専務、その溺愛はハラスメントです ~アルファのエリート専務が溺愛してくるけど、僕はマゾだからいじめられたい~

カミヤルイ

文字の大きさ
53 / 92
お願い、僕をいじめて

③*

しおりを挟む
「ぐうぅ……!」

 光也が喉を鳴らし、千尋の頭を強く掴んだ。

「!?」

 動けない。まるで、獰猛な獣に仕留められてしまった小動物だ。
 指が頭蓋骨にめり込むほどがっちりと固定されている。苦しくていったん顔を引いて熱塊から口を離し、大きく深呼吸をした。

「ぅ、んっっ!?」

 次の瞬間、唇の端が切れる痛みと喉の奥を突かれた衝撃に、瞼の裏で火花が飛んだ。
 反射で目を閉じる。次に開くと目の前には肌色の鉄壁があり、でもすぐに遠ざかる。

 たくましさを通り越した、凶悪ともいえる熱塊に口の中を占拠され、頭は前後に強く揺さぶられている。

「ん、ぁぐ、っ……!」
「ぅ……ぁ、はあ、っ……はぁ」

 千尋の喘ぎと光也の荒ぶった息が重なる。
 頭を後ろに振られるときに視界に映る光也は、冷静さも穏やかさもない、飢餓した獣のようだ。

(すごい。これが、ハイアルファの……)

 唇の端から、赤が混じった唾液がこぼれ、顎も頬も割れそうに痛い。だが部屋に充満し、千尋の身体中に絡みつく光也のフェロモンが、苦痛を快感に変えていく。

 千尋の先走りは下着のクロッチ部分に染みを広げていたが、それ以上に後孔はぐしょぐしょに濡れていた。

 腹がきゅうきゅうと蠕動する。後孔は餌を待つ雛鳥のように、口を開けては締まり、開けては締まりを繰り返す。

(これ……気持ち、いい……)
「ん、ぐっ……!」

 脳内に充満する快感に酔いしれそうになったとき、口の中の光也がいっそう大きく膨らみ、喉を打ちつけた。

 はっ、と正気を取り戻し、千尋はカップ状の容器を取り、光也の太ももから顔を離す。

「っつ……!」

 うめきとともに光也がびくびくと腰を揺らし、熟れた露頭の口から大量の白濁を放った。
 千尋はそれを容器に受け止める。容器は熱い湯を入れたときのように白くくもり、じんわりと熱を持った。

「……取れたぁ」

 涙と鼻水、よだれに血。千尋の顔はぐちゃぐちゃのよれよれだったが、達成感に満ち溢れている。
 光也はしばし黙って上半身を折り、肩を上下していたが、手のひらで顔をこすり、垂れてしまった前髪を上げると深く息を落として瞼を開いた。

「最悪だ。ごめん、千尋……」

 スーツからハンカチを取り出し、顔を歪ませて千尋の顔を拭いてくれる。

「全然! すごく、すごくよかったよ! みっくん、」

 ハンカチで汚れを拭いてしまえば千尋の顔はつやつやと光り、口の端に傷があることを除けば、健康体の人間そのものだ。いや、それ以上に輝いている。

「最高だったぁ」

 光也の屋敷に戻ってからも、思い出しては初恋を覚えた少年のような顔をして唇の傷に触れる千尋に、光也は「ああ、そう……」としか言わず、複雑な表情で肩を落としていた。
しおりを挟む
感想 134

あなたにおすすめの小説

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結済】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!

キノア9g
BL
モテたくて完璧な幼馴染に弟子入りしたら、なぜか俺が溺愛されてる!? あらすじ 「俺は将来、可愛い奥さんをもらって温かい家庭を築くんだ!」 前世、ブラック企業で過労死した社畜の俺(リアン)。 今世こそは定時退社と幸せな結婚を手に入れるため、理想の男「スパダリ」になることを決意する。 お手本は、幼馴染で公爵家嫡男のシリル。 顔よし、家柄よし、能力よしの完璧超人な彼に「弟子入り」し、その技術を盗もうとするけれど……? 「リアン、君の淹れたお茶以外は飲みたくないな」 「君は無防備すぎる。私の側を離れてはいけないよ」 スパダリ修行のつもりが、いつの間にか身の回りのお世話係(兼・精神安定剤)として依存されていた!? しかも、俺が婚活をしようとすると、なぜか全力で阻止されて――。 【無自覚ポジティブな元社畜】×【隠れ激重執着な氷の貴公子】 「君の就職先は私(公爵家)に決まっているだろう?」

人気者の幼馴染が俺の番

蒸しケーキ
BL
佐伯淳太は、中学生の時、自分がオメガだと判明するが、ある日幼馴染である成瀬恭弥はオメガが苦手という事実を耳にしてしまう。そこから淳太は恭弥と距離を置き始めるが、実は恭弥は淳太のことがずっと好きで、、、 ※「二人で過ごす発情期の話」の二人が高校生のときのお話です。どちらから読んでも問題なくお読みいただけます。二人のことが書きたくなったのでだらだらと書いていきます。お付き合い頂けましたら幸いです。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

処理中です...