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第五十三話 エピソード 恩を返したいケモ耳娘と貴族の娘(ナポリタン(ナナリー)とヒステリア(テリヤキ))②
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「ヒステリア様もナナリーもよく聞くのだ。このオールストンの街に、ヒステリア森林の暴食王ビーフが入り込み。すでにこの丸焼き広場に迫ってきているのだ」
「暴食王?」
「ビーフ?」
わたしとヒステリア様はききなれない名前に顔を見合わせて頭に? マークを浮かべた。
「そうか、ヒステリア様もナナリーもこの名に聞き覚えはないか。無理もない。ビーフがこの国で猛威を振るったのは、ヒステリア様やナナリーお前たちが生まれるかなり前の話だからな」
お父さんは遠い過去を思い出すような少し遠い目をした後。わたしとヒステリア様の瞳を見つめながら語り始めた。
「暴食王ビーフとは、何物にも侵されぬほどの力を持ったヒステリア森林の生態系の頂点に位置する存在のことだ。そして、暴食王であるビーフの狙いは、城の偵察兵たちの観察によって、このブタだということが判明している。そのためこのブタを使ってビーフの奴を街から引き離し、森の奥深くにまで誘導して住家に帰らせる」
「でしたらオルガ。ブタ様を使ってビーフとやらを森に返したのち、ブタ様を開放すればよろしいのではなくて?」
「そうだよお父さんっヒステリア様の言う通りだよっ」
お父さんの話を聞いたわたしとヒステリア様はそう反論するけれど、お父さんはうんと頷くことはなかった。
それからお父さんは少し難しい顔をしながら、断わりの言葉を述べた後説明してくれた。
「そう言うわけにも行かぬのだ」
「どういうわけですの?」
「長年抑止力たるヒドラによって、軽い軟禁状態に置かれて、自由に身動きが取れずに森の奥深くに居ざるを得なかったビーフは、長い軟禁生活のためにかなり腹を空かせている。そのため奴はあのブタを食すまで住家には帰らぬし、食料を求め暴れ続けるだろう」
「でしたらオルガ。森のオークやら何やらでビーフの腹を満たせばよろしいのではなくて?」
お父さんの説明を聞いていたヒステリア様が、ブタさんをビーフの腹を満たす食料としない代案を提示してくれる。
「そのオークが森に居ないのです。ヒステリア様」
「は?」
お父さんの言葉を耳にしたヒステリア様が、お姫様とは思えない間抜けな声を上げた。
「オークがいないってお父さん。それって本当なの?」
森にオークがいないといったお父さんの言葉を、半ば信じられなかったわたしはお父さんに尋ねる。
「ああ、そこのブタがヒステリア森林にいるめぼしいオークを一匹残らず食い尽くした」
お父さんが火の消えた丸焼きに今だ縛り付けられているブタさんに視線を向けながら答えてくる。
「でもあそこにはオークキングもいるはずですわよ? それをブタ様一人で、なんて無理に決まってますわっ」
さすがのヒステリア様も森からオークが消えたというお父さんの言葉を信じられずに再度問い直した。
「にわかには信じられない話だが、本当だ。しかもビーフの抑止力として森に放たれていたヒドラも、ブタが倒して食したことが分かっている」
「まさかオークやオークキングどころか、森に放たれていたヒドラをもブタ様がおひとりで倒したとはとても信じられませんわっですが、そのせいでヒドラという抑止力を失ったビーフとやらが、街に出てきたのだとしたら、心情的には納得はできませんが、納得せざるを得ませんわね」
「ヒステリア様がご納得くださり恐悦至極に存じます」
お父さんが頭を下げる。
