天性の、恥ずかしい性癖 第111話:漂白の代償

知佳

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天性の、恥ずかしい性癖 第111話:『女王の記憶 ―― かつての拒絶と、今の沈黙 ――』

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視線の恐怖

床にうずくまって食事をとる梨沙 敏則の冷たい指が首筋を這う。
梨沙は、ふと、数年前の自分を思い出していた。
もしあの頃なら……。
「とっちゃん、気持ち悪いわよ。さっさとその指、離しなさい」
そう言って、彼の幼さを笑い飛ばせたはずだ。

だが、今の梨沙には、その一言を絞り出すだけの「プライド」が残っていない。
警備員の男に、十万円の酒代として売られた瞬間。
あの薄汚れたアパートで、獣のように快楽に溺れた瞬間。
梨沙の中の「女王」は、内側から崩れ去っていたのだ。

敏則は、梨沙が反論してこないことを確信し、歪んだ勝利感に浸っている。
「……叔母さん、どうしたの? 昔みたいに、僕を笑わないんだね」

彼の指先が、今度は梨沙の乾いた唇をなぞる。
梨沙は、握りつぶしたかったはずの『生活管理表』に、言葉で反論する気力すら奪われ、ただ「次の衝撃」に備えて身を強張らせる。

 敏則が投げ寄こしたラミネートの「生活管理表」。
梨沙はそれを手に取ることさえできず、ただテーブルの上にあるその無機質な文字を、ハゲワシに魅入られた獲物のような目で見つめていた。

(……07:00、洗浄。……21:00、上書き……)

視線の先で捉えたそのスケジュールは、梨沙のこれからの人生が「敏則の指先ひとつ」で規定されることを告げている。
かつての梨沙なら、その紙を鼻で笑い、敏則の青白い顔を平手打ちして追い出しただろう。

だが、今の彼女は、ただ身体を固くし、浅い呼吸を繰り返すことしかできない。
背後に立つ敏則の気配。
衣擦れの音。
眼鏡の奥で、自分を「標本」のように観察する冷たい瞳。 凍り付いたように突っ立ったままでいると

「……どうしたの、叔母さん、昔みたいに、僕を『気持ち悪い』って笑わないんだね」

敏則の指が、梨沙の耳元を掠める。
梨沙は肩をすくめ、目をつぶった。 反論の言葉が喉まで出かかっている。
『あんた、自分が何をしてるか解ってるの?』
『さっさとその手を離しなさい!』
叫びたい。 だが、声が出ない。

あのアパートで、十万円の酒代として売られた屈辱。
冷たい浴室で、自分の淫らな喘ぎ声を聴かされた羞恥。
それらが重い鉛となって、彼女の舌を縛り付けている。

「……っ……」

梨沙の喉が、ひゅっと鳴った。
それは言葉ではなく、完全に屈服した生き物が漏らす、無力な吐息だった。
敏則は満足げに目を細め、梨沙の震える肩に、ゆっくりと、そして誇らしげに自分の所有印を刻むように深く爪を立てた。

最初の朝 ―― 07:00、洗浄の号令 ――

 高層マンションの遮光カーテンは完璧で、朝 陽が昇っても寝室は深夜のような暗闇に包まれていた。
梨沙は、慣れない高級なベッドの感触と、ノーパンにTシャツ一枚という心もとなさに、浅い眠りを繰り返していた。

(……帰りた……い……)

どこへ? あのゴミ溜めのようなアパートか、それとも、すべてを支配していた「カサブランカ」の玉座か。
混濁する意識を切り裂いたのは、電子的なアラーム音ではなく、ドアのロックが外れる無機質な音だった。

「――時間だよ、叔母さん、07:00だ」

パチリ、と天井の照明が一斉に点灯する。
あまりに暴力的な光に、梨沙は悲鳴を飲み込み、枕に顔を埋めた。
かつての梨沙なら、寝起きの不機嫌さを剥き出しにして「うるさいわね、出て行きなさい!」と怒鳴り散らしていたはずだ。

