DachuRa 3rd story -天使と讃えられたのは、悲劇に堕ちた哀れな教唆犯-

白城 由紀菜

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XV 危険なティータイム -V

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「……2人の、お歳は?」

 話題と言っても、決して会話が長く続くものでは無い。ただ、歳を聞かれただけだ。それでも、彼女にとっては相当勇気のいる行動だったらしい。ふわりと鼻腔びこうを抜けるのは、緊張感のあるニオイ。

「2人……って事は私とセディ? あれ、セディからそういう話聞いてない?」

「……ええ、まだ此処へ来て3日しか経過していないし、彼も私もあまり自ら語る方ではないから……」

「そっかぁ。私とセディは21だよ。誕生日が4ヵ月違うから若干セディの方が上だけど、同い年!」

 てっきり年齢位伝えているものだと思っていたが、確かに彼女の言う通りセドリックは自ら語る方では無い。それは、彼女も同じなのだろう。
 3日も同じ家で暮らしていて、一体2人はどんな会話を交わしながら生活をしていたのか。そんな疑問を抱くが、口数が少ないセドリックと、同じく口数の少ないエル。どんな3日間を送っていたかなど、容易く想像が出来た。

「――ところでエルちゃんさ」

 エルにさえぎられてしまったが、今度こそ本題に入ろう。まずは、彼女からずっと微小びしょうに感じていた事。
 彼女と視線を交わらせ、柔らかく微笑む。

「私達がどんな人物か、気になってるんでしょ」

「――!」

 正直、確証は無かった。彼女が抱く私達への興味というのは、かなり微小で曖昧である。
 彼女は自身の心情を無意識のうちに隠す傾向にあるらしく、非常に読み辛い人間だ。伝ってくる感情や匂い、音が少ない為普通に関わる分には気楽な人間ではあるが、今日の様に探りを入れたい時には苦労する相手である。それに、勘も少々鋭い様に見受けられた。
 少しでも言葉の選択を誤れば、私が人の心を読める“エンパス”だという事に勘付かれてしまいそうだ。

 確証は無く不安ではあったが、どうやら当たり籤を引いたらしい。私の言葉に平常心を装おうとしていた様だが、内心動揺していたのだろう。ティーカップを置いた拍子にソーサーとぶつかり、ガチャンと大きな音を立てた。

「ふふ、そんな動揺しなくてもいいよ。別に、相手の事が気になるのは悪い事じゃないし」

「動揺なんて、してないわ」

 悟られまいとしている様だが、その声はわずかに震えていて、伝わってくる波長にも乱れがしょうじる。鼓動も、普段より早くなっている様だ。彼女の瞳を真っ直ぐに見つめると、何処か居心地が悪そうに、その美しいイエローブラウンの瞳が泳いだ。

 ――昔から、よく人に言われていた事がある。
 自分ではあまり気にした事が無かったのだが、私の瞳孔どうこうは縦長の形をしているらしい。ある人は優雅な猫の様だと、ある人は獲物を狙う蛇の様だと。それは褒め言葉でもあれば悪口でもあったが、皆共通して「その瞳に睨まれると身体がすくんでしまう」と言った。
 自身の瞳に、視線に、何か特別な力があるとは思っていない。しかし、今の様な時に相手をじっと見つめていれば、感情が読み辛い人物だとしても動揺からかその心の内が幾らか読み易くなる様になる気がした。
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