうって話だったのに、何だって女の子に名前をつけて子育て風な雰囲気出してんだろうな?
「あ、フローラ!」
「どこいくんだ?」
カイルと話していると、ちょっと目を話した隙にフローラは駆け出したようで、それを止めるようにベルが手を伸ばしていた。
「うー! あーうー! るーるー! る——ぶぎゅっ!?」
あ、転んだ。
楽しそうに走っている所を転ぶとは、まるでどこかのエルフのようだ。
「「ああ!」」
転んだフローラに慌てて駆け寄るのは、名付けをし、ある意味で父親ポジションと言えなくもない俺ではなく、ソフィアとベルの二人だった。
「怪我は……ないみたい」
「よかったです」
まあ、精霊な訳だし転んだ程度では怪我をしないだろう。
しかし、何だな。ソフィアもベルも、何だかフローラのことを大事にしてる感じがするな。それ自体が悪いことってわけでもないんだが、気をゆるすのが早くねえかとは思う。
「……突然現れた子供だってのに、随分と入れ込んでるんだな」
「だって可愛いですし……」
「ヴェスナー様の子供のようなものだと思えば……」
なんか言っているが、俺はこれになんて答えればいいんだろうか?
俺もそのうち結婚とか考える時が来るだろうし、その時はまあ身近にいる者から選ぶことになると思うんだが……
「ところで、あいつ——フローラは放っておいていいのか?」
「「ああ!?」」
カイルの言葉でフローラから目を離してしまっていたことを思い出し、話を切り上げて周囲を確認し始める。
だが、そんなに探す必要もなく見つけることができた。
「あいつは何をしてんだ?」
「聖樹に触ってる、みたいだな」
フローラは何をしに行ったのか、聖樹の元にいて、手を伸ばして聖樹を触っていた。
あいつが聖樹の精霊——聖樹に宿る意思だと言うのなら、本体に触れているだけなので何の問題もないんだろうが、何で突然そんなことをし始めたんだろう?
「は? ……吸い込まれた?」
なんて思いながらフローラの元へと向かうと、その途中でフローラの姿が聖樹の吸い込まれるかのように消えていった。
「いや、元々が聖樹の精霊なんだとしたら別におかしなことでもないか」
たった今考えたことだが、聖樹が本体なんだから戻ったとしても特段おかしいと言うことでもない。
いや、もしかしたら何かしらの異変が聖樹に出たことで、それを察して戻った可能性もあるか。
その可能性がある以上は、やっぱり確認しにいった方がいい、というか確認しないわけにはいかないな。
何かおかしな異変とか出てなければいいんだけど……。
「さて、フローラは吸い込まれたわけだが……おい、そこにいるのか?」
『いるよー』
「っ!」
聖樹の前にたどり着いたがやはりフローラの姿はなく、仕方なしに聖樹に手を当てて話しかけてみたのだが、昨日までは何の反応も見られなかった聖樹からフローラの声で、だがそれまでの幼い声とは違ってはっきりとした言葉が返ってきた。
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これは異世界に転移したことのある出戻り転生者の物語である。
* あくまでもフィクションであり、登場人物や時代背景は史実とは異なります。
** 史実に出て来る人物又は良く似た名前の人物若しくは団体名が登場する場合もありますが、広い心で御容赦願います。
*** 週1(土曜午後9時)の投稿を予定しています。
@ 「小説家になろう」様にも投稿しています。