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王都
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次の街に着いた後、ユキ達とは別行動でカイトはユリウスを連れ図書館に入った。入る時にユリウスを見て渋られたが、泣いたりして音を発てたら此処を出る約束をして入れて貰った。
「お前は静かにできるもんな」
声を掛けて笑いかけると、心なしか顔に力を入れ、任せろとばかりにどや顔をした気がした。
街に入ってから布を買い、手を使わずに前に抱えられる様にハンモックの様にして肩から下げてユリウスを入れた。
本を持って席まで移動する時間が惜しくて、本棚の端から次々と手に取っていった。この世界の魔術の専門書、政治の仕組み、文化の成り立ち、食生活、風習、病気やその治療法、様々な設備、スポーツ、芸術等様々なものの本を読んだ。
一番恐れていた紫の瞳については以前の街のみの風習だった様で一安心した。
黙々と読み進め、不意に腹の辺りを叩かれた様な感じがした。下を見ると顰めっ面のユリウスがいた。驚いて周りを見ると窓の外は暗くなっており、周りには誰も居なかった。
気付いたらこの図書館の一階の本をほぼ全て読み終えていた。
日本に比べるとそこまででは無いにしろ、そこそこ大きな図書館の本をこれだけ読んでいた事に驚きつつ、慌ててリチャード達が居るであろう宿に向かう為図書館を出た。
久し振りにこんなに読んで無い本があった事に気持ちが舞い上がっていた様で、集中し過ぎて周りが見えなくなっていた。
図書館を出た瞬間にリチャード達を見つけた。カイトを見つけた瞬間にリチャードがホッとしていた。
ユキは呆れていたが。
「だから言ったでしょ?カイトって集中しちゃうと周り見えなくなるから時間のこと気付かなくなっちゃうんだって」
心配したとこちらに駆け寄る彼に、ユキはそう言った。何も言い返せないのが辛い。
自分でも久し振りにこんなに集中したため、まさかこんな時間まで気づかずにいたなんて信じられず、申し訳ないと本気で思い、謝った。
ユリウスがカイトを叩いたのは、恐らくお腹が空いたからだ。彼に叩かせるまで我慢させてしまったのが情けない。
そんな事が何日か続き、リチャード達は、毎回食事の時間が長引くのに耐えられなくなり、これは主にユキなのだが、日が暮れる前にカイトを迎えに行く習慣が出来た。
因みに、カイトが図書館に篭っている時リチャード達はこの街を満喫していた。
屋台の食べ物はあまり美味しく無いので、基本的には物を見たり食材を買ったりしていたのだが、あまり城から出たことの無かったリチャードにとっては物珍しさ満載で、毎回目を輝かせていた。
そして、この街に着いて一週間、カイトはとうとう本を全て読み終えた。数にして一万冊近く読んだのだ。
「中々面白かったよ。きっと王都にはこれ以上に色々な本があるんだろう。楽しみだ」
最終的にそう言って荷造りを始めた。十分に休息も取れたし、カイトの知識を得る目的も達成された。この街に居る理由が無くなったのだ。
此処から王都までおよそ一週間で着ける。
食材を買い、必要な物を全て揃えて遂に街を出た。
今回は焦らずに街の門をくぐる事が出来たのだ。
「そう言えば、王都に着いたらお城に行くの?リチャードお城に住んでたんでしょう?」
「…………そうなんだが、…………正直今私の立場がどういったものなのか分からないんだ……」
確かに、リチャードは兄に命を狙われているわけだが、その状態で城に戻るのはユキが居れば特に問題無い。大概の刺客はユキで何とかなるし、いざとなればカイトも居る。
問題なのは、今のリチャードが行方不明扱いをされているのか、それとも裏切り者扱いされているのかだ。見方が一人もいない状態で城に行くのは少し危ない。
「……周りに君の支持者は居なかったのか?」
もし誰かしら権力のある人を味方に付ければ話は簡単になるのだが。
「何人か居るよ。力で心を読みつつ慎重に集めたからね。…………残念ながら、静養しに行ったあの街には、皆着いてこれる程身分の低いものでも無かったし、父上の病状も良くなく、仕事が立て込んでる中、兄上が事を進めて私を城から連れ出したからね……」
幾ら事情が有ろうと、そこは意地でも守って欲しかったのだが、そうするとカイト達はリチャードに出会えなかったので怒りは我慢した。
「…………役立たずじゃん……」
ぼそりとユキが呟いたが、幸いリチャードには聞こえなかったらしい。
「微妙だな。……因みに誰が味方か名前を教えてくれるか?」
そう言って出てきた名前は、味方なら実に頼もしいものばかりだった。
新聞紙や雑誌でこの国のお偉いさんは粗方覚えたが、もし本当に味方なら、もう少し上手く立ち回れるだけの力があった様に思った。
小さくため息を吐き、取り敢えず王都に着けば何かしら情報が入ってくるとだろうと思い、一旦話は終わった。
そうして一週間、相変わらず魔物はユキが対処し、苦手な昆虫型は新たに習得した、刀を振り下ろした時に出る風圧を鎌鼬の様に飛ばすという人間業とは思えない様なものを習得し、触れずに倒せる様になった。
出来た時、彼女は気合だと、悟りを開いた様な目をしていた。
そうして辿り着いた王都を、山の上から見下ろした。
