DachuRa 1st story -最低で残酷な、ハッピーエンドを今-

白城 由紀菜

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XXVII 欲望-III





「寒いな」

「……冬、だから」

 彼が私に覆い被さり、掌の次にキスを落としたのは首筋。
 首筋へのキスには、どんな意味があっただろうか。彼からのキスを受けながら、ぼんやりと考える。
 だが、何処か擽ったい感覚を交えた快楽が思考の邪魔をし、中々その答えに行きつく事が出来ない。

「……セドリック、だめ」

 彼の肩を叩き、キスから逃れる様に首を横に振る。

「……色々、支度しないといけないから」

「仕事は午後からだって言っただろ」

「……でも、もう朝だから、起きないと」

「起きてる」

「……そうじゃ、なくて」

 身体を起こした彼が、私の顔をじっと見つめる。
 その瞳は、昨晩と同じ熱を孕んでいた。そんな瞳で見つめられてしまえば、もう言い訳等出来なくなってしまう。

「……困った人ね。少しだけよ」

「分かってる」

 彼の唇が、自身の唇に重なった。
 食む様なそのキスは、このまま溶けてしまいそうな程心地よく、強張った私の身体と心を解していく。

 困った人、だなんて言っておきながら、私は少しも困ったりなどしていなかった。
 彼から受けるキスが、熱が、全て快楽に変わる。どれだけ彼と触れ合っても、どれだけ彼から快楽を得ても、満ち足りる事は無い。

 私も大概(たいがい)だ。朝からこんな事を、許してしまうなんて。
 そう思いながらも、彼からのキスにただ心を酔わせていた。




「――ん、っ……あっ……」

 あれから、どれだけの時間が経過しただろう。少しだけ、と言った言葉を忠実に守る様に、彼は私の身体を弄ぶだけでそれ以上の事はしなかった。
 秘部に滑らせた指は淫らに動き、強い快楽を生むしこりを器用に刺激する。そして愛液を零す蜜壺に指を這わせては、焦らす様に指を差し込み壁を執拗に擦った。

「――だ、め……セドリック……!」

 抵抗しようと彼の肩を押すが、彼は私の首筋に舌を這わせるばかりでびくとも動かない。
 このままでは、私自身が“少しだけ”では済まなくなってしまう。現時点でも、既にお腹の奥が疼き蜜壺は彼を欲しがる様に愛液を溢れさせている。

「セドリック、待って……」

 思考を埋め尽くすのは、昨晩の情交。最愛の人と交わる事が、これ程までに気持ちがいいとは思わなかった。
 出来ればもう一度、彼と交わり合いたい。愛の言葉を囁きながら、もう一度奥を刺激して欲しい。
 気が付けばそんな欲が脳内を支配していて、最早抵抗出来なくなってしまっていた。

「――あ、っ……ん……」

 蜜壺の中に差し込まれた指が、1本から2本へと増やされる。
 壁を擦る指先が快楽を生む場所周辺を焦らす様に擦り、快楽を求め思わず腰を揺らした。閉じていた足も、彼の指を受け入れる様にはしたなくゆるりと開き、徐々に思考が情交へとシフトし始める。
 すると、そんな私を見ていた彼が小さく笑みを漏らした。

「――少しだけ、じゃなかったのか?」

 乱れる呼吸に、張り裂けそうな程高鳴る鼓動。もう、“少しだけ”では満足出来ない。

「本当に、意地悪な人……」

「満更でも無い癖に」

 両腕を伸ばし、彼の首に腕を回す。そして彼を抱き寄せ、耳元に口を寄せた。

「――“少しだけ”じゃ嫌。もっと、貴方が欲しい」

 自身の中に残る僅かな羞恥心に、顔に熱が溜まる。しかし、今もまだ蜜壺の中を動く指に限界を迎えていた。
 
「――早く、来て」

 誘い言葉と共に、彼を迎え入れる様に足を開いて見せる。そんな私に、揶揄う様な彼の表情も崩れ、余裕の無い表情へと変わっていった。

「誘惑が上手くなったな」

 愛液を零す蜜壺に、聳り立つ熱い彼の物が当てがわれる。そして入口を先端で弄った後、ゆっくりと腰を滑らせそれを私の中に差し込んだ。

「誘惑なんて、したことないわ……」

「そう思ってんのは、お前だけだよ」

 指先では届かなかった深い場所を、容赦無く強く突かれる。その度に、喉奥からは耳を塞ぎたくなる程の甘い声が押し出され、あまりの快楽に涙が滲んだ。


 ――それから、休む事無く2回も行為に及んだ。
 その所為でいつの間にか仕事の時間が迫り、息を付く間も無い程忙しい時間を過ごしたのは言うまでもない。
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