もちろんお父さんとヒステリア様の会話を耳にしていたわたしも、森からオークはおろかオークキングやヒドラまでブタさんに退治されて食べられたというのには驚いたが、武装オークの集団からわたしを命がけで助けてくれたブタさんが強いことを、わたしはここにいる誰よりも知っていたので、ブタさんが森のオークを枯渇させたり、オークキングに果てはヒドラまで退治して食べたということは、ヒステリア様よりかはすんなりと胸の中に入ってきて納得していた。
「そう言うことになってしまっているために、今現在ヒステリア森林にビーフの腹を満足に満たせる食材が存在していない。ですからヒステリア様。ナナリー。この近郊で一番栄養価の高いブタを喰らうまでビーフの腹は満たされず、奴の暴走が止まらないのは確実なのだ。皆のためにブタをビーフを引き付けるエサとして利用することを、ヒステリア様にナナリー。どうか二人とも承知してくれないか?」
お父さんがヒステリア様やわたしに深々と頭を下げて懇願してくる。
ここまでお父さんが頭を下げてお願いしてくるのだ。当然娘であるわたしは一も二もなくうん。と頷くべきだと思うが、わたしの口から出たのは、自分には何の徳もないのに、見ず知らずのわたしを命がけで助けてくれたブタさんを助けたい。ブタさんに恩を返したいという真っすぐな気持ちだった。
「それでもっそれでもお父さんっ恩には恩で報いるべきだよ!」
「それではナナリーッお前はブタの恩に報いるためにっこの城下に暮らす人々を見捨てろというのか!」
「そうは言ってないよっただ恩には恩に報いるべきだって常日頃からお母さんに言われてるんだよ! 私はただそれを無下にはしたくないだけだよお父さん!」
「そうですわナナリーさんのおっしゃる通りですわ!」
ヒステリア様も一緒になって、ブタさんを助けようとする私を擁護してくれる。
「ヒステリア様まで」
わたしやヒステリア様に申し出を断られたお父さんは、「今まで私の言うことに真っ向から反対することなどなかったというのに、反抗期かナナリー」と、小さな声で誰にともなく悲しげに呟いていたが、わたしはあえて聞かなかったことにした。
「とにかくこれは領主様によって決められたことなのだ。早くそのブタから離れろナナリー」
一向にブタさんの傍から離れようとしないわたしに、業を煮やしたお父さんが、ブタさんから離れさせようと私の腕を引っ張って、少しきつめの口調で命令してくる。
けれどわたしは、お父さんの腕を払いのけて、たった一言拒絶の言葉を告げるのみだ。
「嫌」
お父さんはわたしの考えが変わらないことを知ると、今度はヒステリア様に声をかける。
「ヒステリア様も」
「嫌ですわ」
娘のわたしばかりかヒステリア様にまで拒絶されたお父さんは、ヒステリア様の腕をとって強引にブタから離れさせるわけにも行かず、どうしたものかと途方に暮れてしまう。
わたしは途方に暮れたお父さんの瞳を見つめながら、代案を提示してみることにした。
「ブタさんを生け贄にするぐらいなら、みんなで力を合わせてそのビーフっていうのを倒せばいいんだよ」
「無理だ。ナナリー。そしてヒステリア様。お前たちはビーフの恐ろしさを知らない」
お父さんはわたしが提示してきた代案を、あっさりと切り捨てる。
「ビーフの恐ろしさ?」
ヒステリア様とわたしは顔を見合わせて、お父さんを見つめて次の言葉を待った。
お父さんは遠くの空を見つめながら、遠い瞳をすると、過去にあった出来事を淡々と語り始めた。
「もう二十年以上前のことになるか。まだヒドラがビーフの抑止力としてヒステリア森林に居なかったころ。ビーフは度々城下町に現れてはこの街を襲い。街中のめぼしい食い物を食いつくしていったのだ。そしてそのたびに領主様や城の兵士や近隣の村々の勇士たちが死力を尽くして立ち向かって行ったのだが、ビーフの猛攻はすさまじく。襲われるたびに街は壊滅的な打撃をこうむっていた。それでも剣や槍や弓などの打撃武器が通じた昔は、ビーフを何とか自力で森に撃退していたのだ」
