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暁ばかり憂きものは
大華 楓 五 ❁✿✾ ✾✿❁︎
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俺からの返事に、楓は一瞬、動きを止めた。けれどすぐに俺を抱き直し、口付けを深くして舌を絡ませながら、ゆっくりと俺の体を畳の上に寝かせた。
そのあいだ唇は一度も離れない。強く顎を寄せられて、入れられた舌が喉の奥にまで届いてるんじゃないかと錯覚しそう。それくらい、楓は俺を強く求めている。
いつも楓がしてくれる、アイスクリームを溶かすような甘いキスが好きだった。暖かくて、春が夏に変わる直前の風みたいな、柔らかさが心地良いキス。
でも今は熱い。
じりじりと粘膜を焼くように舌が絡んで、溢れ出る唾液までもが熱を伝える。それでも足りないと、楓は強く唇を押し付け、俺もまた、応えようとその背中に手を回した。
楓の手は俺の後頭部を守りながら、もう片方は着物の衽を捲り、太ももに触れていく。そのまま下帯の隙間から手が侵入し、俺のかたちを愛おしむように、そっと撫でた。
その微かな刺激にさえ、俺はすぐに反応する。
「ふ……んっっ」
「百合、声は我慢して。聞かれたら大変だから……でも、それより、百合が感じる声を誰にも聞かせたくない」
楓が小さく耳元で囁く声も、俺の血液を沸騰させる。
楓は再び俺の唇を塞ぎ、口の中をなぞるように舌を滑らせながら、揃えた二本の指で俺の昂ぶりを撫で下ろした。
「ゃ……んッ……」
声を出すな、なんて無理だよ。こんなに情たっぷりに撫でられたら、勝手に漏れてきちゃう。
俺は首を振って「無理だ」と示した。
「ごめん。我慢できない。百合に触れたいんだ」
耳に唇を当てられ、直接声が入ってくる。そのまま口に含まれ、耳介に沿って柔く甘噛みされれば、身体がピクリと跳ねた。
「可愛い、百合」
楓の指は絶え間なく動き、裏筋を執拗にこする。かと思えばくびれをねじり、輪にした指で締めつけた。
「…………っ!」
うそ……もう出ちゃった……こんな、すぐ。泣きたい。恥ずかしい。
声を我慢した息苦しさと、達した脱力感で、弾む息を整えることもままならず、目の端には生理的な涙が滲んだ。
けれど、楓の手は休むことなく動く。
「……や、ダメだって。今イッたとこなのに」
「し、静かに。……俺を拒否しないで」
切ない顔で体をずらし、太ももの内側にちゅ……と口付ける。
ずるい。そんな顔してそんなこと言うなんて。俺、なにも言えなくなるよ。
楓は切ない顔のまま微笑むと、もう一度太ももにキスをして、左手で膝を割り、顔をお腹の下に埋めた。
「あっ……」
根元を強く握られたまま、楓の口の中に含まれる。俺が放った白濁を拭かずに濡れていた右手は菊座に回った。
一時間と少し前まで客を受け入れていた菊座は、容易く楓の指を受け入れる。それどころか……
「あぁ……絡んでくる。百合の中、凄く熟してるよ。熱い……」
「言う……なぁ……」
こっちは必死に声を抑えてるんだぞ……!
涙目で睨むと、今度は悪戯っぽく笑う楓。そんな子供っぽい顔もたまらなく魅力的で可愛くて、お腹の奥がきゅんきゅんと締めつけられてしまう。
だけど、そのあとは可愛くなかった。楓は唇だけで「ごめん」と言うと、再び硬くなった俺の昂ぶりを音を立てて飲み込んだ。同時に、菊座に挿れた二本の指を激しく動かす。
拡げ、撫で、こすり、掻き混ぜる。出来うる全ての動きをされているみたいで、頭がおかしくなりそう。
「ん、ん……んん……」
声、声が出ちゃう……俺は必死で着物の袂を噛んで耐えた。
ああ、もう、だめ……また、イっちゃう……!
