3 / 74
これが俺の生きる道
3 俺の人生は暇潰し
しおりを挟む
一階の応接間に大鏡があった。この世界でくすみの無い鏡は高額商品だ。農民だった俺は見る機会が無かった。十七歳にして初めて如実に自分を見た。だから今さっき初対面。
「えぇぇ」
両手を鏡に近づき食いついた後、ガクッと膝が崩れて座り込む。
まじか、まじか、まじで…。
過去最高にヤバい。俺がヤバい。
衝撃の余り姿勢は土下座になった。握り拳はプルプルと震える。
床に懺悔するが如く小さく呟いた。
「俺が美少年…」
過去の転生はずっと男だった。異世界の価値観に揉まれ同性婚も普通にあった。俺も正直した事ある。回数を経て色々拘らなくなったけどな。容姿に関しては平均だった気がする。
今世のブロンドの髪は伸び自分で見えていた。目の色は親に聞いてた。成長不足も童顔なのも村の人から言われてた。でも鏡で見たのは、睫毛が多く長いくっきり二重。大きめの水色っぽい虹彩で丸みのある目。眉も嫌味無く程良い丸顔。鼻も口も丁度良い。痩せ細ってるが整っている。
「ルースがフリフリ服を買ってくるわけだ」
レオは顔をあげ改めて鏡面と向き合った。
似合う。今日のロングシャツも襟と袖口がヒラフリだ。腰には網細工ベルト。ふさふさ何かの尾のファーが二個飾りで付く。動くと揺れて可愛いじゃないか。恐ろしく似合う王子だ。
しかも童顔って言えない。これは普通に見ためが子供だ。将来が楽しみな美人な子供だ。村で街で皆が優しかったわけだ。可愛いって言うのは身長と童顔を馬鹿にしてんだと思ってた。
脱力して、うつ伏せに崩れ落ちた。土下座美少年だ。
「この顔やばいだろ」
可愛い。俺が可愛すぎる。ああ今までよく無事だった。今、二人の危険人物が脳裏に浮かんだ。……どうしよう。
くっそ、クソだ。これはやっぱり溺愛転生パターンなのか。前世的にいままで普通に嫁もらった恋愛結婚が三回位だったか。少ない。少なすぎる。俺に一度くらいラノベ的ハーレムは無いのか。いや待て、美少年なんだ。成長したら違くないか?まだ生きてるし先があるじゃないか。回避すれば何とかなるんじゃないか。そうだ。俺がハーレム…ふふふふ。
レオは拳で床をドンドン叩いて、土下座のまま、めくるめく妄想の世界へ旅立った。
「レオ、大丈夫か」
蹲った不思議な姿勢のレオを見た。声をかけると驚いたのかビクッと跳ねた。様子がおかしいというバルモンクの報せで応接間に来たのだが。
「レオ、どうした。ルース呼ぶか?」
側に行き腰を落とし呼びかけた。レオはゆっくり体を起こす。顔が赤い。微妙に涙目だな。熱でもあるのかと額に手をあてた。
「体調悪いのか?」
「だ、大丈夫、です!」
プイって顔を背けられた。何だこの態度。昨日までと違う。本当に様子がおかしい。
「歩いて疲れたとか?部屋で休むか?」
手を握り立たせた。まだ顔を背けるレオ。疲れてる感じでも無いな。歩き出すと抵抗せず付いて来た。手を繋いでも文句も言わないとは。何かあったか。鏡で?
