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第一章 怖くて偉大で大きな木
6.問答
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「おい、おっさんそれはどうい…」
「詳しくお聞かせ願いますか?」
ラザクはザサの意味深な発言に対してどういうことか説明を求めようとする。が、それにかぶせるようにカウラはザサへ質問した。
結果的に自らの問いがもみ消された感じになったことにラザクは不本意の様子だ。
「おい、今、俺が話してたとこだろうが。」
「どうせ知りたいことはあなたも同じでしょう。この手のやりとりは私の専門領域です。あなたはあまり割り込まないでください。」
ラザクはそんなカウラの言葉に説得力を感じざるを得ない。たしかに交渉場所においてはカウラの専売特許だと自分も認めてはいる。のだけれども、
「詳しく聞きたいのは同じだが、なんだこの腑に落ちねぇ感じ…」
ラザクは自分がこの場で、軽くのけもの扱いされたんじゃないかと不機嫌な様子だ。片手に頰を置き、膝に肘を乗せ、ダラリといった体勢になる。
そんな不満気を放つラザクを他所に、カウラはザサに向けて顔を向けた。ザサの先ほどの発言、その真相を確かめるために。
「ザサさん、と言いましたね。先程の言葉に対し我々はどういう意味と捉えれば?」
「そのままの言葉通りです。あなた方の行動次第でこちらの対応も変わってくる。」
ザサはカウラの問いにそつなく答えた。
だが、その返答はカウラの求めた答えではない。もう少し、話を掘り返していかなければならないようだ。
「こちら側からとりあえず今、疑問となっていることを聞いていきます。答えてもらえますか?」
「答えられることならば。」
カウラはザサとのやりとりに関して質問形式で追及していくことにした。お互い、まだ会ったばっかりの相手だ。知らないことだらけであるため、聞いていかなければ分かることも分かるまい。
「では、そうですね。先程、私達がこの村に来た理由次第では引き取り願うと言いましたね。それは、私達がこの村を崩壊させるといった可能性を村のあなた達は危惧しているためということですか?」
「…いいえ。」
ザサは少し沈黙しカウラの質問に否定する。
「なるほど。では私達自身がこの村に被害を与える者ではないとは思っているのですね。」
「それは、はい、とは言い切れない部分があるかもしれません。」
ザサは今回の質問には歯切れの悪い返答をする。カウラもその答えには怪訝な顔をした。
「曖昧な答えですね。言い切れない部分がある、ですか。ふむ。」
カウラは顎に手を当て考え込む。この質問相手が曖昧な返事の理由、そして次に質問するべき内容。
ラザクはそんな二人の質疑応答を横にしてじっと聞いている。
普段は人の長ったらしい話など聞く耳を持たない性分なのだが、こと今回に関してはこの男もこのやりとりからは意識を逸らしてはいけないといった感覚が本能的に告げられていた。
カウラは状況を整理するためまた質問をしようとする。
が、それより早くザサが若者二人に向けて言葉を投げかけた。
「お二方が直接この村を崩壊させることはないでしょう。ですが、お二方の影響によって村が壊滅の危機に瀕する可能性はある。」
ザサは小さな声音ながらも二人に告げた。
それは苦しそうで、とても悲しい、そのような感情を乗せたように。
「直接、言えよ。おっさん。」
それまで黙って場を見ていたラザクが口を挟んだ。
「怪物だろ?」
ザサは大柄な体躯をした男に図星を突かれ、目を見開く。カウラも驚きと納得がいかないといった表情を浮かべていた。
「あなたはまた、直球で…」
「カウラ、慎重なのはいいけど回りくどすぎんだよ、お前は。スパンと聞きゃいいんだよ。スパンと。」
ラザクはそう言うと、胡座座りのまま体を前のめりにさせ、バンと両手で自分の膝を叩いた。
「さて、おっさんよ。その怪物とやらについて聞かせてもらおうか。」
ラザクは興味が湧き出る話題となったと言わんばかりに笑みを浮かべてザサへと説明を急かす。
そんな様子を見かねたカウラは、ラザクに対し呆れた表情を向けた。
しかし、当のラザクはそんな顔なんて気にも留めないようだ。
カウラはただため息だけつき、目を伏せる。
「あなた方がそれに対してなにをするのかそれを聞かせてもらえなければ話すことはできません。」
ザサは二人に対し、反発気味に言う。だが、そんなのラザクは御構い無しのようであり。
「そりゃ、あれさ。俺たちゃ怪物を退治しに来たんだぜ」
笑みを浮かべながら自信満々に言い放つラザク。
その真横でカウラは頭を抱えていた。
