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27.到着して
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次々に景色が移り変わっていくのが見えた。
空中を飛空してだいぶ移動しているたった今、俺は土下座状態で下へと目を向けている。
シュールな絵面になっていることは分かっている。
だが、テトナさんからの下命なのだ。逆らうわけがないだろう。
「…でも、そろそろ着かないのかね」
さすがに長距離を移動しているのは間断なく情景が変わっていることから分かっている。
だから、もうこの土下座のまんまも俺としては結構飽きてきたってのも山々だった。
テトナが向かう場所にはいつ到着するのかね。
「なあ、テトナ。まだなのか?いい加減この体勢はめんどくさいんだけど」
やっぱもうだるくなったので俺は土下座から一転、体を起こし、適当に空中であぐらをかいた。
「んん?」
だが、当のテトナさんはそれについて特に何も言ってくることはないようであり。どうやらちょっとの動きくらいはお咎めなしなみたいだ。
「んん、もうちょっと。ゴブリンの住処は」
「あぁ、了解。あとちょっとか。……………てか、俺はまじでゴブリンとか言うモンスターのとこに行くんだな」
「そうだよ?どうしたの?改まって」
「いや、もちろん分かってるよな?俺は戦えないぞ?戦場とはかけ離れた生活を送ってきた人間だぞ?考慮してっよな?」
「…………リスケって、戦えないの?」
「……ん?うん、戦えないよ?え、何?何で?当たり前だろ?」
「非力なことをそんな当たり前のように言われても……」
俺の物言いに対して前に飛んでいるテトナは肩をすくめながらもそう告げる。
しかし、俺としてはそれは事実なのだ。日本という平和な社会の中で生きてきた俺はそんなモンスターなどど対峙した経験などあるわけがない。強いて言うのならゲーム機内では戦ったことはあるがな。
「ま、そんなのはここでは通用しねえし。………てかとにかく、そのゴブリンとやらを退治するって時に俺の安全は保証されるんだろうな?」
「安全………。まあ、ゴブリンとかの低俗な魔物に私が倒されるわけないし。そう言う意味では大丈夫なんじゃない?」
「おい、なんか不安な言い方だぞそれ。慢心って言葉知らないのか。戦いの場で油断は命取りなんだぞ」
「なんでリスケがそんな戦場を語ってるの?戦えない人だって言ったくせに」
「お前のセリフがフラグたらたらだったからだよ。倒されるわけないとか豪語するな。ビンビンに旗が立ってんだよ」
「……フラ、グ?なんのことか分かんないけど。ゴブリンごとき余裕だよ。実際私、一人で大軍を倒したことあるし」
「ほ、ほお。大軍か。それはどの程度の大軍だ?」
幼女の規模だ。せいぜい十体くらいだろう。どこの世界も子供というものは自分の力に酔いしれるのだ。
「…二百体くらい」
「はあん、二百か、…………………あえっ⁈二百⁈」
「多分、そんくらいだったかな」
「あ、おお」
思いの外、だいぶ予想外の討伐数を口に出され、俺はぽかんと口を開く。
どうやら二百体のゴブリンをこの幼女は一人で倒したらしい。
「え、まじなの?嘘じゃなくて?」
「嘘じゃないよ。ていうか私のこの魔法見えないの?この念魔法使えばゴブリンみたいな魔物なら一網打尽だよ」
「そうなの?」
「そうだよ。だって今リスケを操ってるのは私でしょ?」
「……あ、ああ。そだね」
「つまり、今リスケを思うがままに操って地面にぶつけることも出来るんだよ?」
「怖いこと言わないでくれる⁈」
言いながらキョトンとした面持ちでこちらを向く幼女。まさか、言葉通りのことはしないとは思うがさすがに背中に怖気が走った。
「だから、リスケにそういうことできるってことは、同じ体格のゴブリンにもそういう事ができるって事。それに、まあ、私は二十体くらいを同時に操ってそういうことできるけど」
「さいですか」
この子のこの紫色に光る念魔法とやらは、とてもえげつないものらしい。むしろ、この幼女を相手にする敵側の方に同情してしまいそうだ。
「なんか心配いらなそうだ……」
空中を飛空しながら俺は肩をすくめて嘆息する。
どうやらそのゴブリンとやらの住処に着いてもこの幼女に任せれば全て片がつきそうだ。
「んー、もう着くよー」
「んあ、まじ?」
と、そんな何ともない話をしているうちにテトナが到着したとやんわりとした声音で告げた。
そのまま空中から降下していき、俺とテトナはある森の中の少し開けた場所に着地した。
周りを見渡しても木々が生い茂っているのが分かるが本当にここにゴブリンがいるのだろうか。
「よっ、と。んじゃ、リスケこっちこっち」
地にやんわりと着地したテトナは俺の方を向いてちょいちょいと手招きする。
それから幼女はくるりと振り向きそのまま軽いした足取りでテクテクと歩いていった。
それに俺はタタっと駆け足で付いていき、
「ん?そっち?何かあんの?」
「何かって洞窟だよ。そこにゴブリンたちがいるから。行くの」
「あ、そゆこと」
なるほど、洞窟か。どうやらゴブリンとやらのモンスターたちはそこを住処としているらしい。
なんとなく分かったが、やっぱりそこら辺は俺の中のファンタジー知識と変わらないな。
