枕営業から逃げたら江戸にいました。陰間茶屋でナンバー1目指します。

カミヤルイ

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ミックス番外編SS集(なんでも許せる方むけ)

牡丹に蝶 3

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 玄関ドアが閉まった途端、どちらからともなく唇を重ねる。前島の大きな手に頭と腰を支えられ、胸と腹がぴたりと合わさっているのに、服の下の肌を探すかのように、さらに体を押し付けてしまう。

 気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。もっと欲しい……!

「今夜はどうしたんですか、七緒さん。俺に色仕掛けをしても仕事は取れませんが?」

「黙れよ。野暮な男だな。こんなのただの性欲処理だよ。お前の体、今日貸せよ。悦くしてやるから」

「……結構です。俺は無理だって言ったでしょ」

 急に前島の声が冷たくなる。さっきまで、熱そうな吐息を漏らしてたくせに……憎たらしい。

「つべこべ言わずに俺に任せろよ」
 
 玄関から動かないまま腰を下ろし、前島のベルトとスラックスのファスナーを開けた。

「……ははっ、なにが無理だよ。勃ってんじゃん」
 
 俺がそれに触れると前島の腰が揺れた。が、口を近づけると肩を押されて離される。

「やめて下さい。あなたの性欲処理の相手にはなりません」

「ふ。ここ、こんなにしてんのに説得力ねぇよ。なぁ、考えんなよ。人間はみんな動物だ。頭空っぽにして快感だけを受け入れればいい」

 前島の手を振り払い、下着をずらす。中から大きく揺れて飛び出したのは、淫靡な蜜を垂らした大きな熱塊。
 
 美味うまそー。久しぶりに、活きのいいの、見たかも。

 口に入れ、内頬に擦り付けて味わう。前島のは真っすぐで大きくて、張った表面が喉の入り口を撫でると、項に快感がせり上がった。

「……っ、七、緒さんっ……」

 ほら、よがってんじゃん。な? 無理とか無いだろ? 誰だって気持ちいいことが好きなんだから。

「くっ……やめ、やめろ……」
 
 はは。眉、歪めて。敬語、崩れて。
 俺の口淫は評判だったからな。いつも涼しい顔をしてるお前もすぐに堕ちる──

「!?」
 射精前と思われた膨らみの瞬間、口から引き抜かれる。
 前島は息を荒くして自分で持ち、手は動かさずにぐっ、と握った。

「なんで……。感じてたんだろ? イけよ!」

「だから無理だと」

 ムカつく。ここまで来て理性が勝つのかよ! 俺を……拒否するのかよ! 

「そんなに、嫌なのかよ……」
 
 腹が立つのに悲しい。今日の俺、おかしい。久しぶりに百合の顔なんか思い出したから、情緒が乱れてんのか──俺は百合を 愛や恋の対象として見たことはない。最終的には親友になったし、良い仲間だったと思ってるだけだ。
 でも、百合が言ったあの言葉が、何度生まれ変わってもいつもついて回る。

〈愛の無い行為はただの乱暴だ〉

 なあ、愛が無いとだめなのか? 幸せにはなれないのか?
 わかんないよ、百合。俺は未だにわからない。

 だから、前島に「無理だ」って言われたら、余計否定されてるみたいに思ってさ。無理じゃないって、愛が無くても出来るんだって思わせいんだよ。


「七緒さん。本当にどうしたんですか……酔ってるだけですか? ……寂しいんですか?」

 前島が屈んで俺の顔を見る。
 哀れみを含んだような瞳に、気持ちが震えた。


「寂しい……」

「俺に慰められたいですか?」

 なんで、そんなこと。答えたら慰めてくれんの?

「……慰めて……お前に慰められたい」
 
 なに言ってんの、俺。
 これ、褥仕事でも接待でもないんだから、相手が喜ぶようなこと言わなくていいのに。
 でも、言いたいんだ。俺が、言いたい。

 前島の顔を見つめる。真っすぐ見つめ返してくれて、気持ちがまた震えた。

「風呂、どこですか」

「えっ?」

「シャワーしましょう。とりあえず、体、洗ってあげますから」

 え? え? 
 意味はわからないけど、俺は言われるがままにバスルームに前島を案内し、されるがままに服を脱がされ、前島も服を脱いだ。

 水泳をやっていたと聞いたことがある前島の体は引き締まっていて男らしかった。
 思わず生唾が出る。

「ほら、来て」

 腕を取られて浴室内に入った。自分の家なのに、違うみたいな変な気分だ。
 すぐにいい温度のシャワーをかけられ、背を撫でられれば、優しい指使いにふぅとため息が出た。

「たくさん痕がついてる」

「……見るなよ」
 
 専務に好きなように吸われた痕が、いつもなら勲章に感じるのに、今は恥ずかしい。

「見ないと洗えないから。ほら、こっちは?」

「あっ……」

 太もものあいだに手が滑り、左手で持たれる。ここも自分の意志でコントロールできるはずなのに、今日は言うことを聞かなくて 、欲を孕んだ形に変容してしまう。

「きれいにしてあげるから。……こっちも……あいつらの匂いが残ってるだろ」

 ボディーソープで滑らかになった手で、前島が全身を洗ってくれる。料亭で噛まれた胸の尖りも、専務に貪られた陰茎も、執拗に突かれまくった後孔も。

「ぁっ……やっ……」
 二人を受け入れたあとの柔らかいままの後孔を広げられ、こすられる。快感を促す動きじゃないはずなのに、体が悦んだ。

「洗ってるだけなのに、イイんだ?……ほんと、いやらしい体だな」

「ああっ……」
 
 後孔に指を入れられたまま、しこった胸の先をすり潰すみたいにつねられる。でもそれだって、過去何度もされてきたこと。特別なことじゃないのにいつもよりも感じるのは、予定外の相手だから?

「……なぁ、して? それ、早く入れてよ」

 肩に降り注ぐシャワーの温もりと、臀たぶに当たる前島の昂ぶりの熱さに体の芯まで熱くなる。ごちゃごちゃ思考が巡る前に、その熱さに蕩けてなにもわからなくなりたい。

「欲しい? ねぇ、七緒さん、俺が欲しい?」

 お前を? 俺が? この俺が?

「……欲しい。前島がいい……っああっ……!」

 言い終わる前に、体が上方向に揺さぶられるほどに強く貫かれた。

「んっ、やぁ……ん、前し……あ、んっ……」

 大きな手とがっしりした腕が俺を羽交い締めにし、体を震わすのも赦されない。動かないと体の中にマグマみたいに溜まる熱を発散できず、俺は嬌声を上げる。

 熱い。体も頭も。前島の息がかかる耳も────

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