枕営業から逃げたら江戸にいました。陰間茶屋でナンバー1目指します。

カミヤルイ

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ᒪove Stories 〈第二幕〉 ほぼ❁✿✾ ✾✿❁︎

Crash landing on love 1

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 楓真×悠理

 楓真ドラマ

 鏑木悠理

 鏑木悠理デビュー当時

 この世界の果てまでも ドラマ

 この世界の果てまでも 主題歌


 鏑木悠理専属になったマネージャーは今、興奮気味にタブレットを開き、力説していた。
「これら全て今週の検索トレンドです! 社長、第一回の放送直後から検索がかかり、一気に伸びてるんですよ!」

 唾が飛ぶ勢いに、フラワーアップエージェンシーの社長である湯島華子は体を横にずらしながらタブレットを確認した。


 柳田楓真、花房瞬のsakusi-doメンバーがダブル主演、新人の鏑木悠理が助演を務めるNBTの水曜日ゴールデン枠ドラマ「この世界の果てまでも」は初回瞬間最高視聴率が脅威のニ十%を超える快挙を成し遂げた。
 もとより楓真と瞬のダブル主演、しかもボーイズラブがテーマと言うこともあり、年齢層に幅のあるsakusi-doファン勢がかなりの期待をかけていた為もある。

 しかし「なんと言っても悠理ですよ、社長!」マネージャーの興奮は収まらない。

 悠理は初回は後半残り十分まではさして目立った出演はなかった。単に、柳田楓真演じる「タツキ」の幼馴染である高校ニ年生の「リョウタ」として、ほんの少し画面に出たくらいで、そこまでは「タツキ」が、花房瞬が演じる「フミヤ」に対する恋心を自覚するまでが描かれ、液晶画面の前の女性達は「タツキ」の悩ましい美しさと「フミヤ」の天真爛漫な可愛らしさに釘付けだった。

 しかし、くだんの最後十分前────フミヤへの恋心を自覚したタツキが下校するフミヤの背を見送る場面。
 幼馴染のタツキと同じ帰路に着く為に一緒にいたリョウタもまた、タツキの背を見つめている。
 同性のタツキへの思いをずっと秘めてきたのに、タツキに好きな人ができて、その上、相手が同性だなんて……リョウタは胸を掴み、苦しさに呼吸を整えることができず、切なく苦い表情を浮かべてうつむいた。
 次にタツキが体の向きを変えてリョウタに振り向く。その時、リョウタはパッと顔を上げて「友達の顔」に戻って微笑み、恋に戸惑うタツキの顔を覗き見しながら帰宅の道を歩いて行くのだ。

 この時の表情と息遣いがリョウタの心情を、いや、世の中の片思い中の全乙女の皆さんの心情を的確に表し、全視聴者の心までをも鷲掴みにした。
  また、Aが提供したsakusi-doの新曲「不時着の恋」がこの場面に流れ、それが泣ける、と発売前から問い合わせや検索が殺到しているのだ。

「あのラスト十分で鏑木悠理の名は全国に広まりまして。過去のチンピラB役や死体役まで検索されて」
「そっちはなんとか握りつぶしなさいと言ったでしょ? あくまでも真っさらの新人で売り出したかったのにまったく……」

 無能、と言うパワハラワードは飲み込んだ湯島。顎に手を当てて頷く。
(やはり上玉だったわね。今時代が求める中性俳優にぴったりだもの)

 ただ、湯島も悠理の演技力にはそこまで期待していたわけではなかった。ところが蓋を挙げれば中性的な外見以上に演技が素晴らしい。

 それもそのはず、悠理は江戸時代で踏んだり蹴ったりの幸薄経験……もとい、これでもかと言うくらいの不憫受けのレールを歩き……いやいや、幾多の障害と波乱を乗り越え、多くの客と褥を交え、数々の舞台を踏んだ、曲がりなりにも「華屋の大華」である。そんじょそこらの若手俳優とは経歴が違う……彬と楓真以外には証明はできないが。



 そして今日はドラマ五話目のスタジオ収録。
 悠理演じるリョウタの人気が凄まじい為、三回目の撮影から急いでシナリオが変更され、楓真と悠理をメインにした内容になった。

