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Ⅱ.入学編

46.恋の悩み

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 一体何故!? 魔法解除する前にバレたんですけど!?

「お嬢様?」
「え、えっと…これは…」

 あわあわしていたらあっという間に教室のドアを開けてローレンスが顔を出した。
 悪事がバレてしまった時のように冷や汗が噴き出る。

「何故ここにいらっしゃるのですか? まだ親睦会は終わっていないはずですが…」
「えっと…ちょっとお散歩に…?」
「…何を話していたか聞こえました?」

 怒られると思ったが、どうやらその気配はない。
 まあ私が主人だものね。騎士の密会を覗いたところで怒られることはないか。

「聞こえなかったわ」
「それなら良かったです」

 ほっとしたようににっこり微笑むローレンス。
 ふふ、焦っちゃって可愛いわね。
 だがしかし! これで終わると思うなかれ!

「一体防音魔法をかけてまで何を話していたのかしら? 主人が親睦会に出ている隙に女子生徒と密会だなんて、いいご身分ねぇ」

 どうだこの完璧な嫌味は!
 悪役っぽいでしょ!?
 別にミシェルとの交流を深めたところで何も思わないけど、こうやってスパイスを加えることで背徳感を刺激できるのよ。

 さあこの強敵にどう立ち向かうのか見ものね!

「申し訳ございませんお嬢様。大した話はしていないのですが…少々ミシェルさんの恋の悩みを聞いていまして」
「え?」

 恋の悩み? なんか予想外なんだけど。
 密会してたんだからいちゃついてたとかじゃいの?
 ていうか、ローレンスルートに入っているのになんで本人に恋の相談をするのよ。
 全然意味わかんないんだけど。

「ご気分を悪くされたのでしたら申し訳ありません。しかし私はアゼン様やザック様と違い、決してお嬢様を裏切るような真似はいたしませんので」
「あ、うん」

 いや、何故そこに二人の名前が出てくるのかしら。まるで二人がいつか私を裏切るみたいじゃない。
 まあミシェルと恋愛関係になったら自然とそうはなってしまうけれど。
 でも今はローレンスルートなんでしょう?
 それならやっぱり裏切る(別にそんなこと思わないけど)のはローレンスじゃ…?

「アゼン様やザック様について何か相談事がありましたら、すぐに私に申してくださいね。では帰りの馬車を手配いたしますので、これで失礼します」

 疑問符を並べる私を置いて華麗に去っていったローレンス。
 …結局なんだったのよ。
 ミシェルとは本当に何もないわけ?

 ちらりとまだ教室内に佇んでいるミシェルを見やる。

 ……よし、こうなったら本人に直接確かめてみるか。
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