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結局、休息を取るために訪れた街には一日も居られなかったので、現在は休みつつゆっくりと移動している。ある意味強制的に日にちが早まったので、当初よりはゆとりのある日数だ。
その道すがら、ずっと赤児の名前を考えていた。名が無いと不便だし、自分が親になると決めたからにはせめて良い名だけでも付けてやりたい。
リチャード達に名前の候補を聞いてみても、
「自分の子供だろう?自分が思うままに付けるのが一番さ」
何かにつけて微笑ましそうにそう言ってくる彼らに、その目線が擽ったく、今だに慣れない。
「……………………」
子供を見ても、相変わらず無表情だが、カイトやリチャード達が笑いかければ微笑み返してくれる様になった。
自分の手の中にいる温もりに対して、リチャードと出会った時と同じ様な温かさが胸に広がる。
「………決めたよ」
「?名前決めたの?」
夜になり、テントの準備をしていたユキ達がこちらに目を向けた。
教会での騒動以降、カイトは勿論、ユキやリチャードまでもが少し変わった。僅かな変化なのだが、彼らは少し丸くなった。
子供と接する内に、優しい触り方を覚え、慈しみ方を学びつつあるのだ。
「……ユリウス、……紫の葉に紫の花、ギリシャ語で刀の鞘、花言葉は、健康。…………花の色は彼の瞳の色。俺達の鞘になり、いつまでも健やかに育ってくれる様に。……名前はユリウスにする」
リチャード達はやっとついた名前に嬉しそうにし、早速呼び掛ける。
「ユリウス。綺麗な名前じゃないか」
そう言ってリチャードが優しくユリウスの頭を撫でる。
これからは様々な困難が待っているだろうが、全てを乗り越え、元気に育って欲しい。
「ユリウス!良かったねぇ?パパが可愛い名前を付けてくれたよ?」
そう言ってユリウスの頬を突いて遊んだ。ぷにぷにとした彼の頬は確かに触っていて飽きないが、やり過ぎて彼が不機嫌になった。
最近よく感情を出してくれる様になった。
意味は無いのだろうが、母音もだいぶ言い始め、彼には構って貰える人が必要だったのだと感じた。
テントも張り終え、食事の準備をする為に火を焚いた。カイトは隣に布を何枚か引き、ユリウスを寝かし、食事を作り始める。
今日は簡単な、野菜と肉の煮込みスープを作ることにした。味付けは塩と胡椒だけだが、臭みを取るための作業をすれば素材の旨味で味が整う。
食材はもうあまり無いのだが、そろそろ次の街に辿り着く。
「うぅぅぅん、やっぱりカイトのご飯は美味しいよ!お店だって出せる!」
相変わらずオーバーリアクションだが、リチャードも同意していた。
「確かに、城ですらこんな美味い料理は出てこないよ。…………今後も作ってくれるよね?……この味に慣れると他の食事が苦痛なんだ……」
その言葉に今度はユキが同意した。真剣にスープを見つめる彼らに、大袈裟だなと苦笑しながら、ユリウス用に野菜を潰して、肉を出来るだけ細かくし、ペースト状にした。
まだ自分で座れない彼を自分の膝に置き、お腹に凭れさせ、少しづつ食事を与えた。
「………なんか、様になってるね。…………お母さん」
「はぁ?父親だって言ってるだろ」
「え、だって、ご飯作って、そうやってあげて、抱っこしてあやしながらたまに私のこと叱るじゃん?いつも思ってたけど、何かお母さんみたい……」
嬉しくない。
ユキの言葉を無視し、自分の食事を始める。ユリウスは食べ終わり、眠くなったのか、カイトの服を掴みながら眠っていた。
もう直ぐ次の街に着く。前の街での反応がこの世界のユリウスへの反応なら、きっとこれから彼は苦労する。
願わくば、その様なことがない様に。
頭の中の地図では後二日で次の街に辿り着く。次の街もだいぶ大きい。出来るだけ早く、多くの本を読みたい。
この世界で知らない知識が大量にあるのが耐えられない。
最近増して来た知識欲は、日本に居た時ですら久しく感じていなかったものだった。
もう寝る時間だ。
