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第二章 待ち受けていた王国の城
41.怒りの意味
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目に映る景色が全て赤へと変わっていた。
それに、なんだか体が熱かった。
頭も、手も足も、胴体も今はなんだか沸騰しているかのように熱かった。
怒りを曝け出していた。
憤怒を、憎悪を爆発させた。
赤い怒りをその身に纏わせ、アルトは目の前に佇む者に鋭い眼光を睨め付けた。
「お前、その剣は何だ?」
一方、黒きオーラをその身に纏わせながら、リュシエルは目を見開きながらもそう言をこぼす。
「黒影を断ち切るほどの剣だと?いったいどこでそんな物を……」
アルトを地に這い蹲せていた黒き影、それを完璧に一閃した剣に向けてリュシエルは不可解な目を向ける。
けれども、目をすぼめさせては「違うな」と一言こぼすと、
「いや…剣じゃねえ。力の奔流はその左眼か」
黒き少年は怒りに満ちたアルトを細めた目で静観する。
「てめえ、その目はどこで手に入れた?」
瞳を鋭くし、アルトを睨め付けながらリュシエルは問いを投げつけた。
けれども、
「黙れよ……俺はお前を殺す!」
アルトにとってそんなリュシエルの質問は些細なものでしかなかった。親を殺され、仲間を殺された今、彼の中にはリュシエルに対する殺意という感情しか蔓延っていなくて、
「話の通じねえ、獣だな」
怒り心頭、殺意を醸し出した様子でアルトはリュシエルに対して特攻する。剣を握りしめ、歯を剥き出し、赤く光る目で鋭く睨みつけながら刃を少年に対して振りかざし、
「……はっ、馬鹿が。当たるかよ」
しかし、そんなアルトの剣撃は虚しく空を断ち切る。
リュシエルは身軽な様でその猛攻を躱し、それから瞬く間に後ろへ飛んだ。
「待てっ!」
「はっ、安心しろよ。逃げる気はねえ。俺がここを去るのはてめえを殺してからだ」
厳めしい眼光を宿しながら、リュシエルは高笑いをし、体の周りに纏わせていた黒を片手に凝縮させた。
そして、次第に凄絶な魔力の塊が少年の掌の中へと練り固まっていく。
「崩れろ………黒悞玉…」
「…………っ⁈」
リュシエルのこぼすような小声。魔法の詠唱のようなものかと思われるその小声が聞こえたと同時に黒い影が集まり、中で黒がうねっている玉がアルトに目掛けて飛んできた。
確実に食らったら即死する、当たったもの全てを消し去るということが分かるその高エネルギー体の黒い玉が猛スピードで接近し、
「らあぁぁぁっ‼︎」
「ほお」
しかし、アルトはその黒い玉を握りしめた剣で勢いのまま一刀両断。剣圧と剣劇を飛ばし、迫りくるその黒を真っ二つに切断した。
「さすがの力だな。俺の黒悞玉も断ち切るか」
そんな状況を見てリュシエルは感心したように微笑を浮かべ、そしてまた新たに黒い影をその手に集めた。
再び黒を圧縮させ、魔力の黒玉を作り出す。
けれども、今度は一つではない。黒い玉を次々に作り出し、計十三の黒い玉を自身の周りに集めさせた。
「そら、今度は弾数を増やしてやったぞ。黒悞玉に喰われるか、お前が生きるかだ」
前に手を掲げ、こぼすようにそう一言告げる。
その瞬間、リュシエルの周りにあった四つの黒い玉が一斉にアルトの元へと迫ってきた。
しかし、そんな死の散弾がいくらかかってこようともアルトは決して怯むことはなかった。
「邪魔だ‼︎どけぇっ‼︎」
次々に飛んでくる黒い玉をアルトは剣の一振りで断絶していく。一つを両断したら、次に来る黒い玉を真横に切断。三つ目は完璧に目で見切って回避し、四つ目を剣撃で断ち切り消滅させた。
「はっ、全て落とすか。なら、数が増えたらどうだ?」
