枕営業から逃げたら江戸にいました。陰間茶屋でナンバー1目指します。

カミヤルイ

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ᒪove Stories 〈第二幕〉 ほぼ❁✿✾ ✾✿❁︎

Love to give you 1

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  ホールケーキに「21」の数字の蝋燭。悠理はそれに向けてふうっと息を吐いた。

 彬と暮らすようになってから一年と半年。同時にフラワーアップエージェンシーからデビューして一年半。
  中性的な外見を買われ、青春系のドラマや映画に高校生役で連続出演していた悠理だが、心情を表す演技に評価が集まり、最近ではヒューマンドラマやサスペンスものの主要キャストにも名を連ねている。また、柳田楓真とは、悠理の初出演ドラマとなった「この世界の果てまでも」以降、共演を望む声が止まず、バディ物のミステリードラマシリーズでダブル主演を重ねていた。



「ニ一歳おめでとう、悠理」
 彬が目の前で微笑む。今日もイケメンだな、と悠理は毎日思う。

 彬もニ六歳の誕生日が過ぎて、江戸湯島の町でヒーローさながらに悠理を救ったあの頃の忠彬と同じ年齢になっていた。

(彬さんてやっぱり「保科様」なんだよなあ。まじでかっこいい)

 大学院卒業後、父親の会社に入り、貿易関係の仕事に励む傍ら、sakusi-do専属の音楽プロデューサーを続けている彬はますます男の色香が加わり輝いていた。
 青みがかったように見える黒髪や漆黒の瞳。瞼を飾る長い睫毛に真っすぐに伸びる鼻梁。どこをとっても男らしいのに、野性味が溢れるわけではなく、どこか高貴な印象さえ与える。

 だから時々悠理は思う。
(彬さん、ぜったい現代でもモテるよな……俺と初めてえっちした日も手慣れてなたし……いや、それは保科様もだったけど、いったいどこで……彬さんはゴムもローションも持ってたし……誰か特定の彼女がいたってことだよな、やっぱ……)

 悠理と再会するまでは彬には忠彬の記憶はなかったのだから、誰かと交際した経験があるのは当たり前だし、逆に経験がない方がおかしいとはわかっている……わかってはいても、考えると胸の下あたりがちりちりと痛んだ。

(江戸でも、結局は、蘭に仕入れ、したのかな……)

「悠理? 食べないの?」
「あっ! 食べる、食べます」
とうとう三百年前の、致し方ないことにまでもやもやする自分の狭量を払うように、切り分けられたケーキにフォークを刺す。

「……また良からぬことを考えているな?」
「へっ……」
「お前はすぐに気持ちを胸中に溜めてしまう。私には全て吐き出して良いのだよ」
 彬は悪戯っぽく笑みながら「忠彬」を模して悠理を見つめた。落ち着いた静かな声は悠理を過去に連れて行く。  

(保科様……)

「おいで」
 江戸時代あの頃とは違い、椅子に腰掛けてはいるが、同じように手を広げて悠理を迎える。その不思議な吸引力に抗えるわけもなく、悠理はテーブルの反対側へ周り、彬の腰を跨いで膝に座って体を寄せた。

「ふふ。悠理はハグが好きだな」
 彬に口調を戻してギュッと悠理を抱きしめる。手は背中を撫で、首元にあった唇は悠理の喉仏や顎を優しく啄んだ。
 それは官能を促すと言うよりは、慈しみを伝えるような触れ方なのに、悠理はすぐに下腹に疼きを感じてしまう。

「……彬さん、したい」
 甘えた声でおねだりをして、頬を擦り付けた。

「悠理、昨日たっぷりしただろ? それに今日から新しいドラマの撮影があって、夜中には出るんでしょ。体を休めておかないと」
 彬は困ったように目を細めて悠理の髪を梳く。

(そうだ、彬さんだって仕事が忙しくて時間がないのに、俺の誕生日だからって昨日から都合つけて一緒にいてくれてるのに……)

 だが、一度彬の香りと体温を感じてしまうと離れがたくなる。特に今は、見えない相手への嫉妬が悠理の気持ちを昂ぶらせていた。
 ニ一歳になってもどこか幼さの残る天真爛漫な悠理は、普段は幸せに包まれている為か邪気を持つことはないに等しい。でも、それだけに一度黒い気持ちが生まれると、白い紙に黒いインクが滲んで行くように、なかなか元の状態には戻せなかった。

(これは間違いなく嫉妬だ)
 蘭が保科家へ預けられた時。忠彬の妾になったのだと思い込んだ時。あの時に、初めて感じた嫌な気持ち……あれと同じに嫉妬だ。

 悠理は彬の膝から降り、テーブルの下に潜り込む姿勢になって跪き、彬のベルトを外しながらいつも自分の奥深くを満たしてくれる存在に唇を押し付けた。

「悠理」
 駄目だよ、と言うように頬を挟まれるが止めたくなかった。手触りの良いスラックスのジッパーを下げ、下着の上から両手で包む。

 悠理の頬を挟んでいる手の力はそれほど強くはなくて、再びそこに口を運ぶのも難しくはなかった。

 下着を下ろせば、既に半分硬さを帯びて質量を増した彬の愛しいもの。口を開けて舌を伸ばし、肉張った先端に触れる。

「……っ」
 彬が小さく息を吐く。
 彬だって悠理の体を気遣いながらも、愛しい恋人に甘く強請られ、こんなふうにされたら感じずにはいられない。


 悠理は彬の息づかいが色を乗せたものに変わるのを感じ、大きく口を開いて咥えこんだ。
 口の中をたっぷり濡らし、それを彬のものに移していく。喉の奥に付くまで深く飲み込み、じゅる、と音を立てて幾度も出し入れした。

「は……あ……悠理……」
「ん、んっ……」

 彬を悦くさせたくて、彬を誰よりも愛してるのは自分だと誇示したくてやっているのに、いつの間にか悠理も感じていた。
 太腿のあいだも後ろの入り口も、熱くて熱くてひくひくとしてしまう。

「ゆ、りっ、もう離しっ……」
 彬の指が、悠理の頭を髪ごと掴む。

 いつも優しい手がそんなふうになるほど余裕を失くしていると思うと、悠理の心臓は高鳴った。

(もっと、もっと俺を感じて……!)
「んんっ……ぅ」
 咥えこんだ口の中のものが大きく畝り、さほど苦味もない粘りが粘膜に貼り付いた。

  昨夜三度交わった為もあるのだろうが、彬の放つ熱はいつも甘さを感じる。
 普段滅多にさせてもらえないのもあって、悠理はご褒美の木天蓼またたびをもらった猫みたいにうっとりとした顔で嚥下した。

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