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LXI 真実-IV
しおりを挟む「分からない、が、親として正しい行動が悪い結果を引き寄せてしまう事もある……と」
「……? どういう事?」
「2人を助けに行く事で、2人を危険に晒してしまう可能性がある……という事だと思う」
「じ、じゃあ、もう……2人は戻ってこないって事……?」
思考が絡まったままそう問うと、セドリックが自嘲し「お前はエルと同じ事を言うんだな」と言った。
私達の間に、沈黙が流れる。彼は口を閉ざしたまま、何も言わない。私も、そんな彼を見たまま何も言葉を発する事が出来なかった。
時間にする事、凡そ5分。静寂の中、彼が何かを言おうと口を開いた。
「……」
しかし、中々言葉が出てくる事は無く再び沈黙が流れる。そんな沈黙を打破する為にも、「何?」と彼に問い掛けた。
「――お前は、娘2人の為に動けるか」
曖昧であり、漠然とした問いだ。しかし、彼が2人の為に何かを考えている事は分かった。
「動けるよ」
そう返答すると、彼が再び口を閉ざす。こんな状況で心を読む事はしたくなかったが、彼が今精一杯思考を巡らせている事が伝わって来た。
今度は急かす事無く、黙って彼の言葉をただ只管に待つ。
「スタインフェルド家は、金遣いが荒い事で有名なんだ。令室のローズ・スタインフェルドは宝石の収集癖があるらしく、基本は宝石商から買い取っている様だが、欲しい宝石の為なら手段を択ばず、時にはブローカーを家に呼ぶ事もあるらしい」
「ブローカー……って……」
「お前には、どうにかローズ・スタインフェルドに接触をして、娘2人が本当にスタインフェルド家に居るのかを調べて欲しいんだ。連れ戻す事は、今の所考えなくていい。とにかく今は、2人の身に危険が無いかを……」
彼の言葉の語尾が、僅かに震える。彼はきっと、今も迷っているのだろう。自分の選択が、正しいのかと。
「分かった。昔、もう15年以上経つかな。希少な宝石を預けられた事があって、その宝石が今でも残ってるの。存在は、正直今の今迄忘れてたんだけど、それで釣れないか試してみるよ」
「頼む」
彼がゆっくりとソファから腰を上げ、ふらつきながら玄関扉の方へと向かっていく。
その後を追いかけ、そっと彼の背に手を触れさせた。
「ゆっくり、休んで。今は、エルちゃんと2人で」
私の言葉に、彼は返事をする事は無かった。ただ俯いたまま、私の肩をぽんと叩き屋敷を去っていく。
そんな彼の背を見ながら、私はただ言い知れぬ感情に飲まれていた。これは絶望か、将又唯一の希望なのか。自分の事の様に深刻であり、何処か他人事の様に冷静だ。
深く息を吸い、吐き出す事が出来たのは、彼の背が見えなくなってからの事だった。
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