「だったらお父さんっ今回もまたみんなで力を合わせてビーフっていうのを森に返せばいいんだよっ」
お父さんの話を聞いていたわたしは、お話の中に希望を見て興奮したように答える。
「そうですわっナナリーさんの言う通りですわオルガッ皆で力を合わせてヒステリア森林にビーフを追い返しましょう!」
お話を聞いていたヒステリア様もわたしの提案に同意するように声を上げてくる。
けれどお父さんは、わたしたちの言葉に別段心は動かされなかったのか、ただ淡々とわたしたちの受けごたえをするのみだった。
「当時のビーフだったらな」
「当時のビーフ?」
わたしが小首をかしげて尋ねる。
「ああ、ナナリーヒステリア様。残念だがビーフは以前のビーフではない」
「どういうことですのオルガ?」
「数十年もの長き年月を生き伸びたビーフは巨大化し、皮膚も硬質化してしまい。昔は通用していたであろう剣や槍といった近接武器や弓といった遠距離武器では、ビーフの硬質化した皮膚に傷の一つすらつけることができなくなっているのだ」
「そんなことやってみなくてはわからないのではありませんの?」
「すでに街に近づくビーフを発見した見張りの兵士たちが、ビーフに向かって何百もの弓矢や剣や槍で応戦したにもかかわらず、ビーフはかすり傷一つ負っていない」
「それはつまり、今のオールストンの兵士たちには、ビーフを森に追い返す力がないということですの?」
「そうですヒステリア様。ヒドラというビーフにとっての唯一の抑止力を失った今の我々には、ビーフを森に追い返すことのできる手立てが、ブタをおとりにする以外にないのです」
お父さんが説明を終えた直後。
「モオォォオオオーーーッッ!!!」
獰猛な獣が、長年待ちこがれた獲物を見つけた時の様な咆哮が、丸焼き広場のすぐ外から私たちの耳に響いてきた。
そう、お父さんが説明している間にも、ヒステリア森林の食物連鎖の頂点に立つ暴食王ビーフが、巨大な咆哮を街中に轟かせて、城下街を破壊しながら、自らの狙う獲物であるブタさんのいる丸焼き広場へと足を踏み入れると同時に、怒号の様な咆哮を轟かせながら、わたしたちの前に姿を現したのだった。
「暴食王?」
「ビーフ?」
わたしとヒステリア様はききなれない名前に顔を見合わせて頭に? マークを浮かべた。
「そうか、ヒステリア様もナナリーもこの名に聞き覚えはないか。無理もない。ビーフがこの国で猛威を振るったのは、ヒステリア様やナナリーお前たちが生まれるかなり前の話だからな」
お父さんは遠い過去を思い出すような少し遠い目をした後。わたしとヒステリア様の瞳を見つめながら語り始めた。
「暴食王ビーフとは、何物にも侵されぬほどの力を持ったヒステリア森林の生態系の頂点に位置する存在のことだ。そして、暴食王であるビーフの狙いは、城の偵察兵たちの観察によって、このブタだということが判明している。そのためこのブタを使ってビーフの奴を街から引き離し、森の奥深くにまで誘導して住家に帰らせる」
「でしたらオルガ。ブタ様を使ってビーフとやらを森に返したのち、ブタ様を開放すればよろしいのではなくて?」
「そうだよお父さんっヒステリア様の言う通りだよっ」
お父さんの話を聞いたわたしとヒステリア様はそう反論するけれど、お父さんはうんと頷くことはなかった。
それからお父さんは少し難しい顔をしながら、断わりの言葉を述べた後説明してくれた。
「そう言うわけにも行かぬのだ」
「どういうわけですの?」
「長年抑止力たるヒドラによって、軽い軟禁状態に置かれて、自由に身動きが取れずに森の奥深くに居ざるを得なかったビーフは、長い軟禁生活のためにかなり腹を空かせている。そのため奴はあのブタを食すまで住家には帰らぬし、食料を求め暴れ続けるだろう」
「でしたらオルガ。森のオークやら何やらでビーフの腹を満たせばよろしいのではなくて?」
