133 / 215
XXXVII 奇妙な夢-V
しおりを挟む「ところで、セディとは上手くやれてる?あいつデリカシーとか微塵も無いし、相手への配慮も常に欠けてるから、私生活だけじゃなく夜の方とかも大変じゃない?」
無理矢理話題を変えられた事を感じ取りながらも、彼女の問い掛けについセドリックとの情交を思い出してしまい、一気に顔に熱が上る。
女性同士ならではの話題ではあるが、相手がマーシャとなると少し気恥ずかしい。
「――その、セドリックにはとても……大切にしてもらっていると思うし、沢山、愛して貰っているから……」
曖昧に言葉を濁すが、マーシャはにやにやとした顔で食い下がる。
「愛して貰ってる、なんて生々しいなぁ。あいつが女の子相手に優しくしてる姿とか全然想像出来ないけど、でも乱暴な事とかはされてない様で安心したよ」
「乱暴な事なんて……!そんな事、一度もされた事無いわ、大丈夫よ」
「そう?たまにあるじゃない、家庭内の性暴力とか。特殊性癖とか、アブノーマルな事求められたりとか……」
「セドリックはそんな人じゃないわ」
彼との情交。それはとても甘く、熱く、何度交わしても飽きる事等決してない行為。
彼の性格を考えるとどうしても淡泊な情交を想像してしまいがちだが、彼は毎回痛みを感じさせない様長い時間を掛け、気が触れそうな程の快楽をくれる。時々、私ばかり善くして貰っているのではないかと感じる事もあるが、その都度彼は、私が快楽を得ている姿を見るだけで満たされる、なんて言葉をくれた。
「――なんか、厭らしい事考えてるでしょ」
マーシャがこれ以上ない程下劣な笑みを浮かべ、私の顔を覗き込む。
「な、何も、何も考えていないわ……!貴女が、変な事を言うから……」
「変な事言うから、何?」
「もう!マーシャってはいつもそうやって揶揄って!」
ポン、と彼女の肩を叩くと、マーシャは楽しそうに声を上げて笑った。
――それから、約数十分。
普段とは少し違った会話を楽しみ、丁度時計の針が12時を指した頃。マーシャが徐に椅子から腰を上げた。
「私、そろそろ行かなきゃ」
彼女が、何処か猫を連想させる様に腰を反らしながら大きく伸びをし、短く告げる。
「あら、もう行っちゃうの?」
「うん、エルちゃんも大分顔色良くなったし、私も色々調べ物あるし」
「……そう」
体調は、朝に比べたら大分良くなった。夕飯の支度等の家事も、今の調子であれば熟せるだろう。だが、なんだか彼女が帰ってしまう事が少しだけ寂しく感じた。
「なぁに、寂しい?」
そんな私の心を見透かした様に、マーシャがふふ、と笑う。
「1人になるのが、少しだけね」
そう笑って返すと、彼女が切なげな表情を見せた。
「そんな事言われたら、行きづらくなるなぁ」
「私は大丈夫よ。わざわざ来てくれてありがとう」
ベッドから足を下し、ゆっくりと腰を上げる。
危惧していた眩暈も、倦怠感も無い。想像していた以上に、回復した様だ。後で少し気分転換にでも、街へ散歩に出ても良いかもしれない。
名残惜しそうに去っていくマーシャを見送り、ぱたりと玄関扉を閉める。そしてしんと静まり返った部屋に、小さな溜息を吐いた。
玄関扉に凭れ掛かり、そっと自身の下腹部を摩る。
今日の体調不良は、少々気味の悪い物だった。あれ程の酷い不調だったというのに、少し眠っただけで回復してしまうだなんて妙だ。
それに、夢の中のメアリーの発言。
“貴方は要らぬ物を身籠ってしまった”
本来であれば、ただの夢だと直ぐに切り替える事が出来る。だが、何故だかその言葉だけがやけに心に残って離れない。
それはメアリーが発した言葉だからか、それとも“思い当たる節”があるからなのか。
今の私には、それを深く考える事が出来なかった。
0
あなたにおすすめの小説
ソウシソウアイ?
野草こたつ/ロクヨミノ
恋愛
政略結婚をすることになったオデット。
その相手は初恋の人であり、同時にオデットの姉アンネリースに想いを寄せる騎士団の上司、ランヴァルド・アーノルト伯爵。
拒否に拒否を重ねたが強制的に結婚が決まり、
諦めにも似た気持ちで嫁いだオデットだが……。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
結婚する事に決めたから
KONAN
恋愛
私は既婚者です。
新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。
まずは、離婚してから行動を起こします。
主な登場人物
東條なお
似ている芸能人
○原隼人さん
32歳既婚。
中学、高校はテニス部
電気工事の資格と実務経験あり。
車、バイク、船の免許を持っている。
現在、新聞販売店所長代理。
趣味はイカ釣り。
竹田みさき
似ている芸能人
○野芽衣さん
32歳未婚、シングルマザー
医療事務
息子1人
親分(大島)
似ている芸能人
○田新太さん
70代
施設の送迎運転手
板金屋(大倉)
似ている芸能人
○藤大樹さん
23歳
介護助手
理学療法士になる為、勉強中
よっしー課長(吉本)
似ている芸能人
○倉涼子さん
施設医療事務課長
登山が趣味
o谷事務長
○重豊さん
施設医療事務事務長
腰痛持ち
池さん
似ている芸能人
○田あき子さん
居宅部門管理者
看護師
下山さん(ともさん)
似ている芸能人
○地真央さん
医療事務
息子と娘はテニス選手
t助
似ている芸能人
○ツオくん(アニメ)
施設医療事務事務長
o谷事務長異動後の事務長
雄一郎 ゆういちろう
似ている芸能人
○鹿央士さん
弟の同級生
中学テニス部
高校陸上部
大学帰宅部
髪の赤い看護師(川木えみ)
似ている芸能人
○田來未さん
准看護師
ヤンキー
怖い
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる