もふもふ彼氏と一緒

尾裂狐

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壱 今を生きる

帰り道

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僕が後輩に色々暴露した後、ポール君がちょっと混乱しすぎて、頭がいっぱいって言った後、今日はとりあえず解散となった。そして今はヴァン君と同棲している家に向かっている途中。

「なあ、トオル。なんでアレックスに急に俺たちが付き合ってる事をいったんだ?」
「ポール君に。そうだね。…自分を知ってもらいたいから、じゃダメ?」

少し上目遣いで彼の方へと顔を向ける。

「ダメだ。お前は意味のない事をやるような奴じゃないからな。何か理由があるんだろう?」
「そうだねぇ。ごめんね、ちょっと考える」
「考えるほどの理由なのかよ、いいけど」

しばらく僕たちはそのまま無言で歩いた。正直に言うと、ポール君に僕たちの関係を言ったのもその場の勢いだったんだよね。自分でも気持ちの整理ができてない。ちょっとだけヴァン君にも僕を知ってもらおうかな…

「…ヴァン君の…家族構成ってどんな感じ?」
「急にどうした?あー俺は…両親と上に兄貴と下に弟がいる」
「家族とは仲いい?」
「ん?そうだな。別に悪くはないとおもうぞ」
「家族には僕と付き合っている事言ってる?」
「ああ、付き合って一か月の頃に言ったな。どうしたんだ急に俺の家族の事なんか?」

彼の眉がひそめられてます。可愛い。

「ごめんね、急に」
「そう言うトオルの家族は?」
「…両親と妹がいるよ」
「仲は?」
「…仲は……多分…よくないかな」
「なんで疑問なんだ?」
「………」

ここで僕は黙ってしまった。僕の過去は自分でもまだ受け入れられないから。なのにヴァン君はせかす事もなく、ただ僕の言葉を待っている。本当に……好き。

「僕は中学二年の時に、家族に自分の事をはなしました」
「………」
「結果は多分言わなくてもわかるかな」
「………」
「ポール君に今日いったのは、後々ばれていろいろ聞かれるのが嫌だったから。それでいいでしょ?」
「なぁ、トオル…」
「ヴァン君は、知ってる?」

僕は彼とまっすぐに向きあう。

家族の愛情って、何にか。
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