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XXX 本-III
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「大学では、もっと無茶な課題を出されますよ」
「先生大学行ってたの?」
「そりゃあ、医者ですから」
その本を受け取り、渋々胸に抱くと彼が頬を緩め私の頭をぽんと撫でた。
「本の感想、ちゃんと聞かせてくださいね」
「興味ない本に感想も何も無いと思うけど」
「貴女が、読んでいないのに読んだと嘘をつかない様に言っているんですよ」
「嘘なんか……つかないし……」
頭から彼の手が離れていくのが名残惜しく感じ、本を抱く腕に力を籠める。
彼から受け取った本は、普段私が読んでいる本と然程変わらない分厚さだ。ぱらぱらと雑に捲ってみたが、図形などの絵も含まれている為文章量だけでいえば多くは無いのかもしれない。この程度であれば、3日もあれば読み切る事が出来るだろう。――全て、集中力が続けばの話だが。
「ねぇ先生」
少なくとも、3日は会えない。
その事実が私を感傷的にさせたのか、胸の奥に秘めていた言葉がつい口を衝いて出てしまった。
「私、先生の事好きだよ」
無意識的に、耳朶に付いたピアスの金具を爪先で引っ掻く。
それは、私が今後どうしたら良いか分からなくなる時の癖。自分で分かっているのに、やめられない癖だ。
マクファーデンには想い人が居る。それは、私じゃない誰か。こんな事を言って、彼を困らせたくない。それでも、何故だか口を衝いてしまった。
「僕は、医者です」
「……分かってるよ」
「でも、1人の人間でもあります」
「……は?」
顔を上げ彼と視線を合わせると、彼が切なげな笑みを浮かべていた。眼鏡の奥の、バイオレットの瞳は優しく、私を見つめる。
――何故、彼の心だけが読めないのだろう。彼の心が読めれば、彼が誰を想い、そして私に何を思っているかが分かるというのに。
「なにそれ、どういう意味」
「本当に、僕の心だけは読めないんですね」
「読めないよ。何を今更……そんな事……」
彼が徐に眼鏡を外し、微笑みを湛えたまま瞳を閉じる。
「残念です」
――何故彼がそんな言葉を吐いたのか、今の私には分からなかった。
ただ、もうこれ以上彼と一緒に居てはいけない気がして、受け取った本を胸に抱いたまま踵を返す。
「……読み終わったら、また来て良いんでしょ?」
「はい。待ってますよ」
背に視線を感じ、カーテンの前で立ち止まる。しかし、今此処で振り返ったらもう彼から離れられなくなる気がして、そのままカーテンの外へ足を向けた。
「先生大学行ってたの?」
「そりゃあ、医者ですから」
その本を受け取り、渋々胸に抱くと彼が頬を緩め私の頭をぽんと撫でた。
「本の感想、ちゃんと聞かせてくださいね」
「興味ない本に感想も何も無いと思うけど」
「貴女が、読んでいないのに読んだと嘘をつかない様に言っているんですよ」
「嘘なんか……つかないし……」
頭から彼の手が離れていくのが名残惜しく感じ、本を抱く腕に力を籠める。
彼から受け取った本は、普段私が読んでいる本と然程変わらない分厚さだ。ぱらぱらと雑に捲ってみたが、図形などの絵も含まれている為文章量だけでいえば多くは無いのかもしれない。この程度であれば、3日もあれば読み切る事が出来るだろう。――全て、集中力が続けばの話だが。
「ねぇ先生」
少なくとも、3日は会えない。
その事実が私を感傷的にさせたのか、胸の奥に秘めていた言葉がつい口を衝いて出てしまった。
「私、先生の事好きだよ」
無意識的に、耳朶に付いたピアスの金具を爪先で引っ掻く。
それは、私が今後どうしたら良いか分からなくなる時の癖。自分で分かっているのに、やめられない癖だ。
マクファーデンには想い人が居る。それは、私じゃない誰か。こんな事を言って、彼を困らせたくない。それでも、何故だか口を衝いてしまった。
「僕は、医者です」
「……分かってるよ」
「でも、1人の人間でもあります」
「……は?」
顔を上げ彼と視線を合わせると、彼が切なげな笑みを浮かべていた。眼鏡の奥の、バイオレットの瞳は優しく、私を見つめる。
――何故、彼の心だけが読めないのだろう。彼の心が読めれば、彼が誰を想い、そして私に何を思っているかが分かるというのに。
「なにそれ、どういう意味」
「本当に、僕の心だけは読めないんですね」
「読めないよ。何を今更……そんな事……」
彼が徐に眼鏡を外し、微笑みを湛えたまま瞳を閉じる。
「残念です」
――何故彼がそんな言葉を吐いたのか、今の私には分からなかった。
ただ、もうこれ以上彼と一緒に居てはいけない気がして、受け取った本を胸に抱いたまま踵を返す。
「……読み終わったら、また来て良いんでしょ?」
「はい。待ってますよ」
背に視線を感じ、カーテンの前で立ち止まる。しかし、今此処で振り返ったらもう彼から離れられなくなる気がして、そのままカーテンの外へ足を向けた。
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