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XXXIX 自殺-I
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職場の近く――丁度ウォーレンが住む街へ繋がる道の周辺あたりだ。建物の隙間に身を潜める様にして、1人石段に座り身体を丸める。
自身が此処に来て、1時間と15分が経過した。セドリックとの約束の時間まで、あと残り15分。
たったの1時間半で、彼はアルフレッドを殺し、ウォーレンの“痕跡”を残して帰ってくる事は出来るのだろうか。不安に思いながらも、懐中時計を眺めながらセドリックの帰りをただじっと待つ。
季節は、冬。陽の光が無い深夜にこんな場所に居れば、どれだけ厚着をしていても当然寒さを感じる。自身の冷えた両の指先に息を吐きかけ、少しでも温まる様にと手を擦り合わせた。
――セドリックが帰ってきたら、私はウォーレンの元まで行かなくてはならない。ウォーレンから預かったローブと、普段履いている靴。それを彼に返し、ウォーレンの自殺を見届ければこの計画は終わりだ。
ウォーレンがちゃんと死を選んでくれるのか。その懸念は、未だ拭えない。しかし、最も私の心を憂鬱にさせているのは人の自殺を見届けなければならないという事実だった。
緊張や不安の所為か、やけに指先が冷える。再び指先に息を吐き掛け、膝の上に置いた懐中時計に視線を落とした。
分針が丁度時計の真下、数字のVIを指した頃。フードを目深に被った男が此方に歩いてくるのが見えた。その男に合図する様に、小さく手を上げる。
「――お疲れ」
私の前で足を止めたのは、アルフレッドの家へと行っていたセドリック。彼が纏ったローブには、まるで絵に描いたかの様に激しく返り血が飛んでいた。きっと憎悪のままにアルフレッドを刺し殺したのだろう。アルフレッドの住家に転がっているであろう遺体の損傷具合は、とても想像したくない。
「時間、丁度だね。上出来じゃん」
石段から腰を上げ、彼から脱いだローブを受け取る。
「当たり前だ」
彼が石段に片足を乗せ、靴紐を解いた。僅かに血液が付着したその靴も、ウォーレンの私物だ。
セドリックから受け取ったローブと靴は、この後私の手でウォーレンに返却される。
「――お風呂の準備は出来てる。新しいシャツとスラックスも用意してあるから、それ着て帰って。ジャケットは、明日にでもニオイ取って返すよ」
「あぁ、頼む」
「くれぐれも、エルちゃんには気付かれない様に。彼女なら、別にセディから離れていく事は無いと思うけど、怖がらせたくはないでしょ?」
「分かってる」
こんな場所で彼と共に居る所を、巡回中の警官にでも見つかったりしたら一貫の終わりだ。早々に彼と会話を終わらせ、ひらりと手を振りウォーレンの家の方向へと足を向けた。
ローブから、僅かな恐怖心と痛みを感じる。付着した血液が、まだ比較的新しいからだろうか。これでは、エンパスやハイリー・センシティブ・パーソン、共感覚というより霊感と言ってしまった方が早そうだ。
相変わらず、自身のこの能力については分からない事ばかりである。血液からも感情を読み取ってしまうだなんて、自分自身の事だというのになんだか気味が悪く感じた。
自身が此処に来て、1時間と15分が経過した。セドリックとの約束の時間まで、あと残り15分。
たったの1時間半で、彼はアルフレッドを殺し、ウォーレンの“痕跡”を残して帰ってくる事は出来るのだろうか。不安に思いながらも、懐中時計を眺めながらセドリックの帰りをただじっと待つ。
季節は、冬。陽の光が無い深夜にこんな場所に居れば、どれだけ厚着をしていても当然寒さを感じる。自身の冷えた両の指先に息を吐きかけ、少しでも温まる様にと手を擦り合わせた。
――セドリックが帰ってきたら、私はウォーレンの元まで行かなくてはならない。ウォーレンから預かったローブと、普段履いている靴。それを彼に返し、ウォーレンの自殺を見届ければこの計画は終わりだ。
ウォーレンがちゃんと死を選んでくれるのか。その懸念は、未だ拭えない。しかし、最も私の心を憂鬱にさせているのは人の自殺を見届けなければならないという事実だった。
緊張や不安の所為か、やけに指先が冷える。再び指先に息を吐き掛け、膝の上に置いた懐中時計に視線を落とした。
分針が丁度時計の真下、数字のVIを指した頃。フードを目深に被った男が此方に歩いてくるのが見えた。その男に合図する様に、小さく手を上げる。
「――お疲れ」
私の前で足を止めたのは、アルフレッドの家へと行っていたセドリック。彼が纏ったローブには、まるで絵に描いたかの様に激しく返り血が飛んでいた。きっと憎悪のままにアルフレッドを刺し殺したのだろう。アルフレッドの住家に転がっているであろう遺体の損傷具合は、とても想像したくない。
「時間、丁度だね。上出来じゃん」
石段から腰を上げ、彼から脱いだローブを受け取る。
「当たり前だ」
彼が石段に片足を乗せ、靴紐を解いた。僅かに血液が付着したその靴も、ウォーレンの私物だ。
セドリックから受け取ったローブと靴は、この後私の手でウォーレンに返却される。
「――お風呂の準備は出来てる。新しいシャツとスラックスも用意してあるから、それ着て帰って。ジャケットは、明日にでもニオイ取って返すよ」
「あぁ、頼む」
「くれぐれも、エルちゃんには気付かれない様に。彼女なら、別にセディから離れていく事は無いと思うけど、怖がらせたくはないでしょ?」
「分かってる」
こんな場所で彼と共に居る所を、巡回中の警官にでも見つかったりしたら一貫の終わりだ。早々に彼と会話を終わらせ、ひらりと手を振りウォーレンの家の方向へと足を向けた。
ローブから、僅かな恐怖心と痛みを感じる。付着した血液が、まだ比較的新しいからだろうか。これでは、エンパスやハイリー・センシティブ・パーソン、共感覚というより霊感と言ってしまった方が早そうだ。
相変わらず、自身のこの能力については分からない事ばかりである。血液からも感情を読み取ってしまうだなんて、自分自身の事だというのになんだか気味が悪く感じた。
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