枕営業から逃げたら江戸にいました。陰間茶屋でナンバー1目指します。

カミヤルイ

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ᒪove Stories 〈第二幕〉 ほぼ❁✿✾ ✾✿❁︎

The Other Side of Love  2

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「彬さん」
「悠理、仕事お疲れ様」

  彬は悠理の隣にスマートに腰を下ろした。業界人達の中に混じっても引けを取らないどころか、まるで雪中の鶴の様に高貴で美しい男に悠理は見惚れる。もちろん、場にいたスタッフや役者も同じだ。

「Aさん、鏑木クンとお知り合いなんですか?」
  瞬は、先月ようやっと「sakusi-do」のメンバーとして紹介してもらったばかりのAに遠慮がちに聞いた。

「……ええ、保護者みたいな役割を頂いていて……ですから交友関係も僕が責任を持ってまして」
  駄目だとは言わないまでも、悠理との連絡先の交換を牽制しているように思えた瞬はスマートフォンをポケットにしまう。
  そこから間が持たずにどうしよう、と思っていたら、ドラマのプロデューサーの明るい声がした。

「Aさんもいらしたし、柳田君と花房君で『不時着の恋』を歌ってくださいよ!」
  名案とばかりに周囲からはお囃子が上がり、カラオケマイクを渡される。
  楓真と瞬は一瞬躊躇ったものの、悠理が「わぁ、聞きたい!」と目を輝かせたのを見て顔を合わせて頷いた。


『時計の針は進むのに 僕の心はあの日に止まったまま ずっと同じ場所から君を求めてる』

  作中の禁断の愛をテーマに書いた詞なのだろうが、楓真はこれを歌うと、自分の胸の内を彬に見透かされているような気分になる。

『あの日涙に暮れる君を 連れて走り出せば良かったのに なぜ一歩が出なかったんだろう あの日の後悔を今でも僕は』

『君が好きで 君を愛して もう届かない想いを今も叫ぶ 例え届かなくても 思いが不時着しても 僕の愛は そこにあるから』

『届かなくても良いよ 僕はもう知ってる 思い合えなくても 形を変えて愛は残るから』

  楓真と瞬の熱のこもった甘いハーモニーに皆が聞き入って、場内は鎮まりかえっていた。ドラマの映像が頭に浮かび、涙するスタッフまでいる。
  楓真が奥に目をやると、悠理と彬、二人が肩を寄せ合って楓真を見ていた。

(あの二人の間を割くことはきっとできない。また生まれ変わっても……永遠に。だから俺は……)
『君に送るよ向こう岸からの愛』

  二人が歌い終わると拍手と歓声が鳴り響いた。悠理も彬も惜しみなく拍手を送る。

  楓真は呼吸を整え、少しだけ前進した自分の思いを自身で褒めてやった。


 ***


   彬のマンションに帰ると、悠理は玄関で唇を奪われ、体が折れるほどにきつく抱きしめられていた。

  三ヶ月に渡る撮影のあいだ、ベッドシーンだけではなく、上半身裸の撮影も必然的に多かったこと、なによりスケジュールが詰まって睡眠時間が三時間に満たない日もあった悠理の体調を考えて、ただ抱きしめ合って眠るだけの毎日だったのだ。

「んっ……あき……さんっ……お風呂」

「いらないよ。悠理の匂い、いっぱい吸い込みたいから」

「やだ、汚いから。ぁんっ……」

  彬の手はもう悠理のベルトを外している。性急で貪欲な思いが体の重みとして伝わるが、悠理もまた、自身の熱い昂ぶりを隠せないでいる。

「ん、んっ、あき、ら、さん……!」

  長い指で握られしごかれると、悠理はすぐに立っていられなくなって彬にしがみついた。
  けれどそうなるとコートや荷物が邪魔で二人の体が密着しない。

  彬は悠理を一度いかせてから抱えるようにして室内に入れ、ソファーに座らせた。悠理はとろんとした顔をしてソファーに倒れ込み、放っておくと眠ってしまいそうだ。

「仕方ないな」
  彬は小さく呟き、一瞬悠理から離れて浴室を整えた。
  すぐさま戻り、悠理の伏せている瞼にキスを落とした。手はシャツの裾から入り、胸へ滑らせる。

「んっ……」
  敏感な部分を捻られた悠理は目を開き、背筋を反らした。
  その瞬間に反対を口に含まれる。ちゅ、と吸い上げ、舌で圧し、歯が当てられる。

「や、ぁぁんっ……」
  すぐに高い声が出て、一度放ったはずの熱が下腹めがけて移動した。意識せずとも腰は揺れ、彬の太ももに擦り寄る。

  彬はちゅくちゅくと胸を吸ったまま、ずらしておいた悠理のチノパンを脚から抜き去った。さっきのままだから、チノパンのクロッチ部分も、下着も濡れている。

「ああ、ごめん、このままじゃ気持ち悪かったね」
  下着もずらすと、先走りと白濁が絡み合うように幹を濡らしていた。

「ぁ、や、やだ、そんなの舐めないで……っ」
  躊躇なくそこに顔を近づけた彬に、悠理が泣きそうに懇願すると、浴室の準備完了を報せる電子音が鳴った。

『お風呂の準備が出来ました。お風呂の準備が出来ました』

  軽やかな電子の女性声が鬱陶しく感じるのは初めてだ。
「──残念。まあ、夜は長いからね」

  そう言って悠理と自分の衣服を手際よく取り去り、お姫様を運ぶように軽々と悠理を抱き上げて浴室へと連れて行く。



  暖かいシャワーが頭上から降るあいだも、彬は悠理から肌を離さず、愛撫同様に体を洗った。
  高価なボディーソープを惜しみなく体に塗られ、撫でられて、こすられて……悠理は始終体を震わせていなければならなくなる。

「あぁぁ……っ」
  指が菊座に侵入する。三ヶ月のあいだ秘められていた場所は少し窮屈になっていた。
  それでも、愛しい人の指が体内に入ったと思うだけで、体の強ばりとは反対に気持ちは解れ、腹の力は抜け、中へ誘う準備はできていく。

  彬の指が進み、中を探る。周回し、広げ、擦られ、やがて一点に辿り着いた。

「ふっ……っあぁぁ……」
  悠理の後背に彬の胸と腹がさらに密着し、長い指は容赦なく感じる場所を突く。
  悠理は壁に手を付いて保たせていた体をどうにもできなくなり、お辞儀をするように身体を折った。

  直後、菊座に熱い塊が圧しつけられた。ズズッと一気に挿し込まれ、垂れていた悠理の頭がぐっと上がる。うなじから尾てい骨まで、電気のようなビリビリとした刺激が走った。

「あ、あ……」
  揺さぶられてなにも考えられなくる。
  ただ、浴室に響く二人の濡れた音、そして彬の切ない吐息。それだけははっきりと聞こえていた。

(まるで江戸にいるみたいだ)
  都会の喧騒がなかった保科邸ではいつも自然の音を感じていた。
  悠理はその音を聞くのが好きだった。

(これからも、ずっと彬さんとの音を感じていける)

「悠理、悠理」
  彬の切ない声。

(こえもすき、ぜんぶすき)
「ぁっ……彬さんっ、ずっと……一緒……に、いてっ……!」

「ああ、約束する。……ふ……ぅ悠理、愛してるよ」

  彬の昂りが大きく膨らみ、悠理の中をこれ以上ないくらいに満たし、そして……弾けた。



The Other Side of Love end

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