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L 過去-V
しおりを挟む「どうしてそう思うの?」
僅かに声を上擦らせながらも、彼女に問う。
するとルイは僅かに間を置いて、黙って首を横に振った。
「なんでもない」
子供は、良くも悪くも周りを見ている。子供だからといって、侮る事は出来ない。
「ママと一緒にお2階へ行きましょう。眠る迄、“お話”でもしてあげるわ」
早々に会話を切り上げ、ルイを抱き上げた。4歳にもなると、軽々抱き上げる事が出来なくなってくる。子供の成長を感じながらも、振り返ってセドリックに微笑みかけた。
「2階に、行ってくるわね」
何故、子守歌を歌う、では無く、敢えてお話をすると言ったのかは自分でも分らない。
しかし、胸の中に残った痛みは暫く消えそうになかった。
彼は私の言葉に、何か言いたげな顔をしながらも頷き顔を逸らした。
不用意に、過去の話をすべきではない。私も彼も、きっと人には言い難い過去を持っている。
彼の事なら何でも知りたいと思う反面、それに触れてはいけないのだと本能的に感じ取った。
「まま」
階段を上ってる途中、不意にルイが私の頬に触れた。
「ぱぱとけんか、したの?」
彼女の無表情は変わらない。
セドリック以上に感情が読み取れないのでは無いか等と思ってしまう程だ。
ルイはセドリックと違って、可愛い女の子である。女の子は、やはり愛想が良い方が世渡りがし易い。彼女の性格や個性を潰してしまう事はしたくないが、将来の事を考えると少々不安だった。
「喧嘩なんてしていないわ。どうして?」
彼女の髪を撫でながら問うと、ルイがうぅんと小さく唸った。
「ぱぱが、こわいかお、してたから」
「怖い顔……?」
最後にセドリックを見た時、確かに普段と少し様子が違う様にも見えたが、彼女が言う様な怖い顔はしていなかったように思える。しかし彼女は先程、私にも何処か痛いのかと尋ねた。
どうやら、まだ小さな彼女の瞳は私達大人の目に見える物以上の物を映してしまうらしい。
「そんな事無いわ。大丈夫よ」
そう言って、安心させる様に微笑む。
彼と、あの話の続きをする事は今後無いだろう。私も彼も、心を痛めるだけだ。
それに、娘に余計な心配を与えてはいけない。
それは親としてでもあり、大人としての義務だとも思えた。
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