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XXII 止められない嫉妬心-II
しおりを挟む先程彼と会話を交わした際、彼はマーシャを“家族の様な存在”だと言った。
それは会話の流れで出た言葉であり、決して彼も深い意味を込めて言った訳では無い。自分自身でも、充分に分かっている事だ。
なのに、たったそれだけの事に、酷く嫉妬の感情に駆られた。
“家族の様な存在”という言葉は、過去にマーシャからも聞いた事がある。その当時は彼への恋心を自覚していなかった事もあってか、特別思う事は無かった筈だ。
なのに何故、彼の口からその言葉を聞くと、こんなにも心が乱れてしまうのか。
マーシャは彼の多くを知っている。私が知る事の出来ない彼の仕事も、過去も。
本に書かれた“嫉妬”の文字を指でなぞり、痛む胸に溜息を漏らした。
「――あっ…」
本を傾けた拍子に、ひらりと黒い封筒がページの隙間から落ちる。
それは数日前、チェストの中を整理していた際、セドリックのローブのポケットから見つけた物だ。そのローブを使ったのは約半年前。私がこの街に来て、初めて街に出た時だ。
あの時セドリックは、「長年使っていなかった物だから、少し埃の臭いが気になるかもしれない」と言いながらそのローブを私に貸してくれた。そしてその時には、確かにポケットの中には何も入っていなかった。
外出から戻った際、特にポケットの中を確認せずにチェストに戻してしまったが、それからセドリックがこのローブを使った所は見ていない。
つまりこの封筒は、街に出た際“何者”かが私に近づき、ポケットに入れた物と認識して良いだろう。
セドリックに相談しようと思いこの本に挟んでいたが、今の今迄すっかり忘れていた。
本を閉じ、その封筒を手に取る。
封筒の口は、“B”の文字が押された封蝋でしっかりと閉じられている。決して安物では無い、重量感のある紙質。
一体誰が、何の為に、こんな物を私のポケットに忍ばせたのだろうか。好奇心と少々の恐怖を胸に、ゆっくりと封蝋を剥がした。
中に入っていたのは、封筒の色と同じく黒のメッセージカード。
そのカードを取り出し、書かれたメッセージに目を走らせる。
--
Dear Elle Burton,〈親愛なる エル・バートン〉
When you notice it, 〈貴女がそれに気付いた時、〉
the other person also notices it.〈相手もまたそれに気付いている。〉
Mabel Balfour〈メイベル・バルフォア〉
---
「…なに、これ」
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