気まぐれに手を出した男がちょっと重い

藍原美音

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12 なんでここに……?

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「あ、ごめん。スマホの充電もうないからレンタルしてくる」

 いざクラブに入ろうとした時、充電が切れそうなことを思い出した。
 途中のコンビニでレンタルしようと思ったのに忘れてた。
 スマホにIC機能付けてるから最悪帰れなくなっちゃう。
 海里くんとヤる時は毎回タクシーで送ってくれるからいいんだけどね。他の人もそうとは限らないし。

「えーコンビニ結構遠かったじゃん。戻るの?」
「うん。瑠美は先入ってて」
「はあ…わかった。てか充電減るの早くない?それ買ったばかりじゃなかった?」
「んーなんか最近減り早いんだよね。そんな使ってないんだけどなぁ」
「変なウイルスかかってんじゃない?ショップ行けば?」
「そのうちね」

 面倒くさがりだから当分は何もしないと思うけど。

 その会話を最後に瑠美と一旦別れ、来た道を戻ることにした。
 確かあそこにコンビニあったはず……。
 もうスマホは使えないので記憶を頼りに歩き出す。

 と、その時だった。

「あれ、舞ちゃん?ここで遊んでたんだ」
「……海里くん?」

 なんか見覚えある姿が反対方向から歩いてくるな~と思っていたらまさかの海里くんだった。
 やば。こんな偶然ある?

「海里くんも遊んでたの?」
「ん~これから遊ぼうと思ってたかな。舞ちゃんから返信来ないからしょうがなくね~」
「あは、ごめんごめん。友達とのおしゃべりに夢中になっちゃって」

 いたって軽い口調に、やはり返信を返さないくらいじゃ海里くんは怒らないのだと再確認する。
 思った通り、彼は根っからの遊び人だ。たまに重い発言をするのは冗談、もしくはプレイの延長だろう。

「……その友達は?見当たらないけど?」
「ああ、先にクラブに行っててもらったの。私はスマホの充電切れちゃったからコンビニでレンタルしようと思って」
「そうなんだ。俺モバイル持ってるから貸そうか?」
「え!いいの?嬉しい!」

 やったーさすが海里くん。欲しい時に欲しい物をくれる。
 イイ男の鑑だね。

「折角会えたしホテル行かない?」

 笑顔でモバイルを受け取りスマホにコードをぶっ刺す。
 あ、でも今日持ってる鞄小さすぎてモバイル入れるスペースないや……なんて考えていると海里くんから誘われてしまった。

「うーん今日はなあ……クラブで友達待ってるし。たまには海里くん以外の人ともヤりたいしね」

 申し訳ないけど、海里くんに依存しないためにも今日はお断りだ。

「チッ……あの女邪魔だな」
「え?」
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