俺はそんなことを思いながら、小さな幼女の進む道を淡々と付いて行った。
空中を飛空してだいぶ移動しているたった今、俺は土下座状態で下へと目を向けている。
シュールな絵面になっていることは分かっている。
だが、テトナさんからの下命なのだ。逆らうわけがないだろう。
「…でも、そろそろ着かないのかね」
さすがに長距離を移動しているのは間断なく情景が変わっていることから分かっている。
だから、もうこの土下座のまんまも俺としては結構飽きてきたってのも山々だった。
テトナが向かう場所にはいつ到着するのかね。
「なあ、テトナ。まだなのか?いい加減この体勢はめんどくさいんだけど」
やっぱもうだるくなったので俺は土下座から一転、体を起こし、適当に空中であぐらをかいた。
「んん?」
だが、当のテトナさんはそれについて特に何も言ってくることはないようであり。どうやらちょっとの動きくらいはお咎めなしなみたいだ。
「んん、もうちょっと。ゴブリンの住処は」
「あぁ、了解。あとちょっとか。……………てか、俺はまじでゴブリンとか言うモンスターのとこに行くんだな」
「そうだよ?どうしたの?改まって」
「いや、もちろん分かってるよな?俺は戦えないぞ?戦場とはかけ離れた生活を送ってきた人間だぞ?考慮してっよな?」
「…………リスケって、戦えないの?」
「……ん?うん、戦えないよ?え、何?何で?当たり前だろ?」
「非力なことをそんな当たり前のように言われても……」
俺の物言いに対して前に飛んでいるテトナは肩をすくめながらもそう告げる。
しかし、俺としてはそれは事実なのだ。日本という平和な社会の中で生きてきた俺はそんなモンスターなどど対峙した経験などあるわけがない。強いて言うのならゲーム機内では戦ったことはあるがな。
「ま、そんなのはここでは通用しねえし。………てかとにかく、そのゴブリンとやらを退治するって時に俺の安全は保証されるんだろうな?」
「安全………。まあ、ゴブリンとかの低俗な魔物に私が倒されるわけないし。そう言う意味では大丈夫なんじゃない?」
「おい、なんか不安な言い方だぞそれ。慢心って言葉知らないのか。戦いの場で油断は命取りなんだぞ」
「なんでリスケがそんな戦場を語ってるの?戦えない人だって言ったくせに」
「お前のセリフがフラグたらたらだったからだよ。倒されるわけないとか豪語するな。ビンビンに旗が立ってんだよ」
「……フラ、グ?なんのことか分かんないけど。ゴブリンごとき余裕だよ。実際私、一人で大軍を倒したことあるし」
「ほ、ほお。大軍か。それはどの程度の大軍だ?」
幼女の規模だ。せいぜい十体くらいだろう。どこの世界も子供というものは自分の力に酔いしれるのだ。
「…二百体くらい」
「はあん、二百か、…………………あえっ⁈二百⁈」
「多分、そんくらいだったかな」
「あ、おお」
思いの外、だいぶ予想外の討伐数を口に出され、俺はぽかんと口を開く。
どうやら二百体のゴブリンをこの幼女は一人で倒したらしい。
「え、まじなの?嘘じゃなくて?」
「嘘じゃないよ。ていうか私のこの魔法見えないの?この念魔法使えばゴブリンみたいな魔物なら一網打尽だよ」
「そうなの?」
「そうだよ。だって今リスケを操ってるのは私でしょ?」
「……あ、ああ。そだね」
「つまり、今リスケを思うがままに操って地面にぶつけることも出来るんだよ?」
「怖いこと言わないでくれる⁈」
言いながらキョトンとした面持ちでこちらを向く幼女。まさか、言葉通りのことはしないとは思うがさすがに背中に怖気が走った。
「だから、リスケにそういうことできるってことは、同じ体格のゴブリンにもそういう事ができるって事。それに、まあ、私は二十体くらいを同時に操ってそういうことできるけど」
「さいですか」
この子のこの紫色に光る念魔法とやらは、とてもえげつないものらしい。むしろ、この幼女を相手にする敵側の方に同情してしまいそうだ。
「なんか心配いらなそうだ……」
空中を飛空しながら俺は肩をすくめて嘆息する。
どうやらそのゴブリンとやらの住処に着いてもこの幼女に任せれば全て片がつきそうだ。
「んー、もう着くよー」
「んあ、まじ?」
と、そんな何ともない話をしているうちにテトナが到着したとやんわりとした声音で告げた。
そのまま空中から降下していき、俺とテトナはある森の中の少し開けた場所に着地した。
周りを見渡しても木々が生い茂っているのが分かるが本当にここにゴブリンがいるのだろうか。
「よっ、と。んじゃ、リスケこっちこっち」
地にやんわりと着地したテトナは俺の方を向いてちょいちょいと手招きする。
それから幼女はくるりと振り向きそのまま軽いした足取りでテクテクと歩いていった。
それに俺はタタっと駆け足で付いていき、
「ん?そっち?何かあんの?」
「何かって洞窟だよ。そこにゴブリンたちがいるから。行くの」
「あ、そゆこと」
なるほど、洞窟か。どうやらゴブリンとやらのモンスターたちはそこを住処としているらしい。
なんとなく分かったが、やっぱりそこら辺は俺の中のファンタジー知識と変わらないな。
俺はそんなことを思いながら、小さな幼女の進む道を淡々と付いて行った。
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