俺のご主人様がこんなに優しいわけがない

及川まゆら

文字の大きさ
50 / 138
淫内感染

性処理奴隷の縄妾

しおりを挟む

 タクシーの中で仮眠をして、目覚めた先は五反田のマンション前。

 やけに早いな、朝だからまだ道が空いてたのか…あくびしながら料金を支払うと運転手がドアを開けてくれたので足を下ろすと頭痛に眩暈で窓に手を付いて、視界が戻るのを待った。
 オールで客を取るのは体力勝負。
 知恵と若さだけでは、乗り切れない。

 風俗店は基本24時間営業だが、夜勤は携帯だけ持っていればどこでも仕事ができるので事務所には誰も居なくなる。道具を自分で始末して、シャワーを浴びた後、鏡の前でボトルにローションの入れ替えから、器具を洗浄。派遣デリバリーは持ち込み(道具)が多い分、管理も大変だがどれも青嵐から預かる私物。
 俺の為に用意された高価な商売道具だ。
 使い込まれた麻縄の行き届いた手入れは見事なもので、見本を基準として汚れを落とすべく大鍋で茹で上げる。体液や脂が浮きあがり水が濁るので一度水を変えて煮た後は、用途別で脱水にかけて陰干し。
 麻縄を身にまとえば痛みが伴う。
 縄の仕上りにより、体感が異なるので配慮が必要。汚れにまみれた縄で叩かれたら埃が舞い、アレルギー体質の客は身の内に迫る絶望に打ちひしがれるだろう。
 青嵐の麻縄は手に巻くだけで蜜蝋の香りと質感が肌を伝わり気持ちを整えていく。
 蜜の配分を聞いておくべきだったな。
 縄のより戻しから、焦がさない毛羽焼けばや焼き(表面を焼いてなめらかにする加工)する手順を青嵐が居るうちに見て覚えておけば、睡眠時間も確保できただろうに…軍手を穿かないと手が真っ黒になる。

 一頻り作業を済ませる午前9時
 昼店までの間、営業メールと格闘する時間だ。
 考えながら文章を打つのではなく即座に思ったことを打ち出さなければ数をこなせない。一件でも契約を取るのが営業の本懐、自分専用の奴隷をみつける事が目的だ。
 居眠りをしていると手に振動を感じて、起き上がると昨夜の客から丁寧な礼状が寄せられていた。これだけが励みになる、俺の仕事を評価するのは誰でもない客なのだから。

 昼店がオープンする12時
 アナスタシア本店は夕方までの時間を昼店と呼び、夜10時がラストオーダーで一区切り、以降は深夜料金が加算される。ショートコースは120分、最低でも10万超えの基本料金にオプションとコース内容により料金が追加され俺は一晩で100万の稼ぎ頭になるが個人的な修行…なので歩合もなく無料奉仕。
 働いた分だけ金になるのは店に所属する嬢(従業員)だけ
 これ一本で稼ぐベテラン選手もいるが、それも寿命があり、新人と引退が交錯する中に人間関係の難しさを見る思いだ。
 表向きには単純なプレイの連続だが、ここより深淵となれば、かつての性愛の常識に縛られない、法も命も狭間にある厳しい思想傾向に立たされる。

 嗜虐傾向
 同性愛
 女装…クライアントの要望に鋭く応える満足度の高い過酷な従業。

 現実のかせを外して己の理想に暮れ吠えるクライアントに理想的な演出を提供する。相手がかしずいてるように見えて、実は自分が奉仕している気分に陥るが遣われる立場ではないことを自身が弁えることで理性を保てる。
 状況を見極め、適切な行為を行うために自分をすり減らしておもむく。
 青嵐はこの道38年、未だ極めてないというが本当に果てなく、先が見えない不安から寄りかかる所も無いまま何度も自分に言い聞かせては奮い立たせるこの苦痛から逃げ出したくなるのも、今なら頷ける。
 人間としての軸が狂ってもおかしくはない。
 元からどっか変なので同情の余地も無いが…
 俺のご主人様は崇高なる存在だ。目指そうと思う事が烏滸おこがましいくらい、あの男は超越している。腹立たしいものだな。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...