「鏡の前でどうした。痩せ細った自分に驚いたか」
レオはそういう事にしておこうと思った。美少年っぷりに驚いたとは言えない。
「…そう、デス」
「食べて肉が付いたら戻る。大分良くなったんだ」
「…う、うん 」
「レオは元気になっただろ。もう少しだ」
「そ、そうだね」
素直だ。フィルはレオの顔を見た。少し俯き加減で軽く笑っていた。何だレオ。本当に変だ。もしかしてこれが素なのか。可愛い。口にすれば怒りそうだ。
フィルは嬉しそうに手を離さずレオ専用にした客室に向かった。
「はは。この人形達はルースか」
部屋のぬいぐるみを見てフィルが驚いた。
「好きなのか?」
「可愛いとは思う。趣味じゃない。好きじゃない」
「ルースに嫌って言えばいい。ほら座って」
レオは、新しく増えたベロアソファーに腰を落とす。
「あの人、俺の話聞いてない」
「レオが気に入ったんだ。最初は猫かわいがりするからな。少しすれば冷静になる。我慢してくれ」
フィルはルースが小動物が好きで可愛がることを知っていた。敢えて言わなかった。会話してると普段のレオに戻ってきた。少し残念に思っていた。
「…はぁ」
「いつもと変わらないな。大丈夫だな」
「…だから大丈夫って」
なんだ。普通に心配してくれたのか。久々動揺しただけだ。死ににかけの俺を連れて帰るバカなやつ。過保護だし鬱陶しい。でも時々優しいとは思う。あとは少し変態だ。フィルを見た。
「言いたい事は言えばいい。遠慮するな」
「…治療費食費は返せません」
「はは。そこか。ルースも道楽でやってる。金品不要。心配ない」
「…労働返済義務無いのか」
「無い。元気になるまで居たらいい」
頭をぽんぽんされた。俺はまだフィルを見てる。まじで無償か。バカつーか金銭感覚が違うな。でも色々助けられてるのは事実。そういえば一度もお礼言って無い事を思い出す。
「拾ってくれてありがとう」
「どういたしまして。お陰で毎日いい暇潰しになってるよ」
いい笑顔だった。やっぱ暇潰しなのか。お礼言って損した。
「…前言撤回」
「えぇぇ」
両手を鏡に近づき食いついた後、ガクッと膝が崩れて座り込む。
まじか、まじか、まじで…。
過去最高にヤバい。俺がヤバい。
衝撃の余り姿勢は土下座になった。握り拳はプルプルと震える。
床に懺悔するが如く小さく呟いた。
「俺が美少年…」
過去の転生はずっと男だった。異世界の価値観に揉まれ同性婚も普通にあった。俺も正直した事ある。回数を経て色々拘らなくなったけどな。容姿に関しては平均だった気がする。
今世のブロンドの髪は伸び自分で見えていた。目の色は親に聞いてた。成長不足も童顔なのも村の人から言われてた。でも鏡で見たのは、睫毛が多く長いくっきり二重。大きめの水色っぽい虹彩で丸みのある目。眉も嫌味無く程良い丸顔。鼻も口も丁度良い。痩せ細ってるが整っている。
「ルースがフリフリ服を買ってくるわけだ」
レオは顔をあげ改めて鏡面と向き合った。
似合う。今日のロングシャツも襟と袖口がヒラフリだ。腰には網細工ベルト。ふさふさ何かの尾のファーが二個飾りで付く。動くと揺れて可愛いじゃないか。恐ろしく似合う王子だ。
しかも童顔って言えない。これは普通に見ためが子供だ。将来が楽しみな美人な子供だ。村で街で皆が優しかったわけだ。可愛いって言うのは身長と童顔を馬鹿にしてんだと思ってた。
脱力して、うつ伏せに崩れ落ちた。土下座美少年だ。
「この顔やばいだろ」
可愛い。俺が可愛すぎる。ああ今までよく無事だった。今、二人の危険人物が脳裏に浮かんだ。……どうしよう。
くっそ、クソだ。これはやっぱり溺愛転生パターンなのか。前世的にいままで普通に嫁もらった恋愛結婚が三回位だったか。少ない。少なすぎる。俺に一度くらいラノベ的ハーレムは無いのか。いや待て、美少年なんだ。成長したら違くないか?まだ生きてるし先があるじゃないか。回避すれば何とかなるんじゃないか。そうだ。俺がハーレム…ふふふふ。
レオは拳で床をドンドン叩いて、土下座のまま、めくるめく妄想の世界へ旅立った。
「レオ、大丈夫か」
蹲った不思議な姿勢のレオを見た。声をかけると驚いたのかビクッと跳ねた。様子がおかしいというバルモンクの報せで応接間に来たのだが。
「レオ、どうした。ルース呼ぶか?」
側に行き腰を落とし呼びかけた。レオはゆっくり体を起こす。顔が赤い。微妙に涙目だな。熱でもあるのかと額に手をあてた。
「体調悪いのか?」
「だ、大丈夫、です!」
プイって顔を背けられた。何だこの態度。昨日までと違う。本当に様子がおかしい。
「歩いて疲れたとか?部屋で休むか?」
手を握り立たせた。まだ顔を背けるレオ。疲れてる感じでも無いな。歩き出すと抵抗せず付いて来た。手を繋いでも文句も言わないとは。何かあったか。鏡で?
