枕営業から逃げたら江戸にいました。陰間茶屋でナンバー1目指します。

カミヤルイ

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大華繚乱

陰間と客 参 ❁✿✾ ✾✿❁︎

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  激しい脱力感が体躯をだらんとさせる。瞼も開かないし、息を整えることもままならない。
  俺、なんにも奉仕してないのに。ただ宗光に導かれただけなのに、大蛇姫を通しで五幕やるよりきついかもしれない。

  「百合ちゃん、いいか?」
  しばらくのあいだ、労るように髪を撫でていてくれた宗光は、鎖骨にキスを一つ落としたあと、背に腕を回して俺の体を起こした。 

  抱えられ、座っている宗光を跨ぐ姿勢になる。顔が近づくと、宗光の額にうっすらと汗が滲んでいるのが見えた。

  宗光……余裕がないのに待っててくれたんだ。

  胸の真ん中がきゅ、と締まる。


  ──陰間は客より感じてはいけないし先に達してはいけない──褥仕事でのルール。そして、褥では客が欲を押しとどめることなどないのがほとんどだ。自身の欲を放ちに高い金を落としているのだから当然だろう。

  けれど宗光は違った。
 
  初めて会った時も、それからしばらく経ってからも、軽薄で失礼な奴だ、ってずっと思っていたのは事実だ。絶対に相容れないと思ったことだってある。
  けれど合う回数が増えるごとに宗光の優しさや気遣いに気づいた。

  俺を初めて抱いた日も、意地悪なことを言いながらも触れる手も唇も優しくて、大切な人にするようにしてくれて……。

  俺の体に金を捧げたお客はたくさんいるけれど、自分よりも俺が感じ、先に達することを望むお客も、それで満足感を感じるお客もいなかった。そして、菊座吸い真心を捧げたお客も。

  ────だから……だから俺を弱くさせるんだ。宗光はお客だとわかっているのに、本当に愛してくれているような錯覚に陥って、身を預けてしまいたくなる。言葉を素直に受け取り、そばにいてくれたら、と願ってしまう。

  「今日は百合ちゃんの重みを感じたい。……できる?」
  宗光が俺の腰骨を支える。

  俺は頷き、宗光が着ている、ほとんどはだけた浴衣に申しわけなさそうに結ばれている帯と、先走りで濡れた下帯をほどき、宗光を覆うもの全てを取り去った。
  俺もまた、すっかり前がはだけた緋襦袢から腕を抜き、そのまま後ろに落とす。衣擦れの音さえ甘美に聞こえるのはどうして?

  近づいた顔でもう一度視線を絡ませ合い、まずば隙間なく肌くっつけた。
  薄衣一枚の隔てもない、暖かで滑らかな皮膚の感触は、官能を呼び起こす。
 
  宗光の両肩に手を起き、片手で支えられたままの腰をゆっくりと沈める。
  宗光のもう片方の手は宗光自身を持ち、俺が迎え入れやすいように準備していた。

  「……ふ……ぅ……」
  小さく息を吐き、腹と菊座の力を緩める。入り口に宗光の肉張った傘が当たると、快感のよちょうに体が震えた。
  さらに腰を落とし、奥へと誘う。半分ほど飲み込んだところでどちらからともなく唇が合わさり、互いの下唇や舌先を啄み合った。
  自身のものを支えていた宗光の手がそこから離れ、俺の臀や背を優しく撫でる。

  「あ……は、ぁ……」
  根本までしっかりと咥え込むと、宗光の茂みが臀の表面をくすぐった。
 もう体全部、すっぽりと宗光の膝のあいだに収まっている。

  「あぁ、気持ちええなあ。百合ちゃんの中、あったかい」
  宗光はふう、と満足気なため息をついてから上体を後ろに少しずらし、俺の双丘に手をかけて、腰をゆっくりと上下に動かし始めた。

  「あ…っン……」
  内壁を擦る熱い猛りに力が抜けそう。

  「百合ちゃん、後ろに手ぇついて」
  「ん……」

  言われるままに体を反らすと、宗光の動きがスピードを増し、片方の手は俺の昂ぶりに回った。
  段差と縮れを親指で念入りに擦られながら、三度目の吐精を促されていく。

  「なぁ、もう前、触らないで? すぐ達しちゃうからヤダ」
  涙が滲んだ目で訴えれば、宗光は困ったように眉を寄せて、でも、声は嬉しそうに言った。
  「俺とずっと繋がってたいんか?」

  ──繋がっていたい。包まれていたい……守られたい。……ずっと? 
 永遠なんてやっぱり知らない。ずっと、なんて今はわからない。
 でも。一緒に探してくれると言ってくれたのが嬉しかった。だから俺。

  こくり、と頷き、宗光の首にしがみついた。

  「嬉しいな。こんな嬉しいことない。百合ちゃん、顔見せて」

  宗光の肩に埋もれていた顔を上げると、手のひらで頬を包まれる。目の前にあるのは、宗光の真剣な面持ち。

  「百合ちゃん、俺に求めろ。俺に願え。一つ残らず全て、必ず叶えてやるから」

  願い? 今のこの褥でのこと? どのことを言ってる……?

  「……あ、ああっ……っ」

  考える間を与えられず、身体を射抜くような強い衝撃と共に、最奥を突き上げられる。
 宗光の腰が周回し、内壁をぐりぐりと刺激すると、俺の背は弓なりに反った。でもその姿勢は、一層俺の感じる部分を刺すことになり、頭の中が真っ白になるほどの快感を得る。

  「むねみつ……や……わかんなくなるっ……」

 「なんも考えんな。俺に全部任せたらええ。……ふっ……っはぁっ……百合……大事にする……けど、今は……っ」

  跨ったまの姿勢で押し倒され、胸に膝がつくほどに宗光の重みがかかった。
  体同士がぶつかる音と、繋がった部分の濡れた音が速いリズムで耳に響く。

  「んッ……あっ……────ッッ!」
  「……っ……は………ッ……!」

  閃光が、見えた気がした。
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