ユリウスを腕に抱いて、寝袋に入った。
「…………おやすみ、…………ユリウス」
その道すがら、ずっと赤児の名前を考えていた。名が無いと不便だし、自分が親になると決めたからにはせめて良い名だけでも付けてやりたい。
リチャード達に名前の候補を聞いてみても、
「自分の子供だろう?自分が思うままに付けるのが一番さ」
何かにつけて微笑ましそうにそう言ってくる彼らに、その目線が擽ったく、今だに慣れない。
「……………………」
子供を見ても、相変わらず無表情だが、カイトやリチャード達が笑いかければ微笑み返してくれる様になった。
自分の手の中にいる温もりに対して、リチャードと出会った時と同じ様な温かさが胸に広がる。
「………決めたよ」
「?名前決めたの?」
夜になり、テントの準備をしていたユキ達がこちらに目を向けた。
教会での騒動以降、カイトは勿論、ユキやリチャードまでもが少し変わった。僅かな変化なのだが、彼らは少し丸くなった。
子供と接する内に、優しい触り方を覚え、慈しみ方を学びつつあるのだ。
「……ユリウス、……紫の葉に紫の花、ギリシャ語で刀の鞘、花言葉は、健康。…………花の色は彼の瞳の色。俺達の鞘になり、いつまでも健やかに育ってくれる様に。……名前はユリウスにする」
リチャード達はやっとついた名前に嬉しそうにし、早速呼び掛ける。
「ユリウス。綺麗な名前じゃないか」
そう言ってリチャードが優しくユリウスの頭を撫でる。
これからは様々な困難が待っているだろうが、全てを乗り越え、元気に育って欲しい。
「ユリウス!良かったねぇ?パパが可愛い名前を付けてくれたよ?」
そう言ってユリウスの頬を突いて遊んだ。ぷにぷにとした彼の頬は確かに触っていて飽きないが、やり過ぎて彼が不機嫌になった。
最近よく感情を出してくれる様になった。
意味は無いのだろうが、母音もだいぶ言い始め、彼には構って貰える人が必要だったのだと感じた。
テントも張り終え、食事の準備をする為に火を焚いた。カイトは隣に布を何枚か引き、ユリウスを寝かし、食事を作り始める。
今日は簡単な、野菜と肉の煮込みスープを作ることにした。味付けは塩と胡椒だけだが、臭みを取るための作業をすれば素材の旨味で味が整う。
食材はもうあまり無いのだが、そろそろ次の街に辿り着く。
「うぅぅぅん、やっぱりカイトのご飯は美味しいよ!お店だって出せる!」
相変わらずオーバーリアクションだが、リチャードも同意していた。
「確かに、城ですらこんな美味い料理は出てこないよ。…………今後も作ってくれるよね?……この味に慣れると他の食事が苦痛なんだ……」
その言葉に今度はユキが同意した。真剣にスープを見つめる彼らに、大袈裟だなと苦笑しながら、ユリウス用に野菜を潰して、肉を出来るだけ細かくし、ペースト状にした。
まだ自分で座れない彼を自分の膝に置き、お腹に凭れさせ、少しづつ食事を与えた。
「………なんか、様になってるね。…………お母さん」
「はぁ?父親だって言ってるだろ」
「え、だって、ご飯作って、そうやってあげて、抱っこしてあやしながらたまに私のこと叱るじゃん?いつも思ってたけど、何かお母さんみたい……」
嬉しくない。
ユキの言葉を無視し、自分の食事を始める。ユリウスは食べ終わり、眠くなったのか、カイトの服を掴みながら眠っていた。
もう直ぐ次の街に着く。前の街での反応がこの世界のユリウスへの反応なら、きっとこれから彼は苦労する。
願わくば、その様なことがない様に。
頭の中の地図では後二日で次の街に辿り着く。次の街もだいぶ大きい。出来るだけ早く、多くの本を読みたい。
この世界で知らない知識が大量にあるのが耐えられない。
最近増して来た知識欲は、日本に居た時ですら久しく感じていなかったものだった。
もう寝る時間だ。
ユリウスを腕に抱いて、寝袋に入った。
「…………おやすみ、…………ユリウス」
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