お父さんの説明を聞いていたヒステリア様が、ブタさんをビーフの腹を満たす食料としない代案を提示してくれる。
「そのオークが森に居ないのです。ヒステリア様」
「は?」
お父さんの言葉を耳にしたヒステリア様が、お姫様とは思えない間抜けな声を上げた。
「オークがいないってお父さん。それって本当なの?」
森にオークがいないといったお父さんの言葉を、半ば信じられなかったわたしはお父さんに尋ねる。
「ああ、そこのブタがヒステリア森林にいるめぼしいオークを一匹残らず食い尽くした」
お父さんが火の消えた丸焼きに今だ縛り付けられているブタさんに視線を向けながら答えてくる。
「でもあそこにはオークキングもいるはずですわよ? それをブタ様一人で、なんて無理に決まってますわっ」
さすがのヒステリア様も森からオークが消えたというお父さんの言葉を信じられずに再度問い直した。
「にわかには信じられない話だが、本当だ。しかもビーフの抑止力として森に放たれていたヒドラも、ブタが倒して食したことが分かっている」
「まさかオークやオークキングどころか、森に放たれていたヒドラをもブタ様がおひとりで倒したとはとても信じられませんわっですが、そのせいでヒドラという抑止力を失ったビーフとやらが、街に出てきたのだとしたら、心情的には納得はできませんが、納得せざるを得ませんわね」
「ヒステリア様がご納得くださり恐悦至極に存じます」
お父さんが頭を下げる。
もちろんお父さんとヒステリア様の会話を耳にしていたわたしも、森からオークはおろかオークキングやヒドラまでブタさんに退治されて食べられたというのには驚いたが、武装オークの集団からわたしを命がけで助けてくれたブタさんが強いことを、わたしはここにいる誰よりも知っていたので、ブタさんが森のオークを枯渇させたり、オークキングに果てはヒドラまで退治して食べたということは、ヒステリア様よりかはすんなりと胸の中に入ってきて納得していた。
「そう言うことになってしまっているために、今現在ヒステリア森林にビーフの腹を満足に満たせる食材が存在していない。ですからヒステリア様。ナナリー。この近郊で一番栄養価の高いブタを喰らうまでビーフの腹は満たされず、奴の暴走が止まらないのは確実なのだ。皆のためにブタをビーフを引き付けるエサとして利用することを、ヒステリア様にナナリー。どうか二人とも承知してくれないか?」
お父さんがヒステリア様やわたしに深々と頭を下げて懇願してくる。
ここまでお父さんが頭を下げてお願いしてくるのだ。当然娘であるわたしは一も二もなくうん。と頷くべきだと思うが、わたしの口から出たのは、自分には何の徳もないのに、見ず知らずのわたしを命がけで助けてくれたブタさんを助けたい。ブタさんに恩を返したいという真っすぐな気持ちだった。
「それでもっそれでもお父さんっ恩には恩で報いるべきだよ!」
「それではナナリーッお前はブタの恩に報いるためにっこの城下に暮らす人々を見捨てろというのか!」
「そうは言ってないよっただ恩には恩に報いるべきだって常日頃からお母さんに言われてるんだよ! 私はただそれを無下にはしたくないだけだよお父さん!」
「そうですわナナリーさんのおっしゃる通りですわ!」
ヒステリア様も一緒になって、ブタさんを助けようとする私を擁護してくれる。
「ヒステリア様まで」
わたしやヒステリア様に申し出を断られたお父さんは、「今まで私の言うことに真っ向から反対することなどなかったというのに、反抗期かナナリー」と、小さな声で誰にともなく悲しげに呟いていたが、わたしはあえて聞かなかったことにした。
「とにかくこれは領主様によって決められたことなのだ。早くそのブタから離れろナナリー」
一向にブタさんの傍から離れようとしないわたしに、業を煮やしたお父さんが、ブタさんから離れさせようと私の腕を引っ張って、少しきつめの口調で命令してくる。
