【完結】勇者が誕生したので、魔王を決めないといません。

鳥居之イチ

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勇者が誕生したので、魔王を決めないといません。

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 勇者が誕生した。

 その話題は瞬く間に全世界に広まった。
 もちろん魔王城にも。



 おい、聞いたか。勇者が誕生したらしいぞ。
 らしいな、てことはあれだろ。あれが行われるんだろ。
 だよな、お前は出るのか?
 いや、出るわけねーだろ。結局は勇者に殺されるんだぞ?
 だよな。殺されるってわかってて出るやついんのかよ。



 魔王城は勇者誕生を機に大パニックだ。
 それもそのはず、そもそも魔王なんていないのだから。








 -魔王城にて-
 「今ここに魔王選抜大会の開催を宣言する。」

 うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。
 うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。
 うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。
 うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。
 うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。
 うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。
 うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・


 私は魔王城の経理を担当しているケイリーンと申します。
 皆も知っての通り、勇者が誕生した。つまり勇者を迎え撃つ準備をしなければならない。
 しかーーし!ここ千年以上魔王城とその付近は平和そのもの。
 魔王がいなくともなんとかなっていた。
 簡潔に言うと魔王が不在なのである!

 さあどうする。魔王を決めるしか無いだろ!
 貴様ら魔王になる気はないかー!


 「・・・・・」


 魔王になれば、魔王城とその付近は魔王の所有物!
 魔王になる気はないかーー!


 「・・・・・」


 誰も魔王になりたくないのだ。
 だって、勇者が攻めてきたら死ぬしかないから。
 でもそんな中、一匹の魔獣が呟いた。


 「ケイリーン様が魔王でいいんじゃないですか?」


 小さなつぶやきのはずが、魔王城に集められた全魔獣・魔人・魔物に聞こえた。


 「そうだ!ケイリーン様が魔王でいいじゃねーか!」
 「そうだそうだ!今も仕切っている!これは魔王だ!」
 「皆に認められてこそ魔王。すでに魔王は決まっていたんだ!」

 「「「「ま・お・う! ま・お・う! ま・お・う! ま・お・う!」」」」


 「まてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!私は断じて魔王などではない!魔王にはなりたくない!魔王は嫌だ!」
 ケイリーンが泣きじゃくって魔王を嫌がっている。



 ケイリーンが泣き止み、話し始めるまで15分もかかった。




 ケ「えー、ゴホン。いますぐ魔王を決めるわけじゃない。皆が思う魔王とはどのようなものかを本日は教えてほしい。」

 「魔王って言ったら、ヒト型じゃねーか?」

 「たしかに、だったら俺達魔獣は魔王にはなれねーな。」

 「たしかに仕方ない。仕方ない。」

 「じゃあ魔人が魔王でいいんじゃねーか?」

 「ならケイリーン様でいいだろ。魔人だし。」

 ケ「嫌だ!死にたくない!ほ、他の特徴はないのか?」

 「宙に浮くイメージがあるな。」

 「魔法が使えるってことか。魔人で魔法が使える・・・・・」

 「ケイリーン様じゃねーか?」

 ケ「ほんとに嫌だ!他の特徴!!」

 「全体を仕切ってる。」

 「横暴で凶悪。」

 「あ、確かに、怖いイメージあるよな。」

 「見た目なら魔獣は怖いぞ!」

 ケ「おおお!なら魔人だけが魔王になるわけではないな!ささ、次の意見を。」

 「死ぬ直前で勇者に呪いかけてそう。」

 「勇者の行く手を先回りしてトラップしかけてそう。」

 「部下を道具としか思ってなさそう。」

 「直属の部下に最終的に裏切られそう。」

 ケ「なんかだんだん悪口になってない?」

 「複数の形態変化があって、最後にはドラゴンになって焼き払ってくれるわ!とか言いそう。」

 「それめっちゃ言いそう。」

 「ならドラゴンに形態変化ができるやつが魔王ってことか?」

 「そんなやついるのか?」

 「ケイリーン様じゃね?」

 ケ「なんでだ!ドラゴンは無理だ!できてワイバーンくらいだ。」

 「同じ飛竜種なんだから、ドラゴンもワイバーンもわかんないだろ。」

 「ならやっぱりケイリーン様が魔王では?」

 「さすが魔王。」

 「あぁ、さすがは魔王。」

 ケ「魔王じゃないって!!!!ほんとに無理だって!他にはないの?」

 「四天王と作戦会議してそう。」

 「「「「「ししししししししし四天王????」」」」」

 ケ「そうだ!四天王が必要だな!では魔王を含めて5名を選抜する必要がある!」

 「魔王はケイリーン様だから、あとは4名か。」

 「四天王って、どんな感じなんだ?」

 「俺は四天王の中では最弱。とか言ってそう。」

 「言ってそう。つまり四天王に強さは関係ない?」

 「おいバカ!強い方が良いに決まってんだろ。俺等みたいな弱い魔物も選抜対象に入れるな!」

 ケ「おい、魔王にはならないって!話進めないで!」

 「てか、そろそろ農作業に戻ってもいいですか?」

 「俺もこの後配達あるんで」



 その言葉を皮切りに続々と魔王城から出ていく。


 ケ「か、かえるなーーーー!まだ話し合いは終わってなーーーい!」

 「魔王様が終わってないってさ」

 「魔王様が言うなら仕方ないか」

 「そうだね。魔王様が言うなら」

 魔王ケイリーン「だから魔王じゃなーーーーーーーーーーーーーい!」







 魔王城の連中は知らないのだ。
 勇者は本当に誕生しただけ。まだ赤ちゃんなのを。
 魔王城を攻めに来るのはあと20年後なのを・・・・
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