「鏡の前でどうした。痩せ細った自分に驚いたか」
レオはそういう事にしておこうと思った。美少年っぷりに驚いたとは言えない。
「…そう、デス」
「食べて肉が付いたら戻る。大分良くなったんだ」
「…う、うん 」
「レオは元気になっただろ。もう少しだ」
「そ、そうだね」
素直だ。フィルはレオの顔を見た。少し俯き加減で軽く笑っていた。何だレオ。本当に変だ。もしかしてこれが素なのか。可愛い。口にすれば怒りそうだ。
フィルは嬉しそうに手を離さずレオ専用にした客室に向かった。
「はは。この人形達はルースか」
部屋のぬいぐるみを見てフィルが驚いた。
「好きなのか?」
「可愛いとは思う。趣味じゃない。好きじゃない」
「ルースに嫌って言えばいい。ほら座って」
レオは、新しく増えたベロアソファーに腰を落とす。
「あの人、俺の話聞いてない」
「レオが気に入ったんだ。最初は猫かわいがりするからな。少しすれば冷静になる。我慢してくれ」
フィルはルースが小動物が好きで可愛がることを知っていた。敢えて言わなかった。会話してると普段のレオに戻ってきた。少し残念に思っていた。
「…はぁ」
「いつもと変わらないな。大丈夫だな」
「…だから大丈夫って」
なんだ。普通に心配してくれたのか。久々動揺しただけだ。死ににかけの俺を連れて帰るバカなやつ。過保護だし鬱陶しい。でも時々優しいとは思う。あとは少し変態だ。フィルを見た。
「言いたい事は言えばいい。遠慮するな」
「…治療費食費は返せません」
「はは。そこか。ルースも道楽でやってる。金品不要。心配ない」
「…労働返済義務無いのか」
「無い。元気になるまで居たらいい」
頭をぽんぽんされた。俺はまだフィルを見てる。まじで無償か。バカつーか金銭感覚が違うな。でも色々助けられてるのは事実。そういえば一度もお礼言って無い事を思い出す。
「拾ってくれてありがとう」
「どういたしまして。お陰で毎日いい暇潰しになってるよ」
いい笑顔だった。やっぱ暇潰しなのか。お礼言って損した。
「…前言撤回」
10
あなたにおすすめの小説
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する
スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。
そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。
転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される
Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。
中1の雨の日熱を出した。
義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。
それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。
晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。
連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。
目覚めたら豪華な部屋!?
異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。
⚠️最初から義父に犯されます。
嫌な方はお戻りくださいませ。
久しぶりに書きました。
続きはぼちぼち書いていきます。
不定期更新で、すみません。
助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!
夜刀神さつき
BL
医者である内藤 賢吾は、過労死した。しかし、死んだことに気がつかないまま異世界転生する。転生先で、急性虫垂炎のセドリック皇子を見つけた彼は、手術をしたくてたまらなくなる。「彼を解剖させてください」と告げ、周囲をドン引きさせる。その後、賢吾はセドリックを手術して助ける。命を助けられたセドリックは、賢吾に惹かれていく。賢吾は、セドリックの告白を断るが、セドリックは、諦めの悪いヤンデレ腹黒男だった。セドリックは、賢吾に助ける代わりに何でも言うことを聞くという約束をする。しかし、賢吾は約束を破り逃げ出し……。ほとんどコメディです。 ヤンデレ腹黒ドS皇子×頭のおかしい主人公
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる