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17.リトルガール マイペース
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うん、うん?え、誰?
唐突になんの前触れもなく現れた。純白の幼女。
白色に包まれていると表現するのがとても適している見た目をしている女の子がそこにいた。
髪も白ければ肌もとても白い容姿をしている。着ている服装も白を基調としており、唯一、藍色の瞳と紅色の唇がとても際立っている。美しい美貌になるのを運命付けられているとでも言わんばかりの面持ちの幼女がそこに現れた。
普通ならば、そんな容貌の持ち主が現れたとなると途端に目を奪われてしまうものなのだろう。その実、現れた幼女は幼い見た目に反して女性としての魅力的な雰囲気があった。この幼女が大人になってしまうことを想像してしまうと胸を燻られてしまう。
しかし、俺はそんな魅惑には屈するなんてことはなかった。
まずロリコンではないし、そこまで俺は欲求不満じゃないし。
(ホントだから、そんな性に忠実に生きるみたいな人間じゃないから)
などと、自分で言いくるめるが、まあ、まずそれ以前の話なのだ。
というのも、目の前でハリウッド映画さながらガラスを突き破って部屋に入るのなんて直に見たことなんてなかったから。
正直、急に起きたことのインパクトが強すぎて幼女の容貌などまともに気にするなんてことはなかったのだ。
だって、俺の真下とか盛大にガラスの破片が散らばってんだぜ?
あんなに普通だったコラルの部屋が今は、めちゃくちゃ荒らされた後みたいになってんだぜ?
そりゃ、展開が急すぎてびっくりすることしかできないよ。
呆然とした面持ちをし、その場に突っ立ってしまっている俺。
けれども、チラリと周りを見ると呆然としているのは俺だけではないようであり。
この部屋にいた後二人。猫耳幼女コラルとレイネルも同じように驚きの表情を浮かべていた。
三人とも同じ胸中となっているこの現状。
その原因はもちろん、いきなり現れた純白の幼女だろう。
当人はガラス塗れの床の上でただ呆然と佇んでいる。眠そうなのか半開きの目を右へ左へと動かしては、ポリポリと頭を掻いて「ハフゥ…」と嘆息している様子であった。
外国人俳優のような登場の仕方だったのだが、映画でよく見られるような俳優特有の凛々しさやらたくましさやらかっこよさやらは幼女からは感じない。
なんだか間の抜けているような、ボケーっとしているような印象がその幼女にはあった。
ガラスをぶち破って入ってきたというのに特段気にしている様子もなく、平然とそこに佇んでいる純白の幼女。
その、突飛すぎる登場の仕方によりここにはある種の緊迫感、静けさが芽生えていた。あまりの出来事に三人ともが口を開けなかったからだ。
しかし、それらの空気を打ち消すのはこの空気を作り出した張本人だった。
純白の幼女は「ファーっと」欠伸をしたかと思うと、
「おー、コラルー、元気かー?」
おっとりした目でコラルの方を向き、欠伸とともに浮かんだ涙を手でこすりながら、純白の幼女はコラルに微笑を浮かべた。
タラーンと手を上げながらなれ親しい言葉をかける幼女。
俺は、その幼女の登場とともに新手の襲撃か?などと少しだけ危機感が生まれたが、その子のコラルへの軽い呼び声から「コラルの知り合いか」と少し安堵し、俺はコラルのほうに目を向ける。
のだけれども、猫耳幼女は口をパクパクさせながら目を見開いている様子を見せていた。明らかに顔が青ざめている。
「な、…な、…な、…」
「な?どーしたー?コラルー?」
口を震わせながら発せられるコラルの言葉に純白の幼女は首を傾げて応じる。
すると、コラルはバンッと机を叩き決死の表情を浮かべると…
「何しとるんだにゃあ‼︎テトニァァァ‼︎」
大きく、甲高い子供らしい声音が部屋中に響き渡る。噴気を加えられた声量でコラルは叫び、フウフゥと鼻息を荒げていた。
怒りを含ませた大声を浴びせられた純白の幼女。しかし、特に怯むような素振りは見せず未だコラルに微笑を向けると、
「おー、コラルー、元気だなー」
棒読みのような口調でコラルの怒声に応じる。
それを耳にしたコラルはピクリと眉を動かし、
「テトナァ‼︎いつになったら分かるにゃ!いつもいつも窓ガラスを割って入ってきて!扉から入れっていつも言ってるじゃないかにゃ!」
コラルの言葉による猛襲。堪忍袋の緒が切れたとも言わんばかりの大声で猫耳幼女は怒号を発している。
対して、純白の幼女はコラルの大声に特には反応など示さず、「ファァッ」と大きな欠伸をかます。
「……………ちょっとレイネルさん、これどういう状況?」
俺はキョトンとした表情でレイネルに場の説明を求める。
ガラス破って驚いたと思ったら急に始まった口争い。幼女同士の言い合いという状況に俺はついていけてなかった。
まず、あの新しい幼女は誰なのか。もはやそこからわからないわけであり、横のレイネルに助言を求める。
幼女同士のやりとりを傍観していたレイネルは唐突な俺の質問に「え?」と一言こぼしながら目をパチクリ。
それから「え、ええ…そうね」と言葉を紡ぐと、
「あの子はテトナ。あの子も魔法使いよ。それでコラル先生のお友達?って言うべきかしら。」
「ああ、テトナね。はあはあ、なるほど。で、コラル大先生のお友達と。……うーん、あれはお友達の仲って言えるのか?」
「そこの定義は私も今渋ったところよ。」
「…そうですか」
ポツリと呟き、俺は幼女たちのやりとりを見つめる。
何というかそこには仲睦まじい光景などはなく、ただの言い合いが行われていた。いや、言い合いというより一方的な抗弁というか。
「扉から入れって言ってるのに何でわざわざ窓ガラスから入ってくるのにゃ!」
「外にいたから、こっちの方が近かった」
「そういうことじゃないにゃ!いつもガラス割られてるこっちの身にもなれって言ってるにゃ!」
「別に魔法使えばすぐ直るだろー?」
「だからって、毎回毎回ガラス割って入る必要はないはずにゃ!」
「だって、コラルの部屋に歩いて行こうとすると遠いから。毎回そのルート通るのはめんどくさい」
「毎回ガラス割られる方が断然めんどくさいにゃあああ!!」
コラルと純白の幼女テトナの口論争はとどまるところを知らないようだ。
片方の口調はヒートアップする一方だが、もう一方のおっとりとした声音は依然として変わらない。
てか、あの白髪の幼女…テトナ?だっけか。
毎回ガラス割ってコラルの部屋に入ってんのかよ。凄まじいな。
これまた、個性的なやつが出てきたなぁ。
「にゃあっ!もう我慢ならないにゃ!テトナっ!覚悟するんだにゃ!!」
痺れを切らしたのかコラルは奇声を上げるとピョンと飛び跳ね机の上にたたずむ。そして、高みで腕を組みながらテトナを見下ろし、
「…テトナ!覚悟するんだにゃ!」
「んー、なんだー?」
「フッフゥ。そうやって余裕があるのは今のうちにゃ。すぐさま、泣き謝らせて…」
「んー、……………えいっ」
コラルの上から目線でマウントを取ったかのような態度。
しかし、テトナはそんなコラルの様子を見るや指を掲げて一言呟くと。
「ん?……何をして、?」
コラルはテトナの仕草にキョトンとした顔を浮かべる。
コラルはテトナの呟きの理由がわからず「何をしたんだ?」と指を掲げた方向を振り向いた。
と、同時にギョッとした目つきを浮かべ、
「………………………にゃああああ⁈」
猫耳幼女の華麗なダイビングキャッチ。
机の上から大ジャンプし、コラルはタンスから落ちたある物を地に落ちる前にギリギリで掴み取った。
「何をするにゃ⁈このわちの宝物にっ!いったいなにをするにゃあ!」
コラルが決死の表情を浮かべながらギュッと手にする物。それは木製の人形だった。
とくに高価そうな物には見えないが、まあ、おそらく口弁から察するにこの幼女にとっては大事な物なのだろう。
幼女の必死の言葉。ちょっとうる目になっているコラルは純白の幼女に言い返す。
けれども、テトナは相も変わらずのほほんとしている様子だった。
そんな幼女同士のやりとり。
コラルとテトナのミニ争いが行われていたわけであるが。
しかし俺は、今起こったことに思わず瞠目してしまっていた。
「え?てか、何今の?勝手に落ちた?」
この目で見た光景。それに俺は正直、驚きを隠せなかった。
それもそのはず、このコラルが守った木製の人形。
それが誰の手にも触れないところで一人でにタンスから落下したからである。人形が落ちかけそうになっていたとかではない。木製の人形はしっかりとタンスの上に落ちないように配置されていたのに、だ。
「え?」
と、首を傾げながら俺は横にいる衛兵女性の方を向く。
魔法説明担当のレイネルさん。解説お願いします。
「…何よ。」
俺の視線を感じるや怪訝な表情を向けるレイネル。
なんだか、この女の目つきも慣れてしまっている自分がいるな。
「いや、今の何?勝手に人形が動いたじゃん。」
「そうね」
「どゆこと?」
「…………」
怪訝な目つきと共にレイネルの何度聞いたかわからないため息。
もはや聴きなれたものであるが、今はそれはよしとして。
彼女は腰に手を当てて、口を開いて俺に告げる。
「だいたい察せれるかと思うけど。今、人形が落ちたのはテトナの仕業よ。あの子が念魔法を使ったの。」
「念魔法……」
レイネルの説明を聞き、俺はポツリと言葉を復唱。
やっぱさっきの人形が落ちたのは魔法が発動させられたせいか。
多分、テトナって幼女が「えいっ」って言った時だろうな。
「念魔法ってどんな魔法なの?」
俺はレイネルに再度質問する。
いい加減、不躾な行為ってくらいこの衛兵女性に質問しまくっているのだが、この女はなんだかんだで答えてくれるからな。便利な女だぜ。
「念魔法ってのは触れずに物を動かしたりできる魔法よ。動かせる物だったらほぼ動かせると思うわ。何個でも、どんな大きい物でも。まあ、制限はあるけれどね。」
「へえ……」
なるほど、つまりは超能力とかに近い感じか。もっと細かくいうならばサイコキネシス、念力って言った方が近いかな。
すっげぇ。そんな魔法まであるのかよ。
この世界はとんでもないな。
なんていう風に俺は新たな魔法との会合にふけっているけれども。
一方で、コラルとテトナの幼女同士の争いは未だ激化しているようであった。
「テトナっ!いったいどんな了見でわちの宝物を落としたにゃあ!」
「…遊んだ」
「あそ⁈遊んだ⁈なんてことを!これはわちがずっと大事に大事にしている物なのに!」
「…………」
「なんとか言ったらどうなんだにゃあ!」
「……おりゃー」
「んにゃああああああ⁈」
テトナの手の仕草。
と共にコラルは再びダイビングキャッチをし、落とされた物をかろうじて死守した。
今回落としたのは金属製の壺?見たいな物だった。
これは高価な物品そうだなあ。
「危ないっ…。危ないにゃぁ。これ壊したらあの時いろんなものを我慢して買った努力が全部水の泡になるにゃぁ」
瞳をガン開きにしたまんまハアハアと息を荒げたてるコラル。どうやら相当焦っているご様子。
おそらくあの壺にはよほどのお金を費やしたのだろう。
「コラルは、面白いなー。」
必死の形相を見せる猫耳幼女とはうって変わって微笑を浮かべる純白の幼女。
「………………」
この状況を見物し、俺はとりあえず一つの結論を導き出した。
まだ、出会って10分のこのテトナという幼女だが。
この子はSの素質があると。(気をつけよう)
唐突になんの前触れもなく現れた。純白の幼女。
白色に包まれていると表現するのがとても適している見た目をしている女の子がそこにいた。
髪も白ければ肌もとても白い容姿をしている。着ている服装も白を基調としており、唯一、藍色の瞳と紅色の唇がとても際立っている。美しい美貌になるのを運命付けられているとでも言わんばかりの面持ちの幼女がそこに現れた。
普通ならば、そんな容貌の持ち主が現れたとなると途端に目を奪われてしまうものなのだろう。その実、現れた幼女は幼い見た目に反して女性としての魅力的な雰囲気があった。この幼女が大人になってしまうことを想像してしまうと胸を燻られてしまう。
しかし、俺はそんな魅惑には屈するなんてことはなかった。
まずロリコンではないし、そこまで俺は欲求不満じゃないし。
(ホントだから、そんな性に忠実に生きるみたいな人間じゃないから)
などと、自分で言いくるめるが、まあ、まずそれ以前の話なのだ。
というのも、目の前でハリウッド映画さながらガラスを突き破って部屋に入るのなんて直に見たことなんてなかったから。
正直、急に起きたことのインパクトが強すぎて幼女の容貌などまともに気にするなんてことはなかったのだ。
だって、俺の真下とか盛大にガラスの破片が散らばってんだぜ?
あんなに普通だったコラルの部屋が今は、めちゃくちゃ荒らされた後みたいになってんだぜ?
そりゃ、展開が急すぎてびっくりすることしかできないよ。
呆然とした面持ちをし、その場に突っ立ってしまっている俺。
けれども、チラリと周りを見ると呆然としているのは俺だけではないようであり。
この部屋にいた後二人。猫耳幼女コラルとレイネルも同じように驚きの表情を浮かべていた。
三人とも同じ胸中となっているこの現状。
その原因はもちろん、いきなり現れた純白の幼女だろう。
当人はガラス塗れの床の上でただ呆然と佇んでいる。眠そうなのか半開きの目を右へ左へと動かしては、ポリポリと頭を掻いて「ハフゥ…」と嘆息している様子であった。
外国人俳優のような登場の仕方だったのだが、映画でよく見られるような俳優特有の凛々しさやらたくましさやらかっこよさやらは幼女からは感じない。
なんだか間の抜けているような、ボケーっとしているような印象がその幼女にはあった。
ガラスをぶち破って入ってきたというのに特段気にしている様子もなく、平然とそこに佇んでいる純白の幼女。
その、突飛すぎる登場の仕方によりここにはある種の緊迫感、静けさが芽生えていた。あまりの出来事に三人ともが口を開けなかったからだ。
しかし、それらの空気を打ち消すのはこの空気を作り出した張本人だった。
純白の幼女は「ファーっと」欠伸をしたかと思うと、
「おー、コラルー、元気かー?」
おっとりした目でコラルの方を向き、欠伸とともに浮かんだ涙を手でこすりながら、純白の幼女はコラルに微笑を浮かべた。
タラーンと手を上げながらなれ親しい言葉をかける幼女。
俺は、その幼女の登場とともに新手の襲撃か?などと少しだけ危機感が生まれたが、その子のコラルへの軽い呼び声から「コラルの知り合いか」と少し安堵し、俺はコラルのほうに目を向ける。
のだけれども、猫耳幼女は口をパクパクさせながら目を見開いている様子を見せていた。明らかに顔が青ざめている。
「な、…な、…な、…」
「な?どーしたー?コラルー?」
口を震わせながら発せられるコラルの言葉に純白の幼女は首を傾げて応じる。
すると、コラルはバンッと机を叩き決死の表情を浮かべると…
「何しとるんだにゃあ‼︎テトニァァァ‼︎」
大きく、甲高い子供らしい声音が部屋中に響き渡る。噴気を加えられた声量でコラルは叫び、フウフゥと鼻息を荒げていた。
怒りを含ませた大声を浴びせられた純白の幼女。しかし、特に怯むような素振りは見せず未だコラルに微笑を向けると、
「おー、コラルー、元気だなー」
棒読みのような口調でコラルの怒声に応じる。
それを耳にしたコラルはピクリと眉を動かし、
「テトナァ‼︎いつになったら分かるにゃ!いつもいつも窓ガラスを割って入ってきて!扉から入れっていつも言ってるじゃないかにゃ!」
コラルの言葉による猛襲。堪忍袋の緒が切れたとも言わんばかりの大声で猫耳幼女は怒号を発している。
対して、純白の幼女はコラルの大声に特には反応など示さず、「ファァッ」と大きな欠伸をかます。
「……………ちょっとレイネルさん、これどういう状況?」
俺はキョトンとした表情でレイネルに場の説明を求める。
ガラス破って驚いたと思ったら急に始まった口争い。幼女同士の言い合いという状況に俺はついていけてなかった。
まず、あの新しい幼女は誰なのか。もはやそこからわからないわけであり、横のレイネルに助言を求める。
幼女同士のやりとりを傍観していたレイネルは唐突な俺の質問に「え?」と一言こぼしながら目をパチクリ。
それから「え、ええ…そうね」と言葉を紡ぐと、
「あの子はテトナ。あの子も魔法使いよ。それでコラル先生のお友達?って言うべきかしら。」
「ああ、テトナね。はあはあ、なるほど。で、コラル大先生のお友達と。……うーん、あれはお友達の仲って言えるのか?」
「そこの定義は私も今渋ったところよ。」
「…そうですか」
ポツリと呟き、俺は幼女たちのやりとりを見つめる。
何というかそこには仲睦まじい光景などはなく、ただの言い合いが行われていた。いや、言い合いというより一方的な抗弁というか。
「扉から入れって言ってるのに何でわざわざ窓ガラスから入ってくるのにゃ!」
「外にいたから、こっちの方が近かった」
「そういうことじゃないにゃ!いつもガラス割られてるこっちの身にもなれって言ってるにゃ!」
「別に魔法使えばすぐ直るだろー?」
「だからって、毎回毎回ガラス割って入る必要はないはずにゃ!」
「だって、コラルの部屋に歩いて行こうとすると遠いから。毎回そのルート通るのはめんどくさい」
「毎回ガラス割られる方が断然めんどくさいにゃあああ!!」
コラルと純白の幼女テトナの口論争はとどまるところを知らないようだ。
片方の口調はヒートアップする一方だが、もう一方のおっとりとした声音は依然として変わらない。
てか、あの白髪の幼女…テトナ?だっけか。
毎回ガラス割ってコラルの部屋に入ってんのかよ。凄まじいな。
これまた、個性的なやつが出てきたなぁ。
「にゃあっ!もう我慢ならないにゃ!テトナっ!覚悟するんだにゃ!!」
痺れを切らしたのかコラルは奇声を上げるとピョンと飛び跳ね机の上にたたずむ。そして、高みで腕を組みながらテトナを見下ろし、
「…テトナ!覚悟するんだにゃ!」
「んー、なんだー?」
「フッフゥ。そうやって余裕があるのは今のうちにゃ。すぐさま、泣き謝らせて…」
「んー、……………えいっ」
コラルの上から目線でマウントを取ったかのような態度。
しかし、テトナはそんなコラルの様子を見るや指を掲げて一言呟くと。
「ん?……何をして、?」
コラルはテトナの仕草にキョトンとした顔を浮かべる。
コラルはテトナの呟きの理由がわからず「何をしたんだ?」と指を掲げた方向を振り向いた。
と、同時にギョッとした目つきを浮かべ、
「………………………にゃああああ⁈」
猫耳幼女の華麗なダイビングキャッチ。
机の上から大ジャンプし、コラルはタンスから落ちたある物を地に落ちる前にギリギリで掴み取った。