黒い玉を打ち落とし、回避したアルトの様を見て微笑を浮かべたリュシエルがぬらりと手を掲げてそう言い放つ。途端、そこに残っていた全ての黒い玉がアルト目掛けて飛来してきた。
しかし、アルトはそれを目にした瞬間、思いっきり剣を横に振りかざし、
「おらっあぁぁぁぁっっ‼︎」
迫りくる九つの黒い玉。それを剣を薙ぎ払った際に生み出した赤い剣圧で黒い玉全てを消滅させた。
そしてアルトは地を蹴り、その場にいるリュシエルの元へと接近する。
「………ふん」
それを見たリュシエルは黒い影を操り、鋭利な刃のある漆黒の剣を作り出した。それを握りしめアルトの剣に対応しようとする。
だが、
「何⁈」
「皆の仇だ‼︎食らえ‼︎」
リュシエルの作り出した漆黒の剣はアルトの剣を止めることができず、刃が衝突した瞬間に黒影が消え去った。
そのままアルトはリュシエルの胴を剣で斜めに断ち切り、
「…がっ⁈」
リュシエルの胸部から赤黒い血が溢れ出した。次いで体勢を崩し、斬られた反動か少し足をよろけさせる。
アルトはそこを見逃さない。一瞬の隙を見計らい、彼はさらに剣撃を繰り出し、
「馬鹿がっ……くうかよ」
「………ぐあっ⁈」
突如、体勢を崩し低空姿勢となったリュシエルが一瞬にして下から足蹴りをかます。その繰り出された蹴りは凄まじいものであり、アルトの腹部を蹴り込みそのまま後ろへ吹っ飛ばした。
「ちっ、血い流したのなんて。いつぶりだ?」
アルトを蹴飛ばしたあと、嘆くように、不機嫌そうに、リュシエルは顔を顰めたまま言葉を吐き捨てる。
それから切られた胸部に黒い影を覆わせては、壁に激突したアルトヘと鋭い眼光を睨め付けた。
「大層なもん持ってやがる奴が現れやがったな…」
アルトを細い瞳で鋭く睨み、リュシエルは捨てるように言葉をこぼした。
一方、アルトは不意打ちと言わんばかりの衝撃を腹に受け、壁にもたれかかっていた。
腹部と後頭部に痛みが生じる。奴から食らった攻撃によるものか。
だが、そんなのは関係ない。こんな痛みなんて些細なものだ。こんな苦しみなんてちっぽけなものだ。
そんなものより、憎悪の方が怒りの方が爆発しそうだ。あいつを殺すという意志がはち切れそうだ。
目が熱い、胸が熱い、手足が熱い。総身全てが熱い。
熱くて熱くて、ただ熱い。あいつを殺すと思うと熱さに取り込まれてしまいそうだ。
前を見ると、視界は全て赤に染まっていた。左眼がガンガンと痛みを放っているのが分かった。
だからといって、痛いからといって、この憤激を抑えこめれそうにない。
あいつを殺すまで、俺はこの怒りを燃やし続けて、
「よお、その程度じゃ死なねえだろ?」
「………っ⁈……がはっ!」
と、一瞬にして遠くに佇んでいたリュシエルがいきなり目の前に現れる。そのままアルトの首を握りしめ、鋭い眼光を瞳に宿しながら間近くで睨みつけて、
「もう一度、聞くぞ。てめえ、その目はどこで手に入れた?」
「……ぐっ、……何、が?」
「とぼけるな。俺の黒影を無効化するほどの力。そんなの一つしかねえんだよ」
「………何の、話だ?」
「お前、本当に知らねえのか?」
首を握りしめられながらアルトはリュシエルの言を聞くも、何のことなのか分からなかった。
そんなアルトの様子にリュシエルは目を見開き、怪訝そうに眉をひそめる。
けれども、未だ不可解な表情を浮かべるアルトを見たリュシエルは「はっ」と軽笑して、
「知らねえんだったら、教えてやる。てめえみてえな人間がなぜ俺の黒影を断ち切ることができんのか」
眼光を鋭く宿し、リュシエルはアルトの瞳を覗き込みながらそう言う。そして、笑いを浮かばせながらさらに言葉を紡ぎ、
「てめえの左眼。それは竜の瞳だ。どっから手に入れててめえの目に付いてんのか知らねえが俺の黒影を無効化する奴なんざ竜の奴しかいねえんだよ」