自然に脚が大きく開き、つま先がピン、と伸びた。やがて、反り上がっていた腰の力が抜けて、アメーバみたいに畳の上でぐったりとした。
俺ばっかりイかされて……楓、楓のはどうなってる? 触ってやりたいけど身体が重くって……。
なんとか顔だけは動いて、楓に視線をやる。外出用の分厚い打掛が邪魔で、楓のものがどうなっているかは見えない。でも、肩で大きく息をして、顔を紅潮させている様子からは想像が容易かった。
楓はふぅ、と息を落とすと、着物を全て脱ぎ捨てた。俺なら脱ぐのに五分はかかる着物がすぐに脱げて、さすが大華、なんて馬鹿みたいに思った。
でもそんな余裕はあっと言う間に奪われる。
柄の入った洒落た下帯も取り去った楓の昂ぶりは、前に風呂場で見た時よりも生命力に溢れ、猛々しく天を指している。鈴口からは既に淫液が漏れ出て、赤く腫れた茎を濡らしていた。
余りに強い「雄」の姿に視線が縫い留められ、口の中に溢れた生唾をごくりと呑み込む。
楓は凝視する俺には気づかず、脱いだ着物の懐あたりに散らばっていた紙包みを一つ取り、口に含んで右手に垂らした。躊躇なく、それを自身と俺の菊座に塗りつける。
瞬時に理解した。
楓は挿入つもりだ───
俺は首を横に振った。声にならない声で駄目だ、と伝えた。
嫌なんじゃない。受け入れてやりたい気持ちはある。
でも。
「陰間同士の性交はご法度だよ!」
女将の言葉が頭をよぎる。
「だめだ、楓、これ以上は。俺、口でするから」
上体を起こし、小さな声で訴える。冷静になって欲しくて、腕を何度もさすった。
けれど楓は、獲物を何日も逃した飢餓状態の獣のような獰猛な目をしていた。
ぞくり、と背中に寒気が走る。
聞こえていない。
楓は俺を押し倒し、既に二度、精を吐出し終えた俺の柔い部分に下半身を重ね、自身の熱を移すかのように腰を揺らしてすり付けた。
早く入りたい、と言う欲が透けて伝わる。
「駄目だ、楓、最後までは」
楓はもうすぐ本格的に芸の世界に入るんだ。こんなところで破門になんかさせたくない。今ならまだ、慰め合いで言いわけがつく。
あるだけの力をふり絞り、楓の肩を押す。けれど楓の力は俺よりずっと強く、俺に覆い被さり唇を奪い、首筋を噛んだ。唇は喉仏を通り、左手は固く締められた帯を解こうとする。
なんとかしないと。破門なんか絶対にさせない…………!
『……なにより、それができたとして、私の欲でお前のこの先の人生を摘み取りたくないのだ。わかってくれ、悠理』
突如として保科の言葉が浮かんだ。
そうだ。俺も同じだ。俺の為に楓の未来を駄目にして欲しくない。
──保科様の気持ちが今わかるなんて。
あの時俺を受け入れてはくれたけど、ずっと後悔していたのかもしれない。俺が保科様を思って、それに縛られてしまうことを。
ごめんなさい。保科様。そして、どうか俺に力を───────!
そのあいだ唇は一度も離れない。強く顎を寄せられて、入れられた舌が喉の奥にまで届いてるんじゃないかと錯覚しそう。それくらい、楓は俺を強く求めている。
いつも楓がしてくれる、アイスクリームを溶かすような甘いキスが好きだった。暖かくて、春が夏に変わる直前の風みたいな、柔らかさが心地良いキス。
でも今は熱い。
じりじりと粘膜を焼くように舌が絡んで、溢れ出る唾液までもが熱を伝える。それでも足りないと、楓は強く唇を押し付け、俺もまた、応えようとその背中に手を回した。
楓の手は俺の後頭部を守りながら、もう片方は着物の衽を捲り、太ももに触れていく。そのまま下帯の隙間から手が侵入し、俺のかたちを愛おしむように、そっと撫でた。
その微かな刺激にさえ、俺はすぐに反応する。
「ふ……んっっ」
「百合、声は我慢して。聞かれたら大変だから……でも、それより、百合が感じる声を誰にも聞かせたくない」
楓が小さく耳元で囁く声も、俺の血液を沸騰させる。
楓は再び俺の唇を塞ぎ、口の中をなぞるように舌を滑らせながら、揃えた二本の指で俺の昂ぶりを撫で下ろした。
「ゃ……んッ……」
声を出すな、なんて無理だよ。こんなに情たっぷりに撫でられたら、勝手に漏れてきちゃう。
俺は首を振って「無理だ」と示した。
「ごめん。我慢できない。百合に触れたいんだ」
耳に唇を当てられ、直接声が入ってくる。そのまま口に含まれ、耳介に沿って柔く甘噛みされれば、身体がピクリと跳ねた。
「可愛い、百合」
楓の指は絶え間なく動き、裏筋を執拗にこする。かと思えばくびれをねじり、輪にした指で締めつけた。
「…………っ!」
うそ……もう出ちゃった……こんな、すぐ。泣きたい。恥ずかしい。
声を我慢した息苦しさと、達した脱力感で、弾む息を整えることもままならず、目の端には生理的な涙が滲んだ。
けれど、楓の手は休むことなく動く。
「……や、ダメだって。今イッたとこなのに」
「し、静かに。……俺を拒否しないで」
切ない顔で体をずらし、太ももの内側にちゅ……と口付ける。
ずるい。そんな顔してそんなこと言うなんて。俺、なにも言えなくなるよ。
楓は切ない顔のまま微笑むと、もう一度太ももにキスをして、左手で膝を割り、顔をお腹の下に埋めた。
「あっ……」
根元を強く握られたまま、楓の口の中に含まれる。俺が放った白濁を拭かずに濡れていた右手は菊座に回った。
一時間と少し前まで客を受け入れていた菊座は、容易く楓の指を受け入れる。それどころか……
「あぁ……絡んでくる。百合の中、凄く熟してるよ。熱い……」
「言う……なぁ……」
こっちは必死に声を抑えてるんだぞ……!