「何をするにゃ⁈このわちの宝物にっ!いったいなにをするにゃあ!」
コラルが決死の表情を浮かべながらギュッと手にする物。それは木製の人形だった。
とくに高価そうな物には見えないが、まあ、おそらく口弁から察するにこの幼女にとっては大事な物なのだろう。
幼女の必死の言葉。ちょっとうる目になっているコラルは純白の幼女に言い返す。
けれども、テトナは相も変わらずのほほんとしている様子だった。
そんな幼女同士のやりとり。
コラルとテトナのミニ争いが行われていたわけであるが。
しかし俺は、今起こったことに思わず瞠目してしまっていた。
「え?てか、何今の?勝手に落ちた?」
この目で見た光景。それに俺は正直、驚きを隠せなかった。
それもそのはず、このコラルが守った木製の人形。
それが誰の手にも触れないところで一人でにタンスから落下したからである。人形が落ちかけそうになっていたとかではない。木製の人形はしっかりとタンスの上に落ちないように配置されていたのに、だ。
「え?」
と、首を傾げながら俺は横にいる衛兵女性の方を向く。
魔法説明担当のレイネルさん。解説お願いします。
「…何よ。」
俺の視線を感じるや怪訝な表情を向けるレイネル。
なんだか、この女の目つきも慣れてしまっている自分がいるな。
「いや、今の何?勝手に人形が動いたじゃん。」
「そうね」
「どゆこと?」
「…………」
怪訝な目つきと共にレイネルの何度聞いたかわからないため息。
もはや聴きなれたものであるが、今はそれはよしとして。
彼女は腰に手を当てて、口を開いて俺に告げる。
「だいたい察せれるかと思うけど。今、人形が落ちたのはテトナの仕業よ。あの子が念魔法を使ったの。」
「念魔法……」
レイネルの説明を聞き、俺はポツリと言葉を復唱。
やっぱさっきの人形が落ちたのは魔法が発動させられたせいか。
多分、テトナって幼女が「えいっ」って言った時だろうな。
「念魔法ってどんな魔法なの?」
俺はレイネルに再度質問する。
いい加減、不躾な行為ってくらいこの衛兵女性に質問しまくっているのだが、この女はなんだかんだで答えてくれるからな。便利な女だぜ。
「念魔法ってのは触れずに物を動かしたりできる魔法よ。動かせる物だったらほぼ動かせると思うわ。何個でも、どんな大きい物でも。まあ、制限はあるけれどね。」
「へえ……」
なるほど、つまりは超能力とかに近い感じか。もっと細かくいうならばサイコキネシス、念力って言った方が近いかな。
すっげぇ。そんな魔法まであるのかよ。
この世界はとんでもないな。
なんていう風に俺は新たな魔法との会合にふけっているけれども。
一方で、コラルとテトナの幼女同士の争いは未だ激化しているようであった。
「テトナっ!いったいどんな了見でわちの宝物を落としたにゃあ!」
「…遊んだ」
「あそ⁈遊んだ⁈なんてことを!これはわちがずっと大事に大事にしている物なのに!」
「…………」
「なんとか言ったらどうなんだにゃあ!」
「……おりゃー」
「んにゃああああああ⁈」
テトナの手の仕草。
と共にコラルは再びダイビングキャッチをし、落とされた物をかろうじて死守した。
今回落としたのは金属製の壺?見たいな物だった。
これは高価な物品そうだなあ。
「危ないっ…。危ないにゃぁ。これ壊したらあの時いろんなものを我慢して買った努力が全部水の泡になるにゃぁ」
瞳をガン開きにしたまんまハアハアと息を荒げたてるコラル。どうやら相当焦っているご様子。
おそらくあの壺にはよほどのお金を費やしたのだろう。
「コラルは、面白いなー。」
必死の形相を見せる猫耳幼女とはうって変わって微笑を浮かべる純白の幼女。
「………………」
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