 当然、ダブル主演と名の付いていた瞬ははらわたを煮えくり返していた。
 主役を奪われたばかりでなく、大好きな楓真が悠理を物凄く物凄く可愛がっているのだから当然である。マネージャーや社長にも直訴をしたが、相手にされない。
 悠理は同じ事務所の売り出し俳優だし、このギョーカイ、結局は売れた者勝ちだ。

(くっそー、アイツ、許せない)
 可愛い顔には棘がある。
 瞬は天使ちゃんのような容姿と振る舞いでスタッフからもファンからも可愛がられている。が、その実、腹黒標準搭載型王道アイドルである。
 ここ数日、瞬の頭の中は、どんな手を使って悠理を陥れてやろうかということばかりだ。

(とはいえ、撮影の時はずっとふぅまクンが近くにいるし……なんだよ、ふぅまクンてばアイツにランチをあ~んってやったり、出待ちの時にウトウトしてるアイツに肩枕なんかして。しかも見たことない優しい目であいつを見てるし……! そんなキャラじゃなかったじゃん。ふぅまクンはクールで孤高でないと……とにかくアイツに芸能界の厳しさを教えてやらなきゃ)

 瞬は古典的な意地悪も考えたが、どこかで漏れた時に自分が悪役だと思われたくない。だからなるたけ悠理が悪いように見せかける、そんな策を練っていた。

(……そうだ。色仕掛けだ。ボクの魅力の虜にして、襲わせればイイんじゃん? それを隠しカメラで取っておいて泣きながら暴露すれば……)

 瞬は「ふふふ」と悪戯天使のようにほくそ笑んだ。
 瞬は色仕掛けは得意──過去、男女問わず、力のあるプロデューサーに色目や軽いボディタッチを使って思うままにした事もある。 勿論、襲わせるまでするのは初めてだが、悠理くらいの体格なら本気になってきても蹴り飛ばせるし、いざとなれば叫べば、より大きなスキャンダルになるはずだと考えた。

「新人俳優鏑木悠理、花房瞬に関係を強要する。まさかのリアルBLか」
 頭に週刊誌の見出しが浮かび、瞬の顔はより綻んだ。


 そして……。

「ねぇ、鏑木クン。ちょっと相談があるんだけど」
 これからまだ一時間は、楓真一人のシーンの撮り溜めがある。瞬は悠理を衣裳室へと呼び出した。

「花房さん、相談って」
「うん……ボクね、悩みがあって。ほら、ここの色がピンク過ぎるから女の子みたいで恥ずかしいの……」

 相談と言われて、まるで疑いのない目の悠理を前に、瞬は衣裳の体育着をまくって胸をあらわにする。

 衣裳室の戸棚にはビデオカメラを用意してある。悠理が胸に近づいたら触るように誘って体を引っ張り「やめてぇぇ!」と叫べば、無理に胸を触られている絵面のでき上がり。
 あとはビデオを編集して、後日天使の泣き顔でプロデューサーに「皆には内緒にして下さい」と言いながら相談すれば……
 
「あー。これくらいなら大丈夫じゃないですか? 俺なんかもっとヤバイですよ?」

「……へ?」

 キョトン、とする瞬を前に、悠理も衣裳の体育着を脱いでみせた。 

 ぱさり。体操服が床に落ちて、遊理の肌があらわになる。

「……!」

 瞬の目の前に現れたのは、白磁に薄いピンクのベールを掛けたような艶のある肌。そしてベビーピンクの可愛らしい小さな蕾……全ては彬の愛の結晶だ。

 彬は悠理の為に最高級のバスバブル、ボディソープを用意し、これまた最高級のボディクリームをに撫で塗って、せっせと整肌している。

 悠理の全て……体の隅々までも愛している彬だからこそ、自分が悠理の体を愛し過ぎるがゆえの黒ずみなどもってのほか。乳首はもちろん、鼠径や菊座の色まで管理しているのだから……ある意味怖い。結構危ない。保科忠彬でも真っ青の変態ぶりと言える。
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