と、高らかにそして吐き捨てるようにリュシエルは握りしめるアルトに向かってそう言葉を言い放ったのだった。
それに、なんだか体が熱かった。
頭も、手も足も、胴体も今はなんだか沸騰しているかのように熱かった。
怒りを曝け出していた。
憤怒を、憎悪を爆発させた。
赤い怒りをその身に纏わせ、アルトは目の前に佇む者に鋭い眼光を睨め付けた。
「お前、その剣は何だ?」
一方、黒きオーラをその身に纏わせながら、リュシエルは目を見開きながらもそう言をこぼす。
「黒影を断ち切るほどの剣だと?いったいどこでそんな物を……」
アルトを地に這い蹲せていた黒き影、それを完璧に一閃した剣に向けてリュシエルは不可解な目を向ける。
けれども、目をすぼめさせては「違うな」と一言こぼすと、
「いや…剣じゃねえ。力の奔流はその左眼か」
黒き少年は怒りに満ちたアルトを細めた目で静観する。
「てめえ、その目はどこで手に入れた?」
瞳を鋭くし、アルトを睨め付けながらリュシエルは問いを投げつけた。
けれども、
「黙れよ……俺はお前を殺す!」
アルトにとってそんなリュシエルの質問は些細なものでしかなかった。親を殺され、仲間を殺された今、彼の中にはリュシエルに対する殺意という感情しか蔓延っていなくて、
「話の通じねえ、獣だな」
怒り心頭、殺意を醸し出した様子でアルトはリュシエルに対して特攻する。剣を握りしめ、歯を剥き出し、赤く光る目で鋭く睨みつけながら刃を少年に対して振りかざし、
「……はっ、馬鹿が。当たるかよ」
しかし、そんなアルトの剣撃は虚しく空を断ち切る。
リュシエルは身軽な様でその猛攻を躱し、それから瞬く間に後ろへ飛んだ。
「待てっ!」
「はっ、安心しろよ。逃げる気はねえ。俺がここを去るのはてめえを殺してからだ」
厳めしい眼光を宿しながら、リュシエルは高笑いをし、体の周りに纏わせていた黒を片手に凝縮させた。
そして、次第に凄絶な魔力の塊が少年の掌の中へと練り固まっていく。
「崩れろ………黒悞玉…」
「…………っ⁈」
リュシエルのこぼすような小声。魔法の詠唱のようなものかと思われるその小声が聞こえたと同時に黒い影が集まり、中で黒がうねっている玉がアルトに目掛けて飛んできた。
確実に食らったら即死する、当たったもの全てを消し去るということが分かるその高エネルギー体の黒い玉が猛スピードで接近し、
「らあぁぁぁっ‼︎」
「ほお」
しかし、アルトはその黒い玉を握りしめた剣で勢いのまま一刀両断。剣圧と剣劇を飛ばし、迫りくるその黒を真っ二つに切断した。
「さすがの力だな。俺の黒悞玉も断ち切るか」
そんな状況を見てリュシエルは感心したように微笑を浮かべ、そしてまた新たに黒い影をその手に集めた。
再び黒を圧縮させ、魔力の黒玉を作り出す。
けれども、今度は一つではない。黒い玉を次々に作り出し、計十三の黒い玉を自身の周りに集めさせた。
「そら、今度は弾数を増やしてやったぞ。黒悞玉に喰われるか、お前が生きるかだ」
前に手を掲げ、こぼすようにそう一言告げる。
その瞬間、リュシエルの周りにあった四つの黒い玉が一斉にアルトの元へと迫ってきた。
しかし、そんな死の散弾がいくらかかってこようともアルトは決して怯むことはなかった。
「邪魔だ‼︎どけぇっ‼︎」
次々に飛んでくる黒い玉をアルトは剣の一振りで断絶していく。一つを両断したら、次に来る黒い玉を真横に切断。三つ目は完璧に目で見切って回避し、四つ目を剣撃で断ち切り消滅させた。
「はっ、全て落とすか。なら、数が増えたらどうだ?」
黒い玉を打ち落とし、回避したアルトの様を見て微笑を浮かべたリュシエルがぬらりと手を掲げてそう言い放つ。途端、そこに残っていた全ての黒い玉がアルト目掛けて飛来してきた。
しかし、アルトはそれを目にした瞬間、思いっきり剣を横に振りかざし、