けれどわたしは、お父さんの腕を払いのけて、たった一言拒絶の言葉を告げるのみだ。
「嫌」
お父さんはわたしの考えが変わらないことを知ると、今度はヒステリア様に声をかける。
「ヒステリア様も」
「嫌ですわ」
娘のわたしばかりかヒステリア様にまで拒絶されたお父さんは、ヒステリア様の腕をとって強引にブタから離れさせるわけにも行かず、どうしたものかと途方に暮れてしまう。
わたしは途方に暮れたお父さんの瞳を見つめながら、代案を提示してみることにした。
「ブタさんを生け贄にするぐらいなら、みんなで力を合わせてそのビーフっていうのを倒せばいいんだよ」
「無理だ。ナナリー。そしてヒステリア様。お前たちはビーフの恐ろしさを知らない」
お父さんはわたしが提示してきた代案を、あっさりと切り捨てる。
「ビーフの恐ろしさ?」
ヒステリア様とわたしは顔を見合わせて、お父さんを見つめて次の言葉を待った。
お父さんは遠くの空を見つめながら、遠い瞳をすると、過去にあった出来事を淡々と語り始めた。
「もう二十年以上前のことになるか。まだヒドラがビーフの抑止力としてヒステリア森林に居なかったころ。ビーフは度々城下町に現れてはこの街を襲い。街中のめぼしい食い物を食いつくしていったのだ。そしてそのたびに領主様や城の兵士や近隣の村々の勇士たちが死力を尽くして立ち向かって行ったのだが、ビーフの猛攻はすさまじく。襲われるたびに街は壊滅的な打撃をこうむっていた。それでも剣や槍や弓などの打撃武器が通じた昔は、ビーフを何とか自力で森に撃退していたのだ」
「だったらお父さんっ今回もまたみんなで力を合わせてビーフっていうのを森に返せばいいんだよっ」
お父さんの話を聞いていたわたしは、お話の中に希望を見て興奮したように答える。
「そうですわっナナリーさんの言う通りですわオルガッ皆で力を合わせてヒステリア森林にビーフを追い返しましょう!」
お話を聞いていたヒステリア様もわたしの提案に同意するように声を上げてくる。
けれどお父さんは、わたしたちの言葉に別段心は動かされなかったのか、ただ淡々とわたしたちの受けごたえをするのみだった。
「当時のビーフだったらな」
「当時のビーフ?」
わたしが小首をかしげて尋ねる。
「ああ、ナナリーヒステリア様。残念だがビーフは以前のビーフではない」
「どういうことですのオルガ?」
「数十年もの長き年月を生き伸びたビーフは巨大化し、皮膚も硬質化してしまい。昔は通用していたであろう剣や槍といった近接武器や弓といった遠距離武器では、ビーフの硬質化した皮膚に傷の一つすらつけることができなくなっているのだ」
「そんなことやってみなくてはわからないのではありませんの?」
「すでに街に近づくビーフを発見した見張りの兵士たちが、ビーフに向かって何百もの弓矢や剣や槍で応戦したにもかかわらず、ビーフはかすり傷一つ負っていない」
「それはつまり、今のオールストンの兵士たちには、ビーフを森に追い返す力がないということですの?」
「そうですヒステリア様。ヒドラというビーフにとっての唯一の抑止力を失った今の我々には、ビーフを森に追い返すことのできる手立てが、ブタをおとりにする以外にないのです」
お父さんが説明を終えた直後。
「モオォォオオオーーーッッ!!!」
獰猛な獣が、長年待ちこがれた獲物を見つけた時の様な咆哮が、丸焼き広場のすぐ外から私たちの耳に響いてきた。
そう、お父さんが説明している間にも、ヒステリア森林の食物連鎖の頂点に立つ暴食王ビーフが、巨大な咆哮を街中に轟かせて、城下街を破壊しながら、自らの狙う獲物であるブタさんのいる丸焼き広場へと足を踏み入れると同時に、怒号の様な咆哮を轟かせながら、わたしたちの前に姿を現したのだった。
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