涙目で睨むと、今度は悪戯っぽく笑う楓。そんな子供っぽい顔もたまらなく魅力的で可愛くて、お腹の奥がきゅんきゅんと締めつけられてしまう。
だけど、そのあとは可愛くなかった。楓は唇だけで「ごめん」と言うと、再び硬くなった俺の昂ぶりを音を立てて飲み込んだ。同時に、菊座に挿れた二本の指を激しく動かす。
拡げ、撫で、こすり、掻き混ぜる。出来うる全ての動きをされているみたいで、頭がおかしくなりそう。
「ん、ん……んん……」
声、声が出ちゃう……俺は必死で着物の袂を噛んで耐えた。
ああ、もう、だめ……また、イっちゃう……!
自然に脚が大きく開き、つま先がピン、と伸びた。やがて、反り上がっていた腰の力が抜けて、アメーバみたいに畳の上でぐったりとした。
俺ばっかりイかされて……楓、楓のはどうなってる? 触ってやりたいけど身体が重くって……。
なんとか顔だけは動いて、楓に視線をやる。外出用の分厚い打掛が邪魔で、楓のものがどうなっているかは見えない。でも、肩で大きく息をして、顔を紅潮させている様子からは想像が容易かった。
楓はふぅ、と息を落とすと、着物を全て脱ぎ捨てた。俺なら脱ぐのに五分はかかる着物がすぐに脱げて、さすが大華、なんて馬鹿みたいに思った。
でもそんな余裕はあっと言う間に奪われる。
柄の入った洒落た下帯も取り去った楓の昂ぶりは、前に風呂場で見た時よりも生命力に溢れ、猛々しく天を指している。鈴口からは既に淫液が漏れ出て、赤く腫れた茎を濡らしていた。
余りに強い「雄」の姿に視線が縫い留められ、口の中に溢れた生唾をごくりと呑み込む。
楓は凝視する俺には気づかず、脱いだ着物の懐あたりに散らばっていた紙包みを一つ取り、口に含んで右手に垂らした。躊躇なく、それを自身と俺の菊座に塗りつける。
瞬時に理解した。
楓は挿入つもりだ───
俺は首を横に振った。声にならない声で駄目だ、と伝えた。
嫌なんじゃない。受け入れてやりたい気持ちはある。
でも。
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女将の言葉が頭をよぎる。
「だめだ、楓、これ以上は。俺、口でするから」
上体を起こし、小さな声で訴える。冷静になって欲しくて、腕を何度もさすった。
けれど楓は、獲物を何日も逃した飢餓状態の獣のような獰猛な目をしていた。
ぞくり、と背中に寒気が走る。
聞こえていない。
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「駄目だ、楓、最後までは」
楓はもうすぐ本格的に芸の世界に入るんだ。こんなところで破門になんかさせたくない。今ならまだ、慰め合いで言いわけがつく。
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なんとかしないと。破門なんか絶対にさせない…………!
『……なにより、それができたとして、私の欲でお前のこの先の人生を摘み取りたくないのだ。わかってくれ、悠理』
突如として保科の言葉が浮かんだ。
そうだ。俺も同じだ。俺の為に楓の未来を駄目にして欲しくない。
──保科様の気持ちが今わかるなんて。
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