だが、枕越しに感じるのは、部屋に踏み込んできた敏則の、冷徹で迷いのない足音。
梨沙の身体は、言葉よりも先に、恐怖で石のように固まった。

「……っ……」

「ほら、起きて、スケジュール通りだ、まずは『全身の洗浄』から始めようか」

敏則の手が、布団を剥ぎ取る。
冷えた空気が、露出した梨沙の脚を撫でた。
梨沙は丸まった背中をさらに小さくし、視線だけで敏則の足元を捉える。
昨日、這いつくばってタイルを磨き上げた。 だが、人間と違ってタイルはどんなに磨いてもタイルでしかない。 それと同じのように、自分もまた「無機質な磨かれるべきモノ」として扱われる時間が始まったのだ。

「自分で歩けるのかな? それとも、また僕が床を引きずっていかなきゃいけないかな」

敏則の声に、感情の起伏はない。
梨沙は、震える膝を突き合わせ、縋るような視線を一瞬だけ敏則に送った。
だが、眼鏡の奥の瞳には、かつての「慕わしい甥」を思わせる暖かな思いやりの欠片も見当たらない。
そこにあるのは、汚れを嫌う潔癖な管理者の、冷ややかな義務感だけだった。

梨沙は、鉛のように重い身体を引きずり、一言も発せぬまま、自ら浴室へと歩を進めた。
昨日、自分の汗と涙で磨いたあの場所が、今度は自分を「漂白」するための処刑台に思えてきた。

剥離の儀式 ―― 赤い滴と掛け湯 ――

「……ひっ、あ、痛い……っ! 敏則、やめて……!」

浴室に、梨沙の悲鳴が響き渡る。
敏則の手には、タイル洗いのたわしが握られていた。
彼は梨沙の細い背中を膝で押さえつけ、逃げ場を奪ったまま、まるで焦げ付いた鍋の汚れを落とすかのように、容赦なくその肌を亀の子束子で擦り上げていく。

「静かに!! 近所迷惑だろうが……ここまでやってもまだ、あのアパートの匂いがこびりついているような気がするんだ……だからほら、こんなに垢が浮いてきた、ここも、あっ、そこもっ、あいつが触った場所だろう?」

「違う……もう、痛い……っ、血が出てるじゃない……!」

敏則の罵声をかき消すように、引き攣ったような声で叫ぶが、梨沙のこの訴えは、敏則の「潔癖」という狂気の前では無力だった。
日焼けした梨沙の肌が、摩擦によってどす黒く充血し、やがてぷつぷつと赤い滴が滲み出してくる。
それは「愛撫」による紅潮ではなく、皮膚が文字通り削り取られた、生々しい損傷の証。

だが、地獄の本番はここからだった。

「……よお~し、これで一皮剥けたかな、次は仕上げだ」

敏則は、給湯器の温度設定を無機質に操作した。
「熱いですよ」という警告音さえ、今の梨沙には死刑宣告に聞こえる。
敏則が手にしたシャワーから、湯気を立てる高温の上がり湯が、血の滲んだ梨沙の背中へと一気に浴びせられた。

「あぎゃあああああああッ!!」

声にならない絶叫。
傷口に塩を塗り込まれるような、燃えるような激痛に、梨沙は浴室のタイルを蹴り、文字通り飛び上がってのたうち回った。
だが、敏則は冷徹な手つきでシャワーを離さず、彼女の全身を「消毒」し続ける。

「いい声だねえ~、叔母さん……これでようやく、アパートの記憶も洗い流せ、少しは元に戻ったんじゃないかな」

湯気に包まれた敏則の眼鏡が白く曇り、その表情を隠す。
涙も出ないほどの痛みと恐怖に、我を忘れ敏則からシャワーヘッドを奪い取ると、真っ赤に腫れ上がった身体に思いっきり冷水を浴びせかける梨沙。 ガタガタ震えながらうずくまる梨沙とは対照的に敏則は、仁王立ちで睨みつけ、ニタリと不敵な笑みを浮かべる。
彼女は、自分が「叔母」という人間から、敏則に磨き上げられるための「ただの肉塊」へと作り替えられたことを、その激痛と共に骨の髄まで思い知らしめる。

