俺のご主人様がこんなに優しいわけがない

及川まゆら

文字の大きさ
16 / 138
八漢地獄

俺とお前…或るいは地獄の五丁目/1

しおりを挟む
 世を震撼させた同時多発テロ
 未曽有の大震災…明日は我が身と生きる俺ですが、それは誰の身にも起こり得る確率だと不幸な事故から学ぶ。
 

 今日未明、渋谷区千駄ヶ谷のある住宅地で 事 件 が起きました。


 「……あ」歯磨き粉、ない。

 棚を探したけど見当たらなくて玲音を呼んで事なきを得る(想定内)つもりだった俺は歯ブラシを口に突っ込んだまま、もう一度呼んだ。背後から腕組み、鏡越しで見ていた玲音は、ふと腕を解いて
 「あのさ…俺、前から思ってたんだけど」言葉より速く手が出る。
 左から聞き手が腰元まで伸びて、嫌な予感がした。
 パジャマ代わりのジャージにすり込む長い指の進入を許さない俺は歯ブラシを噛みながら遮ったが右腕に挟まれ後ろによろめく。
 ボタンをひとつ、ふたつ外され、股関節の辺りから肌を擦り引き抜かれる布の感触と上から忍び込んでくる玲音の指使いに目を見開き動揺する、俺。
 鏡の前で後ろから抱きつかれる格好が全部見える状態で、俺の耳元で音を立て開くセクシーな唇から漏れる息…やばい!と思った時、既に遅し。


 びく…っん…朝勃ちの延長で、放つ。


 決定的な快楽は、まるで無い。
 内側が温かく染みる感触を手じゃなくて手探りのタオルで隠して
 「ん?歯磨き粉なら、ここだよ」
 やべぇ、これはやっべーぞ!大混乱。
 脚を伝って今にも滴り落ちそうな大量発射を内股で食い止めながら深呼吸。
 「前から思っていたんだけど、どうしてシャツを入れるの?こっちの方がいいよ」
 悪戯をされた訳ではない。
 ただシャツインの格好を指摘されただけ・・なのにたとこ勝負な自分に呆れかえる。
 まぁ…うん…鏡の前で重なる格好で後ろの玲音に髪をいじられ頭を預けて…

 あのさ?今、俺それどころじゃねーんだわ(お漏らし、して…る)

 「触んな、あっち行け!」
 じゃじゃ馬みたいに蹴り上げ、ユニットから玲音を追い出す。
 「俺がいいって言うまで入ってくるなよ」
 口から勢いよく抜き取った歯ブラシの先端を向けると玲音は胸の前で両手をあげ、扉一枚で仕切られる。
 水を流しっぱなしにしてパンツとジャージを洗う、俺。何やってんだ?
 顔は真っ赤で尻丸出し、なのに
 「ごめん、昌…俺また何かした?」ドアが開ききる前に蹴って怒鳴る。
 「何回も言わせるな、あっち行ってろ…ったく。冗談じゃねぇ!」

 これは立派な犯罪だ。
 早いとこバイトみつけて距離をおかないと、体格が良いわりに小尻なスポットめがけて顔面から突っ込みそう。ムダ毛が一本も無駄じゃないあそこに…妄想…また反応してきた。それでも玲音は受け止めてくれる?
 なんという禁欲生活
 とはいえ男同士の共同生活
 俺の仕業は見破られているだろうけど今のとこバレてない(と思いたい)
 憎らしいほど爽やかどストライクな微笑みに良心の呵責が…おはようからおやすみ
までベースキャンプはテント張りっぱなし。トイレで念仏を唱え、煩悩から解放された後リビングに戻ると玲音が糖衣の整腸剤をくれた。
 腹具合じゃなくて、そこより下の…個人的な問題。なんて言えない。
 人間、理性がなくなったら残るのは生きるための本能。
 まだ未熟な俺は制御ができない危険デルタ地帯。
 あっちの方も鋭利な切っ先♂がパンツを突き破るのは時間の問題。
 誰か、鋼鉄の処女で今すぐ封印してくれ。


 ※ 鋼鉄の処女アイアンメンデンは 拷 問 具

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...