枕営業から逃げたら江戸にいました。陰間茶屋でナンバー1目指します。

カミヤルイ

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ᒪove Stories 〈第二幕〉 ほぼ❁✿✾ ✾✿❁︎

Eternal Love 5 (2022.4/25 加筆修正)

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「忠彬さま」

 悠理は確信を持って、小さな声でその名を呼んだ。
 彬は自分の頬に伸びた悠理の細い指に手を重ねて首を傾げる。

「悠理、撮影のこと、考えてる? 仕事熱心とは言え、ベッドで俺とにいるのに他の男の名前を呼ぶのは妬けるな」

「……他の人じゃないよ。彬さんだった人のことだよ」

「? なんの話?」

  彬はますますわからない、と言う顔をした。
  悠理はその顔を引き寄せ、再び深く唇を重ねる。

「んーん。もういいの。ねぇ、それよりこっち……」

 ちろりと舌を差し入れ、彬の舌に絡める。甘い蜜をもっと欲しいと甘えておねだりをした。

  彬が応え、柔らかい唇が潰れるほどに重なり合う。滑らかな舌、行き交う二人の熱。唇の端から零れてしまうのも勿体なくて、啜りながら掬いながら長い長いキスを繰り返した。

 互いを求めるあまりに、少しずつ悠里の背はベッドから浮いて来て、彬が抱きしめて支える。肌がより密着し、悠里の胸の先は彬の肌で擦れるたびに熟れてしまう。

「んん、んッ……」

「気持いいね、悠理」

 言いながらも、彬の手は悠里の首の後ろや腰を撫でるばかりだ。じれったくてもどかしくて、悠理は胸を揺すって懇願する。

「やぁ、だ。彬さん、ここ、触ってぇ。……ぁ、んっ」

 彬の胸の先と触れただけで悠里の身体はビクビク震えた。

「かわいい。こんなに赤く尖らせて。触るだけでいいの?」

 長い指が尖りに触れる。が、当たるか当たらないかくらいの感触で、すりすりとされるだけ。

「んっ、違う。もっとぎゅってして。いつもみたいに彬さんの指でくにって、して欲しい」

「いい子。ちゃんと言えたね。じゃあご褒美」

「……っ、ああっ……!」

 摘まれた右胸の先を熱い口内に含まれ、たっぷり湿った舌で転がされる。絞るように吸われれば、彬に巻き付いている手と脚に力が入った。

「や。違う、吸うのだめぇ。俺、すぐいっちゃうからぁ……」

「そうだね。もう先からトロトロしたの溢れてるね。いいよ、何回でもイかせてあげるから、素直に感じてて?」

 耳たぶにキスを受けながら、既に乱れつつあるシーツの上に背を戻され、彬の唇が再び右胸に戻る。左の胸には指が伸びて、大きく開いた太もものあいだには彬の上体がしっくりと収まった。彬は器用に身体を使い、ゆすらゆすらと悠理の昂ぶりを撫でこする。

「ん、んっ、あきらさっ……それだめっ……ッ!」
 
 敏感な部分を三つ同時に愛され、身悶える。全身に甘さが広がり体が熱くなった瞬間、下腹が波打ち、同時に太ももに力が入った。

「……勢い良く出たね」

 彬の胸骨下縁から腹のあいだに悠理の達した跡が貼り付いて、ようやく彬は悠理を一度開放した。
 力が抜けた悠里はびくびくと小刻みに震えて、生まれたての仔猫みたいだ。乾かさなかった髪も、涙が零れた頬も、汗と白濁が滲んだ肌もどこもかしこもぐしょぐしょ。

 彬はバスタオルを取りに行く手間を惜しみ、シーツを手繰って濡れた悠里を拭いてやった。
 頭からシーツにくるまれた悠理はまるで、綿帽子を被った花嫁のようで、彬の目の奥にあるひとつのイメージが浮かんだ。

 ──湯島天神、紫に染まった夕暮れの空。本殿の前に組まれた檜櫓の舞台で鷺のように舞う白無垢の……。
 そして、たくさんの観衆達の一番前で、胸を熱くしてそれを見ている男。

 なぜだろう。彼の心が手に取るようにわかる。

「愛している。今はまだ打ち明けられなくとも、必ずやこの腕にいだき、愛を伝える。どんなに遠く離れても、巡り合うまで何度でも追いかけよう。願えば必ず叶うから」──

(あれは百合……違う、悠理……そして、悠理を一心に見つめるのは……)