家畜の栄養摂取 ―― 床に置かれた清潔 ――

 「洗浄」という名の剥離が終わり、血の滲んだ身体を震わせながら、梨沙はリビングへ文字通り這い出した。
熱傷でタオル一枚すら羽織ることが出来ない、赤く腫れ上がった肌に、敏則がわざと強めた冷房の風が突き刺さる。
敏則は、ダイニングテーブルではなく、あえて「床(フローリング)」を指差した。

「さあ、食事だよ、叔母さん……あのアパートで食べていたような、ギトギトした死体(揚げ物)はもう終わりだ、躰を元に戻すため、これからは、僕が選んだ『清潔な燃料』だけを摂ってもらう」

大理石のような床に置かれたのは、ドレッシングが一切かかっていない、冷え切ったレタスとブロッコリーが盛られた皿。
そして、泥のような色をした甘さも酸っぱさも感じられないプロテイン飲料。

「……テーブルで、食べさせて、お願い……」

「テーブル? 冗談だろ……『商品』が、僕と同じ高さで食事をするなんて、第一効率が悪い……ほら、そこに這いつくばって食べなよ、それが今の君の、正しい姿勢だ」

梨沙は唇を噛み締め、膝をついた。
丸まると、胃の腑がせりあがり、吐しゃ物が食堂をせりあがってくるのがわかる。
かつて高級クラブで、数万円のシャンパンを優雅に傾けていた指先が、今は一枚のレタスをも埃ひとつない床に落とすまいと、気を遣わねばならない。

「……っ……、味、がしない……それにこれ……端っこが……」

「あんたにゃそれがお似合いだよ、ああそうさ、俺の食べ残しだ、それにな、味なんて必要ない、必要なのは栄養素さ、僕が『上書き』しがいのある、健康な肉体を維持するためにはね……さあ、残さず食べな、食べ終わったら、次は『室内清掃』の時間だよ、また、這いつくばってもらうけどね」

敏則は、梨沙の背後で椅子に座り、コーヒーを啜りながら、その「家畜の食事風景」を冷徹に眺めている。
梨沙は、涙が混じった苦いプロテインでサラダを胃の腑に流し込みながら、自分がもはや「人間」ではなく、敏則という潔癖な神に飼育される、一匹の「雌」に成り下がったことを、腹の底から思い知らされていた。

室内清掃 ―― 消毒される自尊心 ――

「……ごちそう、さま……」

床に置かれた皿を舐めるように空にし、梨沙は震える声で告げた。
胃の腑に落ちた冷え切ったレタスと、泥のようなプロテイン。 それは栄養を満たすためだけのもので、梨沙の心に虚無感だけを広げていく。

「よし、次は09:00、室内清掃だ、叔母さん、やり方は昨夜教えた通りだよ」

敏則はコーヒーカップを置くと、棚から一本のボトルを取り出した。
ラベルには『高濃度エタノール』の文字。
彼はそれを、リビングの磨き上げられた床に、霧状に振り撒いた。

「この部屋に、君が持ち込んだ『黴菌』を繁殖させちゃいけない……ほら、四つん這いになって、隅から隅まで、自分の手で消毒剤を広げて回るんだ」

梨沙は、熱傷でヒリつく膝を床につき、雑巾を握りしめた。
アルコールが付着すると傷が痛む。
さっきまで自分が這いつくばって食事をしていたその場所を、今度は「不浄な個所」として自ら消毒しなければならない。

「……っ、う、あ……」

雑巾を動かすたびに、乾きかけた背中の傷が裂け、血が滲む。
敏則は椅子に座ったまま、梨沙の臀部が揺れるのを、あるいは彼女が痛みに顔を歪めるのを、冷徹な審判のように見下ろしている。

「腰が高いよ、叔母さん……もっと低く、床の目地に詰まった君の脂まで、綺麗に拭き取るんだ……それが終わったら、次は寝室のベッドメイキングだ、僕が『上書き』の儀式をしやすいように、一ミリのシワもなく整えておくんだよ」

梨沙は、アルコールでふやけた指先を見つめながら、ただ機械的に手を動かし続けた。
かつて「ノア」と呼ばれた女は、今やこの高層マンションという巨大な実験室を磨き上げる、名もなき「清掃具」へと完全に同化し始めていた。

供物の儀 ―― 卓下の渇望 ――

「洗浄」と「室内清掃」を終え、アルコールの匂いに包まれたリビング。
正午を告げる電子音が響くと、敏則はキッチンから運んできた「本物の食事」をテーブルに並べた。
香ばしく焼かれたステーキの脂の匂い、バターで炒めた野菜の芳醇な香り。 それらは、梨沙がかつて当たり前に享受していた「人間」の食事。

「……っ……」

梨沙は床に膝をつき、下を向いたまま、思わず喉を鳴らした。
朝、泥のようなプロテインを流し込んだだけの胃袋が、暴力的なまでの匂いに反応して、ギリギリと悲鳴を上げる。

「叔母さん、ペットは一日二食だ、忘れたのかい? 次に君が食べることが出来るのは、21時の『上書き』の前だよ」

敏則は梨沙の視線を無視し、厚みのある肉にナイフを入れた。
溢れ出す肉汁。
彼はそれをゆっくりと口に運び、わざと音を立てて咀嚼する。
テーブルの下で、梨沙は熱傷の痛みを忘れるほどに、その光景を食い入るように見つめていた。 生き物とは不思議なもので、飢餓の境は不思議とわかる。

「……お願い、敏則、一口、でいいから……、その、お肉……」

「一口? 冗談だろう……これは『人間』の食べ物だ、君みたいな、消毒しても汚れが落ちない『家畜』には、分不相応だよ」

敏則は、わざと肉の破片を床に落とす仕草を見せた。
梨沙の身体が、反射的にその肉片へと、獲物を狙う獣のように身を乗り出す。
だが、敏則はそれを拾い上げる前に、冷徹に言い放った。

「拾うな……掃除したばかりの床を汚す気か? ……欲しければ、僕が食べ終わるまで、そこで大人しく僕の『満足』を見守っていなよ、それが、今の君に許された唯一の娯楽だ」

梨沙は、伸ばしかけた手を引っ込め、床に両手をついて頭を垂れた。
上の世界では、敏則が美味しそうに食事を続け、下(床)の世界では、梨沙が自らの唾液を飲み込む音だけが響く。

「……っ……、あ……」

空腹と、匂いによる拷問。
梨沙は、自分がかつて仕事と偽り、自分だけ良い思いをし、知らん顔して帰ったこともある。 汗水たらして稼いだアルバイト代を「小銭」と笑った敏則の、その皿の上の残飯ですら、今の自分にとっては命を繋ぐための「至宝」であることを、涙とともに認めざるを得なかった。

空虚な昼下がり ―― 姿なき管理者の目 ――

 敏則は最後の一口を飲み干すと、ナプキンで口元を拭い、椅子を引いた。
テーブルの上には、わざと一口分だけ残されたステーキの脂身と、ソースの付いたパンの欠片が放置されている。

「……叔母さん、僕はこれから、少し出かけてくる、バックの『旦那様』への報告も兼ねてね」

敏則がジャケットを羽織る衣擦れの音。
梨沙は床に額をつけたまま見送るが、その間中「残飯」の匂いに意識を奪われそうになっていた。

「いいかい、僕がいない間も、スケジュールは絶対だ……もし、僕が帰ってきたときに、この部屋の家具に一ミリでもシワがあったり、君が勝手に『人間』の真似をしてテーブルのものを口にしたりしたら……、昨夜の録音、また最大音量で流さなきゃいけなくなるよ」

