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LV 悪夢の様な話-IV
縋りつく私の手を握る彼の手は、氷の様に冷たい。そして僅かに、震えている様な気がした。
どうして? そう問いたくとも、彼の顔を見つめる事で精一杯で、喉奥から声を出す事が出来ない。
「――相手は貴族だ。それに、息子と養女を失って、気が触れている奴でもある。2人を無理に取り返そうとすればする程、きっと2人を危険に晒す事になる」
「そんな……じゃあ、2人はもう戻ってこないの……?」
「――そうは……言ってない……」
彼がきつく、唇を噛み締める。私の問いに否定を示しているが、彼のその顔を見ていれば2人を取り戻す事が難しいと言う事は直ぐに分かった。
ぐるぐると、自身の中を渦巻く感情。セドリックがこの家に帰ってきてから、ずっと私の中を回っていた物だ。
それが、今もずっと回って消えない。
「――最低」
思わず、漏らした言葉。それを口にした事が引き金になったのか、ボロボロと止めど無く涙が溢れ頬を伝い落ちていく。
最低、最低。最低だ。
こんなの、普通じゃない。絶対におかしい。親として、1人の人間として、間違っている。
――娘2人を失っても尚、セドリックが此処に居てくれる事に安堵してしまっているなんて。
「……ごめん、ごめんなさい、…ごめん、なさい」
彼の腕に縋り、嗚咽を漏らしながら繰り返す。
「――あ、貴方のお仕事が、良くない仕事だって分かってる。親として、妻として、貴方を責める事が普通なのかもしれない。でも、私は……貴方を責める事が出来ない」
「――エル……」
彼が掠れた声で、私の名を呼ぶ。だがその声を遮る様に、更に言葉を続けた。
「大切な娘が居なくなったというのに……私、私まだ、貴方と居られる事を……嬉しく思うの……。自分でも、親失格だって、最低だって、分かってる……、でも……」
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狂った世界から引き上げてくれたのは、私に自由を与えてくれたのは、私に知らぬ感情を、愛を与えてくれたのは、他でも無いセドリックだ。
彼は私にとって唯一の光であり、希望である。
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でもどうか。
これから先の未来がどれだけの地獄であろうと、私から彼を奪わないで欲しい。
もしいつかこの関係に終わりが来るのだとしても、1分、1秒でもその終わりを遠ざけたい。
それが、最低な自分のただ1つの願いだった。
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