「……彬さん、どうしたの? ねぇ、もっと抱きしめて?」

「ん?」

 悠里の甘い声でぼんやりしていた焦点が合い、イメージが消えていく。それでも、リンクした気持ちは甘い痛みを彬の胸に遺した。

「……なんだろう。悠理のこと、ずっとずっと昔から知っている気がする。そして、ずっと探していた気がする」

 堪えきれずに言ったあと、古くさい愛の常套句じゃないかと口をつぐんだ。だが、悠理はそんな彬を見て花が開くように朗らかに笑った。

「そうだよ。俺も同じだよ。彬さん、俺達は何度だって巡り合って何度だってこうするんだ」

 悠理からキスをする。ちゅ、と軽い音を立てたキスはやがて深く長くなり、互いの中心を再びたぎらせた。

 悠理は手を彬の太もものあいだへ、彬は悠理の後ろへと手を伸ばす。
 互いの感じる部分はもう充分わかっている。はやる気持ちを抑えながら時間をかけて撫で合い、ぬくもりを共有した。

 暖かい。この暖かさをずっと離したくない。離れたくない。

「悠理、好きだよ。好き……愛してる」

「彬さん、俺も好き。ずっと一緒にいたい」

「悠理、絶対に離さない。永遠に愛してる」

  質量を増した彬の熱が悠理の中に潜りこんでくる。ゆっくりと内壁を辿り、ぐちゅ、ぐちゅ、と言う音が漏れ出てくる。

 やがて音は速さを増し、身体の内部までも熱く火照り始めた。身体も心も溶けてしまいそうで、悠理は彬の存在をもっと強く感じたくて、脚を絡ませ、強く首にすがりつく。
 同時に彬の熱を飲みこんでいる窄まりがきゅ、と収縮した。

「悠理、一緒にいるから大丈夫。そんなにきつくしたら……」

 悠理の耳元で、彬の切ない吐息が聞こえてたまらない気持ちになる。悠理は自ら両脚を高くして臀を浮かし、彬を求めた。

 一度抜きかけたものが最奥に突き当たる。彬はぶるっと頭を振ると、動きを早くして何度もそこを突いた。

「あ、あぁっ……あき、らさ……っ」

「……っ……!」

 ストロークが続いたあと、二人同時に熱が膨張し、そして弾けた。一気に身体中の力が抜けて、幸せな脱力感に襲われる。

 二人はしばらくのあいだ、繋がったままでキスを繰り返し、火照りが残る身体を重ねていた。


***


 夜中、悠理がふと目を覚ますと、背中から彬に抱きしめられていた。 

 腕を巻きつけたまま半分体を起こして消灯台を見れば、スマートフォンのポップアップ画面に「オフなんだって? 楽しんでるか? 帰ったら久しぶりに飲もう。お土産話聞かせろよ」と楓真からのメッセージが。そのスマートフォンの横にはみっくんがくれた猫のチャーム。
 なんとも言い難い満たされた気持ちでそっと顔をずらせば、静かな寝息を立てている彬の顔がある。
 
  ──幸せだ。
 それ以外の言葉がなにも思い浮かばない。

 遠い過去の世界で、運命のように、けれど奇跡のように自分を見つけ、人生を与えてくれた人。
 過ごした期間の中で、体を繋げたことはただ一度切りだったけれど、ずっと心を繋げていてくれた人。
 そして、どんな困難ももろともせず、迎えに来てくれたただ一人の人。

 今はもう、それを悠理以外に知る者はいない。でも「その人」は再び再会して、今、ここにいて愛を誓ってくれる。
 記憶は失くしても、心の隅に「永遠の約束」を刻んでくれている。

 この先の人生は長い。
 江戸では経験できなかった、年月を重ねる日々を二人で過ごすことができる。
 その中で、時には二人の意図しない波風が吹く時もあるだろう。
 だけどもう、二度と離れない。これからは二人、手を取り合い、支え合って生きていく。  


「彬さん、愛してる。永遠に」
 
 悠理はもう一度口に出して呟いて、幸せな気持ちと暖かい腕に包まれて静かに瞼を閉じた。



     Eternal Love   end  

        
    ALLSTORY END


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