敏則は玄関へと向かい、姿が消えた瞬間、重厚な電子ロックの音が響いた。
「ガチャリ」という、絶望的な孤独の音。

「……っ……、はぁ……っ……」

リビングに訪れる、高層マンション特有の死のような静寂。
梨沙は、ようやく顔を上げた。
目の前には、敏則が座っていた椅子と、その上の「食べ残し」。
今、椅子に這い上がってその肉片を口にすれば、どれほどの多幸感に包まれるだろう。

だが、梨沙の視線は、部屋の隅にある「小さな赤い点」に釘付けになった。
エアコンの吹き出し口、照明の隙間、そしてテレビの枠。
そこには、無機質なレンズが梨沙をじっと見つめている。

(……見られてる……とっちゃんに、全部……)

敏則はあえて、梨沙の「自制心」を試しているのだ。
飢餓に陥った時の生きようとする本能と、敏則への恐怖。
かつての女王「ノア」は、豪華なソファに座ることさえ許されず、冷たい床の上で、ただ時計の針が「12:00」から「21:00」へと進むのを、一匹の忠実な犬のように待ち続けるしかなかった。

渇きで喉が鳴り、空腹で胃が捻れる。
だが、梨沙が取った行動は、肉片を奪うことではなく、再び床にうずくまり、自分の脚を抱きかかえ妄想に全てをゆだねる。 それ以外にやる術はなかった。

帰還 ―― 21:00、検品の目 ――

 高層マンションの窓から見える夜景が、宝石を撒き散らしたように輝き始める。
だが、その光さえも梨沙には届かない。 彼女は、西日に焼かれたリビングの床で、微動だにせず時計の針だけを追っていた。

(……あと、一分……五十九秒……五十八秒……)

ぐう、と胃袋が情けなく鳴る。
テーブルの上の「肉の脂身」は、乾燥して黒ずんでいる。 だが、今の梨沙にはそれが世界で最も甘美な果実に見えていた。 指一本動かせば届く。 ……けれど、天井の隅で光る「赤い点」が、彼女のそうした思いを冷たく縛り付けていた。

ガチリ。

電子ロックが外れる、心臓を鷲掴みにされるような音。
玄関から、敏則の整った足音が近づいてくる。

「――ただいま、叔母さん……いい子にしていたかな」

敏則はコートを脱ぎ捨てると、まず梨沙を見るのではなく、手元のスマートフォンを操作した。
監視カメラの録画映像を「倍速」でチェックしているのだ。
梨沙は床に伏せたまま、自分の「空白の数時間」が、敏則の指先ひとつで検品されている音を聞いていた。

「……ふう~む、一度もテーブルに手を触れなかったね……感心感心、あのアパートで、男の言いなりになっていた時より、ずっと規律正しいじゃないか、僕の躾が功を奏し始めたのかな?」

敏則の靴音が、梨沙の目の前で止まる。
彼は梨沙の顎を、革靴の先でくい、と持ち上げた。

「お腹、空いたろ? ……さあ、21:00だ、スケジュール通り、『上書き』の儀式を始めようか……君がどれだけ僕を求めているか、その身体で証明してごらん」

梨沙は、空腹による眩暈と、敏則への恐怖、そして……彼が帰ってきたことへの、自分でも信じたくない「安堵」に身を震わせた。
もはや、彼なしではこの清潔な地獄でさえ生きていけない。

「……っ……、とっちゃん……、……早く……、して……」

梨沙の口から漏れたのは、かつての「女王」の命令ではなく、管理者に慈悲を乞う「家畜」の喘ぎだった。
敏則は満足げにニタリと笑うと、梨沙の細い腕を掴み、昨夜磨き上げたあの「清潔なベッド」へと彼女を引きずっていった。


※完全オリジナル作品です。二次創作ではありません。
#オリジナル #官能小説 #一次創作 #知佳の美貌録
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