問答無用で話しかけるそんなラザクの性格に対し、大きなため息を吐きながら。
「詳しくお聞かせ願いますか?」
ラザクはザサの意味深な発言に対してどういうことか説明を求めようとする。が、それにかぶせるようにカウラはザサへ質問した。
結果的に自らの問いがもみ消された感じになったことにラザクは不本意の様子だ。
「おい、今、俺が話してたとこだろうが。」
「どうせ知りたいことはあなたも同じでしょう。この手のやりとりは私の専門領域です。あなたはあまり割り込まないでください。」
ラザクはそんなカウラの言葉に説得力を感じざるを得ない。たしかに交渉場所においてはカウラの専売特許だと自分も認めてはいる。のだけれども、
「詳しく聞きたいのは同じだが、なんだこの腑に落ちねぇ感じ…」
ラザクは自分がこの場で、軽くのけもの扱いされたんじゃないかと不機嫌な様子だ。片手に頰を置き、膝に肘を乗せ、ダラリといった体勢になる。
そんな不満気を放つラザクを他所に、カウラはザサに向けて顔を向けた。ザサの先ほどの発言、その真相を確かめるために。
「ザサさん、と言いましたね。先程の言葉に対し我々はどういう意味と捉えれば?」
「そのままの言葉通りです。あなた方の行動次第でこちらの対応も変わってくる。」
ザサはカウラの問いにそつなく答えた。
だが、その返答はカウラの求めた答えではない。もう少し、話を掘り返していかなければならないようだ。
「こちら側からとりあえず今、疑問となっていることを聞いていきます。答えてもらえますか?」
「答えられることならば。」
カウラはザサとのやりとりに関して質問形式で追及していくことにした。お互い、まだ会ったばっかりの相手だ。知らないことだらけであるため、聞いていかなければ分かることも分かるまい。
「では、そうですね。先程、私達がこの村に来た理由次第では引き取り願うと言いましたね。それは、私達がこの村を崩壊させるといった可能性を村のあなた達は危惧しているためということですか?」
「…いいえ。」
ザサは少し沈黙しカウラの質問に否定する。
「なるほど。では私達自身がこの村に被害を与える者ではないとは思っているのですね。」
「それは、はい、とは言い切れない部分があるかもしれません。」
ザサは今回の質問には歯切れの悪い返答をする。カウラもその答えには怪訝な顔をした。
「曖昧な答えですね。言い切れない部分がある、ですか。ふむ。」
カウラは顎に手を当て考え込む。この質問相手が曖昧な返事の理由、そして次に質問するべき内容。
ラザクはそんな二人の質疑応答を横にしてじっと聞いている。
普段は人の長ったらしい話など聞く耳を持たない性分なのだが、こと今回に関してはこの男もこのやりとりからは意識を逸らしてはいけないといった感覚が本能的に告げられていた。
カウラは状況を整理するためまた質問をしようとする。
が、それより早くザサが若者二人に向けて言葉を投げかけた。
「お二方が直接この村を崩壊させることはないでしょう。ですが、お二方の影響によって村が壊滅の危機に瀕する可能性はある。」
ザサは小さな声音ながらも二人に告げた。
それは苦しそうで、とても悲しい、そのような感情を乗せたように。
「直接、言えよ。おっさん。」
それまで黙って場を見ていたラザクが口を挟んだ。
「怪物だろ?」
ザサは大柄な体躯をした男に図星を突かれ、目を見開く。カウラも驚きと納得がいかないといった表情を浮かべていた。
「あなたはまた、直球で…」
「カウラ、慎重なのはいいけど回りくどすぎんだよ、お前は。スパンと聞きゃいいんだよ。スパンと。」
ラザクはそう言うと、胡座座りのまま体を前のめりにさせ、バンと両手で自分の膝を叩いた。
「さて、おっさんよ。その怪物とやらについて聞かせてもらおうか。」
ラザクは興味が湧き出る話題となったと言わんばかりに笑みを浮かべてザサへと説明を急かす。
そんな様子を見かねたカウラは、ラザクに対し呆れた表情を向けた。
しかし、当のラザクはそんな顔なんて気にも留めないようだ。
カウラはただため息だけつき、目を伏せる。
「あなた方がそれに対してなにをするのかそれを聞かせてもらえなければ話すことはできません。」
ザサは二人に対し、反発気味に言う。だが、そんなのラザクは御構い無しのようであり。
「そりゃ、あれさ。俺たちゃ怪物を退治しに来たんだぜ」
笑みを浮かべながら自信満々に言い放つラザク。
その真横でカウラは頭を抱えていた。
問答無用で話しかけるそんなラザクの性格に対し、大きなため息を吐きながら。
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