「おらっあぁぁぁぁっっ‼︎」
迫りくる九つの黒い玉。それを剣を薙ぎ払った際に生み出した赤い剣圧で黒い玉全てを消滅させた。
そしてアルトは地を蹴り、その場にいるリュシエルの元へと接近する。
「………ふん」
それを見たリュシエルは黒い影を操り、鋭利な刃のある漆黒の剣を作り出した。それを握りしめアルトの剣に対応しようとする。
だが、
「何⁈」
「皆の仇だ‼︎食らえ‼︎」
リュシエルの作り出した漆黒の剣はアルトの剣を止めることができず、刃が衝突した瞬間に黒影が消え去った。
そのままアルトはリュシエルの胴を剣で斜めに断ち切り、
「…がっ⁈」
リュシエルの胸部から赤黒い血が溢れ出した。次いで体勢を崩し、斬られた反動か少し足をよろけさせる。
アルトはそこを見逃さない。一瞬の隙を見計らい、彼はさらに剣撃を繰り出し、
「馬鹿がっ……くうかよ」
「………ぐあっ⁈」
突如、体勢を崩し低空姿勢となったリュシエルが一瞬にして下から足蹴りをかます。その繰り出された蹴りは凄まじいものであり、アルトの腹部を蹴り込みそのまま後ろへ吹っ飛ばした。
「ちっ、血い流したのなんて。いつぶりだ?」
アルトを蹴飛ばしたあと、嘆くように、不機嫌そうに、リュシエルは顔を顰めたまま言葉を吐き捨てる。
それから切られた胸部に黒い影を覆わせては、壁に激突したアルトヘと鋭い眼光を睨め付けた。
「大層なもん持ってやがる奴が現れやがったな…」
アルトを細い瞳で鋭く睨み、リュシエルは捨てるように言葉をこぼした。
一方、アルトは不意打ちと言わんばかりの衝撃を腹に受け、壁にもたれかかっていた。
腹部と後頭部に痛みが生じる。奴から食らった攻撃によるものか。
だが、そんなのは関係ない。こんな痛みなんて些細なものだ。こんな苦しみなんてちっぽけなものだ。
そんなものより、憎悪の方が怒りの方が爆発しそうだ。あいつを殺すという意志がはち切れそうだ。
目が熱い、胸が熱い、手足が熱い。総身全てが熱い。
熱くて熱くて、ただ熱い。あいつを殺すと思うと熱さに取り込まれてしまいそうだ。
前を見ると、視界は全て赤に染まっていた。左眼がガンガンと痛みを放っているのが分かった。
だからといって、痛いからといって、この憤激を抑えこめれそうにない。
あいつを殺すまで、俺はこの怒りを燃やし続けて、
「よお、その程度じゃ死なねえだろ?」
「………っ⁈……がはっ!」
と、一瞬にして遠くに佇んでいたリュシエルがいきなり目の前に現れる。そのままアルトの首を握りしめ、鋭い眼光を瞳に宿しながら間近くで睨みつけて、
「もう一度、聞くぞ。てめえ、その目はどこで手に入れた?」
「……ぐっ、……何、が?」
「とぼけるな。俺の黒影を無効化するほどの力。そんなの一つしかねえんだよ」
「………何の、話だ?」
「お前、本当に知らねえのか?」
首を握りしめられながらアルトはリュシエルの言を聞くも、何のことなのか分からなかった。
そんなアルトの様子にリュシエルは目を見開き、怪訝そうに眉をひそめる。
けれども、未だ不可解な表情を浮かべるアルトを見たリュシエルは「はっ」と軽笑して、
「知らねえんだったら、教えてやる。てめえみてえな人間がなぜ俺の黒影を断ち切ることができんのか」
眼光を鋭く宿し、リュシエルはアルトの瞳を覗き込みながらそう言う。そして、笑いを浮かばせながらさらに言葉を紡ぎ、
「てめえの左眼。それは竜の瞳だ。どっから手に入れててめえの目に付いてんのか知らねえが俺の黒影を無効化する奴なんざ竜の奴しかいねえんだよ」
と、高らかにそして吐き捨てるようにリュシエルは握りしめるアルトに向かってそう言葉を言い放ったのだった。
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