遠くに城が見えるが、その先、何処までが都なのか分からないくらい、広かった。
やはり、他の街とは比べものになら無いくらい、綺麗だった。
「お前は静かにできるもんな」
声を掛けて笑いかけると、心なしか顔に力を入れ、任せろとばかりにどや顔をした気がした。
街に入ってから布を買い、手を使わずに前に抱えられる様にハンモックの様にして肩から下げてユリウスを入れた。
本を持って席まで移動する時間が惜しくて、本棚の端から次々と手に取っていった。この世界の魔術の専門書、政治の仕組み、文化の成り立ち、食生活、風習、病気やその治療法、様々な設備、スポーツ、芸術等様々なものの本を読んだ。
一番恐れていた紫の瞳については以前の街のみの風習だった様で一安心した。
黙々と読み進め、不意に腹の辺りを叩かれた様な感じがした。下を見ると顰めっ面のユリウスがいた。驚いて周りを見ると窓の外は暗くなっており、周りには誰も居なかった。
気付いたらこの図書館の一階の本をほぼ全て読み終えていた。
日本に比べるとそこまででは無いにしろ、そこそこ大きな図書館の本をこれだけ読んでいた事に驚きつつ、慌ててリチャード達が居るであろう宿に向かう為図書館を出た。
久し振りにこんなに読んで無い本があった事に気持ちが舞い上がっていた様で、集中し過ぎて周りが見えなくなっていた。
図書館を出た瞬間にリチャード達を見つけた。カイトを見つけた瞬間にリチャードがホッとしていた。
ユキは呆れていたが。
「だから言ったでしょ?カイトって集中しちゃうと周り見えなくなるから時間のこと気付かなくなっちゃうんだって」
心配したとこちらに駆け寄る彼に、ユキはそう言った。何も言い返せないのが辛い。
自分でも久し振りにこんなに集中したため、まさかこんな時間まで気づかずにいたなんて信じられず、申し訳ないと本気で思い、謝った。
ユリウスがカイトを叩いたのは、恐らくお腹が空いたからだ。彼に叩かせるまで我慢させてしまったのが情けない。
そんな事が何日か続き、リチャード達は、毎回食事の時間が長引くのに耐えられなくなり、これは主にユキなのだが、日が暮れる前にカイトを迎えに行く習慣が出来た。
因みに、カイトが図書館に篭っている時リチャード達はこの街を満喫していた。
屋台の食べ物はあまり美味しく無いので、基本的には物を見たり食材を買ったりしていたのだが、あまり城から出たことの無かったリチャードにとっては物珍しさ満載で、毎回目を輝かせていた。
そして、この街に着いて一週間、カイトはとうとう本を全て読み終えた。数にして一万冊近く読んだのだ。
「中々面白かったよ。きっと王都にはこれ以上に色々な本があるんだろう。楽しみだ」
最終的にそう言って荷造りを始めた。十分に休息も取れたし、カイトの知識を得る目的も達成された。この街に居る理由が無くなったのだ。
此処から王都までおよそ一週間で着ける。
食材を買い、必要な物を全て揃えて遂に街を出た。
今回は焦らずに街の門をくぐる事が出来たのだ。
「そう言えば、王都に着いたらお城に行くの?リチャードお城に住んでたんでしょう?」
「…………そうなんだが、…………正直今私の立場がどういったものなのか分からないんだ……」
確かに、リチャードは兄に命を狙われているわけだが、その状態で城に戻るのはユキが居れば特に問題無い。大概の刺客はユキで何とかなるし、いざとなればカイトも居る。
問題なのは、今のリチャードが行方不明扱いをされているのか、それとも裏切り者扱いされているのかだ。見方が一人もいない状態で城に行くのは少し危ない。
「……周りに君の支持者は居なかったのか?」
もし誰かしら権力のある人を味方に付ければ話は簡単になるのだが。
「何人か居るよ。力で心を読みつつ慎重に集めたからね。…………残念ながら、静養しに行ったあの街には、皆着いてこれる程身分の低いものでも無かったし、父上の病状も良くなく、仕事が立て込んでる中、兄上が事を進めて私を城から連れ出したからね……」
幾ら事情が有ろうと、そこは意地でも守って欲しかったのだが、そうするとカイト達はリチャードに出会えなかったので怒りは我慢した。
「…………役立たずじゃん……」
ぼそりとユキが呟いたが、幸いリチャードには聞こえなかったらしい。
「微妙だな。……因みに誰が味方か名前を教えてくれるか?」
そう言って出てきた名前は、味方なら実に頼もしいものばかりだった。
新聞紙や雑誌でこの国のお偉いさんは粗方覚えたが、もし本当に味方なら、もう少し上手く立ち回れるだけの力があった様に思った。
小さくため息を吐き、取り敢えず王都に着けば何かしら情報が入ってくるとだろうと思い、一旦話は終わった。
そうして一週間、相変わらず魔物はユキが対処し、苦手な昆虫型は新たに習得した、刀を振り下ろした時に出る風圧を鎌鼬の様に飛ばすという人間業とは思えない様なものを習得し、触れずに倒せる様になった。
出来た時、彼女は気合だと、悟りを開いた様な目をしていた。
そうして辿り着いた王都を、山の上から見下ろした。
遠くに城が見えるが、その先、何処までが都なのか分からないくらい、広かった。
やはり、他の街とは比べものになら無いくらい、綺麗だった。
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